夏の甲子園大分大会で大会史上初の3連覇を果たし、聖地への切符を手にした明豊ナイン。ことしのチームは、ある特別な思いを持って夢の舞台に臨む。去年、練習試合でボールが直撃し3か月後に息を引き取ったチームメイトが天国から選手たちを見守っている。亡き友への思いを力に変え、大舞台での日本一を目指す。

「ことしは特にいい」強力な投手陣

「日本一を取って、もう1回喜び合いたいと思っているので、もう1回気を引き締め直して練習をして準備している」(西村元希主将)

川崎監督が「ことしは特にいい」と太鼓判を押すのが強力な投手陣。大分大会決勝で完封したエース・中山敬斗投手は最速147キロの直球を軸にスライダーやカットボールなどを組み合わせる本格派。二枚看板を担う森山塁投手は1年生の時から甲子園の舞台に立ち、経験十分です。打撃攻撃では、4番でキャプテンの西村元希選手などクリーンアップを中心に切れ目のない打線も持ち味。

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天国から見守るチームメイト

そんな選手たちを天国から見守るチームメイトがいる。去年亡くなったキャッチャーの吉川孝成さん。新チームになったばかりの8月、練習試合でボールが直撃し3か月後に息を引き取った。

「孝成に初めて受けてもらった時に、おまえめっちゃいいボール投げるなと言ってもらって、それがすごくうれしかった」(中山敬斗投手)

“孝成のバッティングマシーン”

優しく、進んで打撃投手も買って出ていた吉川さん。5月、吉川さんの両親からチームにバッティングマシーンが贈られた。

西村元希主将は、
「孝成が投げてくれると思って、孝成のマシンを打つときにはいつも勝負しているような感覚でバッティングしている」と話す。

中学時代からのチームメイト

西川昇太選手は吉川さんと中学時代からのチームメイトで、大阪から甲子園出場を目指して明豊に入学した。

西川選手は、
「打席に入るときは(孝成が)打たせてくれるんじゃないかなという少し支えというか心の面でも支えてもらった。孝成は野球ができないので、野球ができる喜びに感謝して(甲子園では)精一杯やりたい」と話す。

亡き友への思い胸に日本一へ

ことしの春のセンバツ出場を逃し苦しい時期が続いた明豊。悔しさを糧に臨んだ夏の甲子園大分大会では、亡き友への思いを力に変えて史上初の3連覇を達成した。

「甲子園では孝成にいいピッチングを見せられるように頑張っていきたい」(中山敬斗投手)

「孝成が近くにいて一緒に戦ってくれたら劣勢になっても負ける気はしない。日本一を取って、また孝成とマウンドで喜び合いたい」(西村元希主将)

大舞台での日本一を目指す明豊ナイン。公式戦の帽子のつばには「孝成」と吉川さんの名前が書かれていて空を見上げる姿も印象的だった。

夏の甲子園は8月6日に開幕。明豊高校は大会5日目の8月10日、第2試合で南北海道代表の北海との初戦に挑む。

(テレビ大分)

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