中国電力と関西電力が、原発から出る「使用済み核燃料」を保管する中間貯蔵施設を共同で開発すると発表した。その背景には、関電の原発が直面する“避けられない現実”がある。

中国電力が「中間貯蔵施設」建設を検討

広島県や岡山県などの電力をカバーする中国電力が8月2日、明らかにした計画。 瀬戸内海の西部に位置する山口県上関町に、使用済み核燃料の「中間貯蔵施設」の建設を検討していると発表した。

これに先立ち、中国電力の幹部は上関町役場を訪問。町長に正式に提案した。

山口県上関町・西哲夫町長:
交付金と固定資産税が入れば、町の財政が大いに安定していくことは間違いない。持続可能な街づくりのために何が必要かと考えたときに、そういう施設(=中間貯蔵施設)も1つの選択肢であろう

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使用済み核燃料とは、原発で使い終わった燃料のこと。放射線量が高く発熱量も多いため、原発内にある核燃料プールに保管されていて、増え続けている。

国は、この使用済み核燃料を処理して再使用する「核燃料サイクル」の実現を掲げているが、青森県六ヶ所村の再処理工場は、いまだ未完成。 使用済み核燃料が行き場をなくしてしまうため、一時的に保管する「中間貯蔵施設」の確保が急がれている。

関西電力との“共同開発”を前提に計画検討が…

そんな中、8月2日の会見で中国電力から驚きの発言が出た。

中国電力の担当者:
当社単独での建設・運営は難しいと判断し、関西電力との共同開発を前提に具体的な計画の検討を進めていきたい

中間貯蔵施設の設置に向け、関西電力と共同で調査・検討を行うと明らかにしたのだ。

中国電力の担当者:
中間貯蔵施設を発電所の運転のために必要としている、かつ具体的な準備が進んでいない電力会社が、西日本では当社と関西電力だけ

発電量全体に占める原子力の割合が23%と、ほかの電力会社と比べると、比較的原子力の割合が高い関西電力。 7月28日には、高浜原発1号機が再稼働し、9月に高浜原発2号機が再稼働すれば、関西電力の管内にある原発7基すべてが稼働することになる。

ただ、関西電力によると、各原発内に保管されている使用済み核燃料がこのまま増え続ければ、約4年半~7年後にはプールが一杯になってしまうことになる。

中間貯蔵施設の確保がほかの電力会社よりも急務となっている関西電力が参加した今回の計画。 関西電力は「使用済み核燃料の搬出容量を確保するため、引き続きあらゆる可能性を追求して最大限取り組んでまいります」とコメントしている。

(関西テレビ「newsランナー」8月2日放送)

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