モヒカンヘアがトレードマークで、トロピカルなシャツ、短パン、短め丈の白衣を着ている医師といえば、産婦人科医の高尾美穂先生だ。

今、TVや雑誌など各方面で注目の頼れる存在。

長年、外来診察などを通して患者の心と体に向き合ってきたからわかる、女性たちの不安や悩み。医者として体の健康に向き合うだけでなく、その穏やかで優しい語り口は心を落ち着かせ、気さくな人柄は多くの人を魅了している。

さまざまな相談に向き合うなかで生まれた、高尾先生の78の名言をまとめた著書『人生たいていのことはどうにかなる あなたをご機嫌にする78の言葉』(扶桑社)より、一部抜粋・再編集して紹介する。

女性ホルモンを知ることは転ばぬ先の「知恵」

■産婦人科医の言葉(1)
「女性ホルモンを知ることは自分の人生を知ること」 

女性の人生は20代、30代、40代、50代…とそのときどきでいろんな悩みが出てきますが、これには女性ホルモンの変動が関わっています。

ですから、女性ホルモンを知ることは自分の人生を知ることと同じ、といえるわけです。

産婦人科の外来診察を通して患者の心と体に向き合ってきた高尾美穂先生(撮影/難波雄史)
産婦人科の外来診察を通して患者の心と体に向き合ってきた高尾美穂先生(撮影/難波雄史)
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思春期には、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンの血中濃度が高まることで初潮を迎えます。

20代にはエストロゲンの分泌量が安定する性成熟期を迎え、20年ほど続きます。この時期は、妊娠・出産・子育てをすることも見込まれる時期です。

そして、エストロゲンの分泌は35歳頃を境に徐々に減少していきます。40代になると、さらに急激に減少していく更年期を迎えます。

女性ホルモンは私たちの心身に、大きな影響を及ぼします。

エストロゲンは、肌や髪のつやを保ったり、骨を丈夫に維持したり、自律神経の働きを整えたりと、恩恵をもたらしてもくれます。

その一方で、月経時や産後・更年期には心身にさまざまな不調をもたらすことも。

前もって知っていれば心づもりができますので、女性ホルモンについて知っておくことは転ばぬ先の「知恵」となります。

物事の捉え方は自分の調子で左右される

■産婦人科医の言葉(2)
「自分の調子のよさは自分で手に入れる」

私たちには、「今日は調子がいいな」と思う日があれば、「今日は無理」という日もあります。

たとえば、朝までぐっすり眠れた日と、夜中に目が覚めてしまって眠れなくなり朝を迎えた日とでは、一日の調子は変わってきますよね。

私たちの調子は、自分の調子だけでなく、周りからも影響を受けます。家族の体調が悪いと心配ですし、電車が遅れることもありますし、ウイルスなどの存在も不安を引き起こす。でも、こうした状況は自分で変えることができません。

ただ、同じ状況でも、自分の調子がいい日と調子が悪い日では、捉え方は変わってきます。

たとえば、仕事で同僚がミスをしたとき、調子がいい日なら「仕方ないよね、みんなでカバーしよう」と前向きに捉えられる。けれど、心配事があったり、睡眠不足だったりすると、「本当に面倒なことしてくれた」と思ってしまうことも。

つまり、起こった物事の捉え方は、自分のコンディションに左右されるんです。

私はいつも「よく寝よう」とか「適度な運動をしよう」とか、根本的な話ばかりを繰り返していますが、自分のコンディションをよく保つことが、前向きな考え方、捉え方につながると思っているからなんです。

更年期は“下り坂”ではなく“身軽”と捉えよう

■産婦人科医の言葉(3)
「更年期からは人生を身軽に生きていく」

人は年を重ねるにつれて家族が増え、役割が増え、そのほかにもいろいろなものが増えていきます。増え続けるのは更年期のあたりまでで、そこから先は減っていき、世の中的には「下り坂」と表現されたりしますよね。

下り坂っていうとせっかく手に入れたものを失っていくというようなイメージですが、「下り坂」よりも「身軽に」というほうが合っているような気がしています。

高尾美穂先生の言葉には人生をよりよく生きるヒントがある(撮影/難波雄史)
高尾美穂先生の言葉には人生をよりよく生きるヒントがある(撮影/難波雄史)

更年期からは、意図的にどんどん手放していくことによって、身軽に生きていく。

まずは、着ていない洋服や使っていない道具、食器などの「もの」を減らす。そして、「人間関係」を少しずつ整理していく。

また、母・妻・PTA役員などの「役割」も、自分がしなくてもいいかなと思うものに関しては、手放していく。更年期からは、こんな意識をもちながら毎日を過ごしていきましょう。

人生に迷ったときは、高尾先生の言葉が心に響く。心にかかったもやが晴れ、いつのまにか、ご機嫌な自分を取り戻していることも。お守りのように手元に置いて、悩んだときや迷ったときに開いてみると、目の前がぱっと開けてくることもあるかもしれない。

『人生たいていのことはどうにかなる あなたをご機嫌にする78の言葉』(扶桑社)著・高尾美穂

高尾美穂
医学博士・産婦人科専門医。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。イーク表参道副院長。ヨガ指導者。婦人科の診療を通して、女性の健康を支え、女性のライフステージに応じた治療法を提示し、選択をサポートしている。テレビや雑誌などメディアへの出演、SNSでの発信のほか、音声配信アプリstand.fmで『高尾美穂からのリアルボイス』を配信。体の悩みから人間関係や生き方・働き方にまつわる人生相談まで、リスナーからのさまざまな悩みに回答し、再生回数1000万回を超える人気番組に。著書に『オトナ女子をラクにする 心とからだの本』(扶桑社)、『更年期に効く美女ヂカラ』(リベラル社)など。

(撮影/難波雄史)

高尾美穂
高尾美穂

医学博士・産婦人科専門医。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。イーク表参道副院長。ヨガ指導者。婦人科の診療を通して、女性の健康を支え、女性のライフステージに応じた治療法を提示し、選択をサポートしている。テレビや雑誌などメディアへの出演、SNSでの発信のほか、音声配信アプリstand.fmで『高尾美穂からのリアルボイス』を毎日配信。体の悩みから人間関係や生き方・働き方にまつわる人生相談まで、リスナーからのさまざまな悩みに回答し、再生回数1000万回を超える人気番組に。著書に『オトナ女子をラクにする 心とからだの本』(扶桑社)、『更年期に効く美女ヂカラ』(リベラル社)など。