2024年に迫る北陸新幹線の敦賀開業に向け新しく整備されたJR小松駅について、石川テレビに視聴者からある疑問が届いた。2023年3月にリニューアルした小松駅西口には何かが足りないという。実はリニューアル後の西口にはタクシー降り場しかなく、これまであったタクシー乗り場が無くなっていたのだ。どうして乗り場は無くなってしまったのか、その理由を調査した。

空から見たJR小松駅
空から見たJR小松駅
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消えたタクシー乗り場

石川県小松市軽海町に住む田中満留子さん(77)。以前の小松駅西口について「前はタクシー降り場があって、乗り場がすぐ横にあったんですよ」と話す。3月にリニューアルした小松駅の西口広場にはタクシー降り場はあるものの、タクシー乗り場が見当たらない。

田中満留子さん 小松駅西口にて
田中満留子さん 小松駅西口にて

ではタクシー乗り場は一体どこにあるのか…西口から探すと、駅のコンコースを抜け、歩いて約1分半の東口にあった。しかし元々西口にもあったタクシー乗り場がなぜ無くなったのか。乗り場が分からず迷っている観光客や、出張に来た会社員を目の当たりにしてきたという田中さんは、「一般車の乗り降りはできる。それがタクシーについては西口に出てきた人が乗れないというのはどうなのかな」と疑問が拭えない。

小松駅東口のタクシー乗り場
小松駅東口のタクシー乗り場

タクシーの利用客にも混乱が

小松駅に停車していたタクシードライバーに話を聞くと「お客さんから『タクシーの乗り場が分からない』『こっちで乗れないの?』とかちょこちょこ言われる」、「本当はお客様が急いでいるときに乗れるような体制にした方が気分よく乗車できるし、運転手も気分よく乗せることができる」などと決して満足はしていないようだ。

小松市の担当者は「北陸新幹線の小松駅開業に向けて小松市として、誰もが使いやすい駅、ビジネスや観光に新たな賑わいと顔づくりを目指して整備を進めてきました」と説明する。市によると、2024年春に北陸新幹線が敦賀まで延伸すれば、新幹線駅に近い小松駅東口の利用は観光客がメインとなる。一方、在来線に近い西口は通勤、通学などの地元客が主に利用することになる。

そのため西口のタクシー乗り場をなくすことで、タクシープールだった場所を一般車の30分無料駐車場にしたという。つまりタクシー乗り場を導入する代わりに、一般車が使う送迎用のスペースを拡充したというわけだ。またバスの乗り降りを一般車やタクシーと分けることで、帰宅ラッシュ時は渋滞の解消が見込まれる。これは、バス会社やタクシー会社と協議した結果だとしている。

リニューアルした小松駅西口
リニューアルした小松駅西口

タクシー協会と小松市の認識にズレ

しかし小松地区タクシー協会の道端隆一会長は石川テレビの取材に対して不満を漏らした。「全部東口に集約してくれれば一番良かったんですよ。皆さん納得するじゃないですか。降り場も乗り場も東口だと。でも西口で中途半端に降ろすからおかしなことになる。これは小松市に言ったんですけど、もう造ったものはどうにもならない」。西口にタクシー降り場だけ造る計画は聞かされておらず、利用者の混乱を招いたというのだ。

小松地区タクシー協会 道端隆一会長
小松地区タクシー協会 道端隆一会長

西口からタクシー乗り場が消えたことによる乗客への金銭的なデメリットもある。それはタクシーに乗って小松駅西側の目的地に向かうケースで起こる。小松地区タクシー協会によると、これまで可能だった西口からタクシーに乗った場合に比べ、東口からタクシーに乗った場合は、東口から西口方面に抜けるまでの距離約200mが加算され、運賃が約200円割高になってしまう。

小松市は「利便性が良くなる」と強調

どうして西口にタクシー降り場だけを造ったのか。小松市の担当者は明言を避けたうえで、書面で「高架下の観光交流センター内を横断する自由通路が完成すれば通路を通り抜けることで、東口広場のタクシー乗り場に行けるようになり、利便性が良くなります。駅周辺整備全体の完成を持って判断していただきたいと考えています」と回答した。

小松市から届いた書面での回答
小松市から届いた書面での回答

2023年9月には東西の広場がつながるのでタクシー乗り場についても混乱しないのではないか、と市は考えているようだ。

(石川テレビ)

石川テレビ
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