G7香川・高松都市大臣会合で、動物性の食材を使わない「ビーガン料理」を提供した高松市の老舗料亭。伝統を守りながら変化するその挑戦を取材した。
存在感を示した「ビーガン料理」
7月7日に開かれた会合の歓迎レセプション。讃岐うどんや香川の食材を使った料理、酒がふるまわれ、G7各国、国際機関の要人が舌鼓を打った。

中でも存在感を示したのは、魚を含めた動物性の食材を使わない「ビーガン」料理14品だ。

老舗料亭が半年ほどかけ挑戦

提供したのは、高松市の料亭二蝶。1946年創業で、高松の料亭と言えばここという老舗だ。今回、半年ほどかけて「ビーガン」料理に挑戦した。

サトイモや大徳寺納豆などを湯葉で包んだという湯葉シュウマイを食べてみると…
前川裕喜記者:
魚などのだしを使っていないが、豊かな香りと味の深さもあっておいしい。植物性のものだけで作っているのは信じられない
老舗は“常に新しくないといけない”
基本となる出汁は、コンブやシイタケなどを組み合わせて作り、旬な野菜が引き立つよう試行錯誤したという。さらに、料亭二蝶では7月から「蔬菜料理」という名前で「ビーガン」料理を店でも提供している。でも、どうして老舗料亭がこんな挑戦をするのだろうか。

二蝶・山本亘社長:
温故知新という言葉で表現されるが、故きを温ねて新しきを知る。老舗は“常に新しくないといけない”と思う。(時代の)流れを読み取りいち早く取り入れることが重要
インバウンド客増加…食べられない物も
その時代のキーワードがアフターコロナだ。県内の宿泊客は、2023年に入ってコロナ禍前の7、8割まで回復し、海外のインバウンド客も増加している。インバウンド客は、宗教や個人の考えにより肉や魚、酒など特定の食材が食べられない人が多く、そうした人も楽しめる工夫が求められているのだ。
二蝶・山本亘社長:
いくら観光でまちを売っていても、食べるところがないと選ばれない。(自分たちが)発信して香川全体の中華やフレンチ、イタリアンでも取り組むことで(客を)まち全体で呼べる
精神性はそのままに時代に合わせて変化する。讃岐の食文化を守る老舗料亭の姿がきらりと光る。
(岡山放送)