県職員の仕事を動画で伝えるユーチューバー。豪雨に備える県の取り組みを紹介し、災害への意識を高めてもらおうと新たに制作した動画が10日に公開された。
“県職員ユーチューバー”
6月22日、山形・村山市で運用が開始された大旦川(おおだんがわ)の暫定調節池(ちょうせつち)。
大雨の際にたびたび起こる内水氾濫を防ぐために、県が急ピッチで整備した期待の「ため池」とあって、報道陣が集まった。
現場にはカメラマンに混ざって熱心に撮影する男性が…。れっきとした県の職員だが、この日、この男性が訪れたのは“取材”のため。
県土整備部 管理課県土強靭化推進室 室長補佐・山口仁さん:
3年前に大きな河川の被害があったことをわかりやすく解説して、頻発する災害に備えていこうと。県土整備部・山形県としてどういうことをしているかを伝えたい
県土強靭化推進室で室長補佐を務める山口仁さんは、“県職員ユーチューバー”。所属する県土整備部の取り組みについて動画を通してわかりやすく伝える「県土ちゃんねる」を運営している。
制作を始めたのは2022年8月。10月に東北中央道のつながっていなかった区間が開通するのに合わせ、最上・北村山地域を盛り上げる動画を作ることになったのがきっかけだった。
“ユーチューバー”板につき期待の声も
立ち上げから約1年、県職員の“仕事”についてだけではなく「おすすめの道の駅」「土木女子」など、40本近い動画を制作した。
県土整備部 管理課県土強靭化推進室 室長補佐・山口仁さん:
土木については本当にド素人。県職員はいろいろな所属に配属されるのでいろいろ勉強しながら
この日の取材は報道陣と一緒。どんどん進む工程にちょっと戸惑ってしまった。
県土整備部 管理課県土強靭化推進室 室長補佐・山口仁さん:
オレの操作が間に合ってないな。焦りますね。なんかいまいちだ
取材を終え県庁に戻ると、動画の編集。ユーチューバーも板につき、手際よく作業を進める山口さんに、上司も期待を寄せている。
県土強靭化推進室 企画主幹・高橋甚悦さん:
一生懸命やっていて、だんだんグレードも上がっている。毎回よくなっている。社会資本整備に対して皆さんの理解が深まればいいと思う
県職員を「身近なイメージに」
そして場所を変え、一緒に動画を制作している仲間と準備を始めた。
県土整備部 管理課県土強靭化推進室 室長補佐・山口仁さん:
モニターに映して、それを出演者(県土整備部の職員)とやり取りしながら、わかりやすく解説する動画を作っていく。池上彰さんみたいなものをイメージして
県土強靭化推進室 企画主幹・高橋甚悦さん:
「今日撮影するから来て」という感じ。今日くらい何も言われないで、何も準備しなくてもいいから…と言われたのは初めて
今回は少しでもわかりやすくしようと、有名な解説者のように“授業形式”にするそう。動画は約30時間の編集作業を経て完成し、10日に公開された。
豪雨についてだけでなく、川の氾濫の仕組みや増水した大旦川の水をためる調節池の仕組みも解説。県の取り組みを伝えるのはもちろん、見ている人の災害への意識を高めるのも狙いの1つだ。
県土整備部 管理課県土強靭化推進室 室長補佐・山口仁さん:
災害が起きても、実際どういうことを県・行政が行っているのかを身近にみる場面が少ない。県職員に対しての身近なイメージも持ってほしい。そういう媒体にユーチューブ「県土ちゃんねる」を育てていければと思う
「県土ちゃんねる」では、次の作品として鶴岡市にある「道の駅あつみ」の魅力を伝える動画の制作に取りかかっているという。
(さくらんぼテレビ)