様々な理由で生きづらさを抱える若者が集まる大阪・ミナミの通称「グリ下」。この場所から次の一歩を踏み出した若者がいる。きっかけは「地域」の支え。若者の特別な一日を取材した。

医学部受験に失敗…“よりどころ”を求め「グリ下」に

開店直後からにぎわいを見せる大阪・ミナミのお好み焼き店。
この日からアルバイトとして新たなスタートを切ったのは、中沢駿さん(21)。

この記事の画像(8枚)

中沢さんは、医学部の受験に2度失敗して以降、心のよりどころを求めて各地を転々とし、「グリ下」にたどり着いた。

道頓堀のすぐ下、通称「グリ下」は、生きづらさを抱える若者たちの”居場所“になっている。

一方で、犯罪やトラブルに巻き込まれるケースも多発している。

そこで、「千房」など地元企業が若者を採用し、寮を提供するなどして自立を支援するプロジェクトを始めた。

千房・中井貫二社長は「そういった子たちが日の当たる場所で普通にまっとうに仕事ができることをサポートできたら」と話す。

最初は興味本位で「グリ下」に来たという中沢さん。

2度の受験で挫折感を抱えながらも、先の見えない状況から抜け出し、自分を変えたかったという。

精神科医を目指しているという中沢さん。
「自分がしんどい時を経験したことがあるから、それも伝えながら3度目の正直ということで、3回目の受験にチャレンジしている」

外国人との交流も。アルバイトで基盤整え再び「夢」へ

中沢さんは「千房」でのアルバイトに励み、生活基盤を整えながら、再び医者の夢を目指す。

海外からのお客さんが多く訪れるこの店で働くことをきっかけに、苦手だという英語への向上心も生まれていったという。

「英語を話せたら接客も楽になると思うので、それも含めてがんばりたい。楽しかった。 皆さんいい方々で、人間関係作りやすそうだなという面で楽しかった」

千房・中井貫二社長は「働くことで自分の活力を見いだしたり、誰かのために頑張る力が湧いてくる。彼らの心に芽生えてくれたら」と語る。

仕事を通して若者の孤立を防ぐ。支援の取り組みが今動き出している。

(2023年7月4日 関西テレビ「newsランナー」放送)

関西テレビ
関西テレビ

滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山・徳島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。