13年前、神戸市で男子高校生を殺害した罪に問われている当時17歳の男の裁判で、検察は懲役20年を求刑した。遺族は「最も重い処罰を望む」と訴えた。

息子を亡くした母親 法廷で被告の男に向かって初めて訴える

事件から13年。12日、法廷で息子を亡くした母親が、被告の男に向かって初めて訴えかけた。

堤将太さんの母・正子さん:
できることならば将太を返してください。大きな声で言いたいです

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当時17歳だった男(30)は2010年、神戸市北区で高校2年生だった堤将太さん(当時16)をナイフで複数回突き刺して、殺害した罪に問われている。

これまでの裁判で男は殺意を否認し、弁護側は「男は事件当時、心身耗弱で十分に刑事責任を問える状態ではなかった」と主張していた。

12日、遺族による意見陳述が行われ、将太さんの母・正子さんが息子への思いを語った。

堤将太さんの母・正子さん:
先日将太の夢を見ました。「ただいま」と言っている声は聞こえるのに、29歳の息子の顔や姿が見えない。なぜ将太の命が奪われたのか、その日から心から笑えたことはありません。最も重い処罰を望みます

「心神耗弱状態だった」とする弁護側 「殺意はあったと判断できる」と検察側

父親の敏さんも将太さんとの思い出を語った。 

堤将太さんの父親敏さん:
(事件の年の)8月の終わり「お父さんの仕事継ぐか?」と聞いたことがあります。将太は飛び上がって喜び、大きな声で「ほんまに?ええの?」と言いました。輝くような笑顔を忘れることができません。被告は一日一日罪を重ねています。犯行から11年間すべてが犯罪だと思います。将太を返してください。元に戻してください

被告の男は、意見陳述の間、ずっと遺族の方を見つめていた。

このあと検察側は「体の重要な部分を狙って深い刺し傷が複数あり、殺意はあったと判断できる。医師が精神障害はなかったと鑑定している」と指摘し、懲役20年を求刑した。 

一方、弁護側は「犯行の時期は人格が普段と違う精神状態で、犯行により死亡するとは思っていなかった」と指摘し懲役8年が相当だと主張した。

裁判の最後に、男は「被害者から全てを奪ってしまった。遺族から、家族の心の平穏を奪ってしまいました。申し訳ありません」と、謝罪の言葉を口にした。

12日の裁判の後、敏さんは会見に臨んだ。

堤さんの父・敏さん:
私らの言うことが、彼に届く期待はしていないが、少しでもこの声が届いたらいいなと思う

判決は6月23日に言い渡される。

 (関西テレビ「newsランナー」6月12日放送)

関西テレビ
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