自分のお墓について考えたことはあるだろうか。

今、新宮霊園(福岡県)が提案する「前方後円墳型」の永久墓が売れているという。新宮霊園によると、昨年4月16日の販売開始からこれまでに約900人分が購入されている。「古墳型永久墓」は、全長53メートル、地上高3.5メートルからなる前方後円墳型の永久墓だ。

古墳型永久墓(提供:新宮霊園)
古墳型永久墓(提供:新宮霊園)
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この墓について、新宮霊園のHPには「『埋葬』のあり方にもこだわりました」とし、以下のように説明している。

縄文時代より始まる埋葬。死後、土に還ることは普通のことでした。
古墳型永久墓では一人ひとりに遺骨埋葬用の個室をご用意しております。
自分だけの場所で、長き年月を経て土に還る。
安らぎに満たされながら、永遠に眠れるお墓です。

申込金は28万円(1人分)で、永久管理費は7万7000円(同)。供養は月に1回で、「お墓の継承者がいない方、また子孫に墓守の負担をかけたくない方におすすめの永代供養墓です」としている。

これまでに約900人分が売れたということだが、そもそもなぜ、「前方後円墳型」の墓を作ったのだろうか?また、それがなぜ売れているのか? 「新宮霊園」の担当者に聞いた。

「“土に還る”という構想が生まれました」

――「前方後円墳型」の墓を作った理由は?

お墓の原点を考えるところから始め、「ひとりずつの場所」と「永久に眠れるお墓」を開発のテーマとしました。その後、古墳に着目した結果、「土(自然)に還る」という構想が生まれました。


――「前方後円墳型」の墓を作るにあたって、古墳のことを学んだ?

「八女古墳群」など福岡県内の古墳を見学し、形状やスケール感、古墳の歴史とともに、日本の埋葬文化についても調べました。その過程を経て、「土(自然)に還る」という構想が生まれました。


――1人分の区画は、どのぐらいの広さ?

1人あたり、約0.1平方メートルのスペースに、遺骨埋葬用の個室を地中にご用意しています。個室については、地中に筒状の仕切りを設置しております。この個室に、骨壺からご遺骨を出して、土とともに直接、埋葬することができます。

埋葬のイメージ(提供:新宮霊園)
埋葬のイメージ(提供:新宮霊園)

――埋葬した後は、定期的な清掃など、家族がやることはない?

墓域に関する管理は新宮霊園で行います。


――永久管理費7万7000円の支払いは1回だけ?

永久管理費のお支払いは1区画につき1回のみとなります。


――墓所使用料28万円と永久管理費7万7000円を支払えば、その後は一切、お金がかからないということ?

墓所使用料と永久管理費以外の費用は、一切不要となります。

古墳型永久墓(提供:新宮霊園)
古墳型永久墓(提供:新宮霊園)

――供養は月に1回とのことだが、これはどのようなことをしてくれる?

「古墳型永久墓」の墓域で、ご導師に読経いただき、ご供養しております。

「土に還る」という考え方が好評

――「古墳型永久墓」は、どのような年齢層の人が購入している?

50~70歳代の方が、主にご契約されております。ご事情は様々でございますが、ご契約者には30~49歳の方が2割ほど、いらっしゃいます。


――「古墳型永久墓」が売れていること、どのように受け止めている?

「古墳型永久墓」のご提案が多くの方に受け入れられたこと、非常にうれしく思っております。


――売れている理由としては、どのようなことが考えられる?

「土に還る」「自然に還る」という考え方が好評です。そこが大きく寄与していると考えております。

古墳型永久墓(提供:新宮霊園)
古墳型永久墓(提供:新宮霊園)

――今からでも、まだ購入できる?

現在、300人分の区画を販売しております。さらに今後、500人分の追加販売を予定しております。

”墓の在り方”という枠に収めるのは難しい

――墓に対する意識や価値観が変化していると感じる?

多様化していると感じております。


――墓の“在り方”は、今後どうなっていくと思う?

近年、お墓を求める方のご要望が非常に多様化しており、“お墓の在り方”という枠に収めるのは難しいのではないかと考えます。そのため、新宮霊園では、それぞれの方の価値観に合わせて、お墓をご提案しております。

古墳型永久墓(提供:新宮霊園)
古墳型永久墓(提供:新宮霊園)

主な契約者は50~70歳代で、契約者の2割が30~49歳だという「古墳型永久墓」。“墓に対する意識や価値観”が多様化する中、今後は、この墓のように独自性のある墓が当たり前になっていくのかもしれない。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。