突然だが、みなさんは自分が入る「お墓」について考えたことはあるだろうか?
20代女性:
え~…考えたこともないな。
20代女性:
おじいちゃんとか、景色のきれいなお墓に骨が埋まっていて、みんなでお墓参り行くので、そんな感じで、きれいなところに入れておいて欲しいと思う。
40代女性:
主人の方のお墓に入るのかな。誰かと一緒にいたいなという気はする。

今あるお墓に入れてほしいという人もいれば、新しく買ったという人も。
70代女性:
とても高いモノ(墓石)を買ってしまいましたね。500万円くらいですかね。
そんな中、高齢世代の多くが抱えている不安があった。

80代女性:
うちの場合はお墓があって、それをおまつりしてます。私が死んだ場合、結局子供たちが面倒見てくれるかですよね。孫になったらどうなるかな、というのはある。
80代女性:
私たちも年取ってきたから通うのも大変。お墓参りができないと、草ボーボーになって荒れ果てちゃうでしょ。
こうした管理の心配から、お墓のあり方が大きく変化している。
毎年10万件超 お墓を解体・撤去して更地に
そのため、愛知・豊田市にあるお寺ではこんな相談が増えていた。

妙楽寺 鈴木政彦住職:
こちらが、お預かりしている石塔やお地蔵さんですね。生きているうちに、きちんと(先祖の)お墓じまいをしたいとか、お墓をどうしたらいいかと相談される人が増えている。

お墓を解体・撤去して更地にする「墓じまい」の相談だった。

斜面にびっしりと積まれているのは、ほとんどが墓石。端から端までの距離は200メートルを超え、その数2万基以上。

多くが「墓じまい」によって行き場を失った墓石だ。

「墓じまい」する件数は年々増えていて、2011年度まで毎年7万件程だったが、2017年度以降は毎年10万件を超えている。

こちらのお寺では、持ち主が管理できなくなった墓石を預かり、供養している。

妙楽寺 鈴木政彦住職:
(お墓を)壊すというのもあるし、改装費や移転とか。本人のお家の事情もあって、遠くに引っ越してしまったりとか、故郷が遠いがお墓をわざわざ引っ越し先に持って行くわけにもいかないので、お寺の方でお預かりしてくださいとか。

少子高齢化の影響などでお墓の継承が難しくなる中、墓石の預かり相談は今も絶えず、墓石は増え続けているという。
「ゆっくりお休みなさい」妹の遺骨を埋葬に来た女性
こうした事情から今、墓石を使わない埋葬の方法が注目されている。それが「自然葬」だ。

その1つが、墓石の代わりに木をお墓として遺骨を埋葬する「樹木葬」。

町田いずみ浄苑 白木勇一代表:
樹木葬の場合は、お求めいただければ、その後、年間の管理料といったものが必要ございません。お墓の管理は、うちの方で今後もずっとやっていきますので、安心してお求めいただけると思います。

一体、どのように埋葬するのか?実演してもらうことに。

まず、遺骨の入った袋(※骨の代替品を使用)を地面の穴の中へ入れ、ふたを閉める。


町田いずみ浄苑 上嶋秀樹さん:
ふたを閉めた後に土を入れさせて頂きます。この穴を掘ったときに出た芝です。それを最後に上に乗せるという形になります。


永代供養料は、一番安いもので2人で50万円から。管理料などは必要はない。
70代女性:
やっぱり自分の子どもたちに負担がかかるから、それが嫌なので。これだったら負担にならないかなと思って。
70代女性:
全然安い。お墓は何百万円だもんね。こっちは100万円もいかないから。

この日、89歳で亡くなった妹の遺骨を埋葬に来たという、94歳の女性に話を聞くことができた。

妹の遺骨を埋葬に来た女性(94):
ゆっくり、ゆっくりお休みなさい。桜の木の真下です。
なぜ、樹木葬を選んだのか?

妹の遺骨を埋葬に来た女性(94):
「お姉、桜はいいね。桜葬ってロマンチックでしょ」と妹が言ってたの。

春になると満開になる桜の下で眠りたいという、妹の希望だったそうだ。

妹の遺骨を埋葬に来た女性(94):
ここに連れてきて良かったと思います。やっぱり喜んでいるなという感じがします。
花をまき黙祷 海洋散骨を体験した感想は
さらに近年申し込みが増えているのが、海に遺骨を撒く「海洋散骨」だ。
ハウスボートクラブ 畑山花朱美さん:
大体45分程度で、羽田空港沖の散骨ポイントに到着いたします。

都内で行われていたのは、海洋散骨の体験クルーズ。
50代男性:
東京にお墓はあるんですけど、面倒を見るのかどうかというと、段々分からない状態になってくると思うので…。
60代女性:
形を残したくない。お墓という形ではなくて、何もないようにしていきたい。(自分と夫)2人とも海が大好きですから、海に戻れればいいなと思ってます。

勝どきにある小型船乗り場を出航し、レインボーブリッジ経由で羽田空港沖に向かい、東京湾に散骨するこの体験クルーズ。
一体、どのようにして行われるのか?散骨ポイントに到着すると…。

ハウスボートクラブ 畑山花朱美さん:
塩と小麦粉が入っています。なるべく海面に手を伸ばして傾けて、袋も水に溶けるので一緒におたむけいただいて大丈夫です。

今回は体験クルーズのため、遺骨に見立てた塩と小麦粉を撒く。

ハウスボートクラブ 畑山花朱美さん:
お花、一箱ございますので。

そして、花びらも遺骨と一緒に海へ…。

散骨後はデッキに集まり黙祷。

散骨ポイントをゆっくり3周まわり、故人との最後のお別れの時間を過ごす。

散骨体験の感想を聞いてみると…。

40代男性:
粉が溶けていく様子を海で見ていると、自然にかえるんだなという感じがあって。とてもいいなと思いました。
60代女性:
体験ですけど、主人を見送っているような気持ちになっちゃいました。

散骨後は管理費を支払う必要なく、料金は29万7000円からとなっている。
ハウスボートクラブ 赤羽真聡社長:
散骨が絶対ですよというものではなくて、お客さまの選択肢の1つとして海洋散骨というサービスを提供しているので、我々は最高のサービスを提供するだけかなと思っています。

多様化する価値観とともに、埋葬方法の選択肢が広がりつつありる。
(「イット!」11月11日放送)