福岡・柳川市の美容専門学校でバーベキューの最中に18歳の男子生徒1人が死亡した事故。学校側は、事故から3週間以上が経過した2023年6月17日、ようやく保護者向けの説明会を開いた。

紛糾する声も…ようやく保護者説明会

取材班は、説明会の一部始終を記録した音声を入手。男性理事長の口から語られたのはずさんな管理の実態だった。

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保護者説明会(6月17日)

保護者:
子どもは炭にアルコールが使われていたのは知らなかったと言っていた

理事長:
事前説明は生徒にはしていません

保護者:
危険なモノを使うのに、ほかの先生から異論はなかったのか?

理事長:
はい!されませんでした!

こう話したのは柳川市のハリウッドワールド美容専門学校の古賀英次理事長(63)。事故を受けた保護者説明会がようやく、開催された。

岸本貴博記者(6月17日):
まもなく保護者説明会が始まります。学校の前には職員のほかに警備員も立っています

警察も駆けつける厳戒態勢の中、説明会には200人以上の保護者が出席した。

事の発端となったのは5月24日、生徒など約480人が参加したバーベキューで、火が弱まったコンロに20代の男性教師が「消毒用アルコール」を加え、炎上した火が生徒4人に燃え移り、そのうち18歳の男子生徒1人が死亡した。

さらにバーベキューでは古賀理事長が自ら「消毒用アルコール」を使い、火起こしを行っていた。

事故から3週間以上がたち、ようやく開かれた保護者説明会。冒頭、亡くなった生徒に黙とうがささげられたあと、理事長は保護者に謝罪したが、語られたのはずさんな管理の実態だった。

保護者説明会(6月17日)

理事長:
火起こしにあたり、熱中症や食中毒にならないよう、早く焼けるように「消毒用アルコール」を使用しました。コップ1杯くらいのアルコールを足して火付けが終わった

その後、理事長は「消毒用アルコール」を片付けるよう指示したが、そのまま現場に残され事故につながったという。

保護者説明会(6月17日)

理事長:
アルコールを注いだ職員が側に居ましたので、そのときにびっくりして、アルコールはないものだと思ってましたので「なおしとかんといかんて言ったやろ」と言いました

保護者:
担当の先生がアルコールを注入して事故につながったとなっているが、着火後の追加は危ないと、通常であれば認識しているはず。そこにおいて事前に職員への注意喚起はなかったのか?

理事長:
それはしておりません。それはなぜかというと、危険な作業は全て、だいたい私が1人でしてきて、生徒の安全を確認した上で行事を行っていたので

古賀理事長は自信満々に語ったという。

バーベキューの火が消えそうになったため男性教師が消毒用アルコールを追加でかけたことについて、保護者から「理事長がアルコールを追加するよう指示したのか」という質問が出たが学校側(学園長)は「理事長の指示ではない」と否定した。

しかし、1人の保護者が「うちの子がすぐ近くにいた。理事長が指示したことを聞いている」と声をあげると、学校側は「映像に残っていない」と説明した。保護者からは「うちの子どもも聞いている」という声が相次ぎ「そばで聞いていた生徒がこれだけいるのになぜ言い逃れするのか」と紛糾した。

消火のための設備も不十分

理事長は「消毒用アルコール」を火に近づける危険性をどこまで認識していたのか。

保護者説明会(6月17日)

理事長:
アルコールの危険性とかそういうものについては、えー、確認と言いますか、そのう…、いろいろなホームページとかでの確認とか、そういうのは行っていません

保護者:
子どもに聞いたら「それぞれの炭にアルコールが使われていたのは知らなかった」と言っていた。そこの説明は生徒にしていた?

理事長:
(自信満々に)生徒にはしていません

さらに消火のための設備も不十分だった。

保護者説明会(6月17日)

保護者:
バケツに水を張ったりとか消火器とかを準備したりすると思うんですけど、今回はどういった準備をされていたんですか

理事長:
水道の蛇口があるので、それで対応するといつも考えていたんじゃないですか

保護者:
その水道の蛇口にひねる部分はちゃんと付いていた?

理事長:
いや、その日は付いていなかったです

なんと消火のための水道もハンドルがなく、当日は使用できない状況だったのだ。

保護者説明会(6月17日)

保護者:
この事故が、なぜ起きたのか。その原因は誰なのか。亡くなった人もいる。顔を半分やけどした人もいる。被害が残る生徒も出ている。保護者、在校生、卒業生含めて、いろんなかたちで被害者がいる。誰がどういうかたちで責任を取るのか。そういうことを聞いている

理事長:
それは、ここの学校の責任は、全て、私にあります

余計に「火に油を注ぐ」結果に?

説明会に出席した保護者は―。

保護者:
余計に「火に油を注ぐ」じゃないですけど。何にも進展もないんじゃないかな。ただただ開いて、受け身で、ひたすら突っ込まれたことに対してのらりくらり…。「時間がたてば解決しちゃうんじゃないの」ぐらいにしか思っていないのかな?というのはありますよね」

さらに事故が起きた直後の週末にオープンキャンパスが開催されていたことも明らかになった。

この説明会で辞任の意向を示した古賀理事長。6月23日には弁護士らでつくる第三者委員会を設置するとしている。

(テレビ西日本)

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