突然の吐き気や下痢…夏に増加するのは「細菌性の急性胃腸炎」だ。数週間で治る場合がほとんどだが、受診が遅れると死に至るケースもある。専門医は気温が上昇するこれからの時期「予防の3原則」の徹底を呼び掛ける。

「細菌性」の胃腸炎に注意

胃腸炎の症状は下痢や嘔吐(おうと)、食欲不振、腹痛、血便など人によって異なる。原因は暴飲暴食をはじめ、過労やストレスなど様々ある。

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ただ、暑くなるこれからの時期、特に注意が必要な胃腸炎がある。福井市の田中病院大腸肛門外科部長、飯田善郎医師は「細菌性」への注意を促す。

飯田善郎医師:
細菌が食べ物に付いて、いわゆる食中毒は微生物が原因であることが多い。生もの、生の魚や肉などの中にいることが多い

この場合、便などとともに体内で増殖した病原体が排出されるため、一定の時間が経過すれば自然と改善していくことがほとんどだ。整腸剤など症状を緩和させる治療を行う。

命に関わる危険性も…

数週間ほどで治るとされている急性胃腸炎だが、侮ってはいけない。命に関わる危険性もあるのだ。

飯田善郎医師:
子どもや高齢者は元々抵抗力が弱いので、重篤な状態になることがある

子どもや高齢者は、吐いたり下痢をしたりして脱水状態になっても、自分で気づかないことがあり、注意が必要となる。

さらに初秋にかけて特に注意すべきは腸管出血性大腸菌=O157だ。

飯田善郎医師:
O157に感染するのはまれだが、体内に入り増殖してベロ毒素を作り出す。この毒素が全身に回ると、最悪の場合は命を奪われる

O157は動物の腸内に生息し、十分に過熱されていない食肉や加工品などを食べることで人間にも感染する。便の検査などで判明するため、血便などの症状が出た場合は早急に病院へ行き検査する必要がある。

食中毒を防ぐ3原則

細菌性胃腸炎を予防するために重要なのが「つけない」「増やさない」「やっつける」の3つの原則だ。

飯田善郎医師:
「つけない」とは菌をつけないこと。手洗いをしっかりする。食べ物にラップをかけて細菌をつけないようにすることが必要

「増やさない」とは、菌が増える前に早めに食べきったり、こまめに冷蔵庫に入れたりすることに注意する。

最後に「やっつける」は、食材を加熱処理するなどして、菌をしっかりと殺すことだ。この3原則を意識することで、飯田医師は「かなりの細菌性の急性胃腸炎は予防できる」と強調する。

(福井テレビ)

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