糖尿病患者だけでなく、子供や健康な大人でも発症する症状に「低血糖」がある。目まいや発汗といった症状が出るが、これらは熱中症の症状と似ている。専門の医師は「熱中症と判断を誤り正しい治療をしないと、命に関わる危険がある」と注意を呼びかける。

熱中症と間違いやすい低血糖の症状

発汗や目まい、頭痛など、熱中症と同じ症状が出るのが「低血糖」だ。福井大学病院の内分泌・代謝内科、藤井美紀医師は次のように指摘する。

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藤井美紀医師:
目まいの原因は、すぐに熱中症と決めつけやすいので注意が必要。正しい処置が遅れると、最悪の場合、命の危険にさらされる

通常、食事で糖類を摂取し血糖値が上がると、膵臓(すいぞう)からインスリンというホルモンが分泌され血糖値を下げる。このサイクルが働くことで、体内の血糖値は常に一定に保たれる。

しかし、ある条件になると血糖値が過度に減少する恐れがある。血糖値が過度に減少した状態を「低血糖」という。

低血糖は発汗、冷や汗、手足の震え、動悸(どうき)が主な症状だ。重症になると目まい、頭痛、集中力の低下を引き起こす。さらに進むと意識障害を引き起こし、昏睡状態に陥る恐れもある。

低血糖を発症しやすい人は?

低血糖を発症するのは、大多数が糖尿病患者だ。国内では、患者とその予備軍を含めると2,000万人がそれに該当する。実に6人に1人の割合だ。

ただ注意が必要なのは、糖尿病患者だけではない。

特に子供は糖の代謝能力が大人より低いため、低血糖になりやすい。例えば疲れて夕食をとらずに寝てしまった翌朝は要注意。発熱や胃腸炎などで十分な食事がとれない場合も注意が必要だ。

健康な大人でも不規則・不健康な食生活を続けていると、膵臓からインスリンが過剰に分泌され、低血糖を引き起こす恐れがある。食事の量やカロリーを考え、決められた時間に摂取することが重要だ。

低血糖になった時の対処法

では、低血糖になってしまったらどう対処すればいいのだろうか。

藤井美紀医師:
低血糖になった場合、ブドウ糖を摂取すれば15分程で回復することが多い。ブドウ糖がないときは、ブドウ糖を多く含む飲料水か、多めの砂糖を摂取するといい。ただし、意識障害や昏睡が起きている場合はすぐに救急車を呼んでほしい。糖尿病の方は症状や対策について家族や職場の人に伝えておくことが大切。判断に迷った場合は医療機関を受診するようにしてください

(福井テレビ)

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