思い出の1枚を鮮やかによみがえらせてくれる専門店が、福岡市にオープンした。

昔の写真をカラーに変える専門店

レトロな車の前でポーズを決める親子の写真。1960年代に福岡市の中洲で撮影された1枚だ。この写真が…。

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車は鮮やかなグリーンに、男の子が着ている服はイエローに、白黒写真が鮮やかなカラー写真へと生まれ変わった。

さらに、1971年に春日市で撮影された写真。この写真は…。

親子が乗る自転車や背景のビルが、色彩豊かに再現された。

古い白黒写真をカラーに変えたのは、2023年3月に九州産業大学の大学院を修了した伊藤晃生さん。

大学院時代に白黒写真の修復やカラー化を研究していて、その専門店「モノカラ」を福岡市東区にオープンした。

「モノカラ」・伊藤晃生代表:
家族が写した写真や、ご先祖が残した写真をカラー化して楽しんでもらえる。そういったことを提供したい

この日、「モノカラ」を訪れたのは、亡くなった祖父母の写真をカラーにしてほしいという依頼客。

「モノカラ」・伊藤晃生代表:
拝見いたします。写真館で撮られたお写真ですね

来店客:
「結婚式で、料亭で撮った」って母が言っていた

振り袖を着た女性とスーツ姿の男性が少し緊張した面持ちで映っているこの写真は、1962年に撮影されたものだという。

来店客:
遺品整理をしている時に、たまたまきれいな状態で結婚式の時の写真がでてきたので、「せっかくこういうサービスがあるからきれいにしてもらおうかな」と。すごい楽しみです

手作業で色彩をより自然に再現

白黒写真をAI(人工知能)によってカラー化する技術はすでに広く知られている。しかし、大学院時代に研究を続けてきた伊藤さんは、AIには頼らず、編集ソフトを使って全て手作業で色をつけていく。その理由は…。

「モノカラ」・伊藤晃生代表:
AIでカラー化してしまうと、どうしても最後まで色が塗られていなかったり、正確な色ではなかったりということがほとんど。なので、こういったことがないようにいろんな調査をしたうえで色を再現しています

AIでカラー化した写真と、伊藤さんが手作業で色を付けた写真を見比べると、伊藤さんのカラー化の方が、自然な状態で色が再現されている。

伊藤さんは、当時のファッションや撮影された場所などをインターネットや本で調べるほか、時には専門家に話を聞くなどして色を決めていると話す。

鮮やかなカラーに生まれ変わった写真

数日後…。1962年の料亭での写真が出来上がった。

新婦の振り袖は華やかに彩られ、新郎のネクタイは豪華な金色に。じゅうたんや床の間まで鮮やかなカラーになって生まれ変わった。

来店客:
すごい

「モノカラ」・伊藤晃生代表:
おそらくこの色だったかと思います

来店客:
すごい、きれい!

完成した写真を受け取りに来た客は…。

来店客:
白黒で見るのとイメージが全然違う。華やかな結婚式の雰囲気が伝わって、祖父母のことを考えるタイミングになりましたし、より身近に感じられてうれしい

「モノカラ」・伊藤晃生代表:
ご先祖がどんな時代を生きたのか、昔の日本や世界はどうだったのか、色を付けて深く知っていただく機会につながればいい。家族とのつながりを強める時間にしてもらえたらと思います

思い出が詰まった昔の写真を鮮やかによみがえらせてくれるサービスは、家族とのつながりや当時の暮らしに思いをはせるきっかけになりそうだ。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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