再開発が進む札幌で、約30年間にわたって「流行の拠点」となってきたファッションビルが5月16日、またひとつ閉館した。札幌中心部が今、新たな姿に変わろうとしている。
最後のセールには大勢の客が…
札幌市中央区のファッションビル「ピヴォ」。
閉館前の最後のセールには大勢の客が訪れていた。
オープン前の準備段階から30年にわたり、ピヴォに携わってきた館長の丹内大博さんは…。
ピヴォ 丹内 大博 館長：
寂しい気持ちでいっぱいです。開業時どれくらいの客が来るのか心配だったが、開店日オープン時に玄関で迎えたときには、１千人近い客が並んでいて
取り壊しの理由は、老朽化に加え、現在の耐震基準を満たさないこと。跡地では3年後の開業を目指して商業施設やホテル、オフィスなどが入る複合商業施設の建設が計画されている。
再開発が進む札幌
再開発が進む札幌市中心部。新幹線延伸工事のため、札幌駅エリアの商業施設では2022年9月のパセオ閉鎖に続き8月末にはエスタが閉館。大通地区でも2022年1月、4丁目プラザが閉館。
札幌の街にとってピヴォはどんな店だったのか？
スタイリスト 石切山 祥子さん：
若者も手が出しやすい良いブランドがたくさんあった場所。セレクトショップなどおしゃれでマニアックなブランドも入っていて、仕事が楽しかった記憶がある
札幌のファッション事情に詳しい、スタイリストの石切山祥子さん。写真撮影などに使う洋服選びや新聞記事の執筆のために、ピヴォをよく利用したという。
スタイリスト 石切山 祥子さん：
パルコ・4プラ・ピヴォの3つで客層が分けられていて、カルチャーとファッションが融合した店や、どちらかというと一般受けというよりおしゃれな人が好きな建物だった
ピヴォが現在入っている建物は1968年に完成。1973年からは大手スーパー・ダイエーの北海道1号店が入っていたが、1995年にファッションビルとして生まれ変わった。
丸井、三越の老舗に加え、パルコや4丁目プラザ、そしてピヴォ。札幌の商業の中心だった大通地区だったが、2003年JRタワーを中心とした大型商業施設が開業すると大きく客を奪われることに…。ピヴォも苦境に立たされる。
流行の拠点とした「ピヴォ」の歴史
現在の館長・丹内さんが力強い声でげきを飛ばす。
ピヴォ 営業部長（当時）・丹内 大博さん：
もう少しパブリシティーの部分で各雑誌社にPRをしてくれる？これだけピヴォが変わるんだという部分を！
2004年にUHBが放送したニュース特集。タイトルは「大通の逆襲」。
ナレーション：
ピヴォも売り上げが十数パーセント減り、巻き返しをかかるために丹内さんはこの春から大掛かりな改装にとりかかりました
海外の高級ブランドの旗艦店オープンをきっかけに札幌駅エリアへの逆襲を試みたのだ。今では考えられない大胆なPR作戦も敢行。誘致した高級ブランドの服を着た大勢のモデルが街を闊歩（かっぽ）。さらにオープン前には当時の人気モデルを招いたパーティを開催。
出席者の中にはこの人の姿も！
ピヴォ 丹内 大博 館長：
新庄監督や押切もえさんだとかモデルさんにも来てもらい、札幌では珍しいレセプションだった
大胆なPR作戦が功を奏し、開店前には大行列ができた。
ピヴォ 丹内 大博 館長：
予想以上の客で、売り上げも予想以上だったのは思い出になっている
複合商業ビルとして再スタート
札幌駅エリアの台頭や、不況やコロナ禍。数々の荒波を乗り越えてきたピヴォだが、5月16日閉館することになった。
旭川市から来た客：
旭川にはデパートがないのでやはりここまで買い物に。なくなるのは寂しい
札幌市民：
学生のころから通っていたので寂しいのが一番。あちらこちら店が閉まっているのでここもかと思って
しかし、これでピヴォは終わりではない。
ピヴォ 秋山 義彦 マネージャー：
既存店舗（ZARA）のある1階・2階・地下1階のフロア以外は全部改装。新しいテナントには全部新しいビルに見えると思う。7階～8階には美容、6階から地下1階がファッションのフロアに
6月8日、これまで「イケウチ・ゾーン」として営業していた建物を改装し、「ピヴォクロス」として新たなファッションビルが誕生。大通公園から南のエリアでは、狸小路で水族館の入る「モユク札幌」が7月に。ラフィラの跡地には映画館などが入る「ココノ ススキノ」がこの秋に開業する。
街が大きく様変わりするのだ。
ピヴォ 秋山 義彦 マネージャー：
ススキノに向かうに従いアミューズメント感が強くなる。南1条通は三越や丸井パルコもあり、昔からファッションの流れをくむ店が多いのでこの通りがファッションの通りになっていく可能性が高い
札幌市民：
すごく楽しみです。子どもと一緒に来ることができる場所や、過ごしやすくなったら良いと思う
新しい街へ！札幌の街は今も変わり続けている。
（北海道文化放送）
