“札幌の象徴” 50年の歴史に幕

新幹線の札幌延伸に2度目のオリンピック誘致。北海道を劇的に変えた1972年の冬季オリンピックから50年、札幌を中心に再開発計画が進んでいる。

生まれ変わろうとする札幌で、北海道の若者に「トレンド」を発信し続けてきたあるビルが、間もなく役割を終えようとしている。

女性:
行くところがなくなるから悲しい

男性:
小さいころからびっしり来ていた。なくなるのはすごく悲しいですね

女性:
寂しいのと、新しい建物がどんなのかなという期待と

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再開発ラッシュを迎えた札幌中心部。北海道新幹線の札幌延伸が予定されている2030年に向けてビルの建て替えが進み、街並が大きく変わる。

一方、始まりがあれば終わりも。「4プラ」の愛称で親しまれた、札幌・大通地区のファッションビル「4丁目プラザ」が、2022年1月末、50年の歴史に幕を下ろす。

4丁目プラザで働いていた 飯塚 優子さん:
(1972年の)冬季五輪を境にして新しくなった、札幌のまちの象徴的なものだと思う。4丁目プラザは

エッセイスト 和田 由美さん:
ファッションだけでなく文化の集まるところでもあった

札幌のトレンドを発信し続け、時代を築いた4丁目プラザ。その歴史を振り返る。

ビルの新設続々 水族館併設のマンションや映画館も

初売りに来た人:
6時半くらいに家を出ました。パセオですごく買い物します

初売りに来た人:
服を買いました。お正月だったので初売りを楽しみにしていました

JR札幌駅に隣接する商業施設「パセオ」のJRタワーバーゲン。初日の2日は開店前から多くの人が列を作り、洋服や雑貨などを買い求めた。

この恒例の初売りは2022年が最後だ。北海道新幹線の新駅建設工事の影響で、9月末の閉店が決まっている。

パセオに隣接するエスタも2023年夏に閉店。札幌駅周辺では2030年の北海道新幹線札幌延伸を見据え、大小合わせて10件ほどのビルが新設される見通しだ。

さらに、大通公園の南側でもビルの建て替えや新築工事が行われ、再開発が進む。

2022年秋に商業施設の「イケウチゲート」が開業を予定しているほか、2023年には狸小路に建設中の水族館を併設した高層マンションが。そして、ススキノには映画館やホテルを整備した商業ビルが相次いでオープンする。

新しく生まれ変わる建物がある一方で、歴史に幕を下ろすビルも。1971年に開業したファッションビル「4丁目プラザ」だ。

若者が集った「4プラ」誕生のきっかけ

建物の老朽化に加え、耐震性にも問題があるとして1月31日に閉店する。「4プラ」最後の初売りには、別れを惜しむように道内各地から多くの人が訪れた。

旭川市から:
若者に合うようなブランドや雑貨がいっぱいあった。値段も安いし、よく買いに来ています

石狩市から:
買い物に行くところがなくなっちゃうので悲しい

石狩市から:
嫁には言えない思い出がいろいろある。なくなるのはすごく悲しい

札幌市内:
10代から通って、成長とともに欲しい服も変わったけれど、それでも4プラに来たら欲しい服がある。閉店はさみしい。時代が変わるんだな

開業から50年を振り返る冊子の制作を手掛けた、出版社社長でエッセイストの和田由美さんに、4丁目プラザ誕生のきっかけを教えてもらった。

エッセイスト 和田 由美さん:
札幌冬季五輪が1972年2月に行われたが、その前に駅前通りに小さなお店が並んでいたところを全部ビル化していった。小さな店は入居する場所が少なくなるので、ビルに入居する形になった。それが4プラにつながっていく

喫茶店や新聞社、証券会社などが立ち並んだ十字街の一角も道路の幅を広げる工事の対象になりった。そこで、地権者が共同でビルを建設。当時はまだ珍しかったファッションビルの「4丁目プラザ」が誕生した。

エッセイスト 和田 由美さん:
大通地区に4プラができたのが一番大きかった。地場のファッションビルができるのはすごいこと

雑貨店や飲食店に加え、ファッションに特化してテナントを集めた。最先端の流行を発信し、多くの若者が集まった。4プラの魅力はファッション以外にもあったという。

芝居に音楽…文化の発信拠点でもあった

エッセイスト 和田 由美さん:
お芝居を始めたりコンサートをしたり、ギャラリーとして使ったり。ファッションだけではなく、文化の集まるところでもあった

4丁目十字街には、1975年にファッションビルの「パルコ」が進出。4プラは独創性を武器にさらなる賑わいを生み出そうと、1977年に1坪1万円で店を出せる自由市場を設置。「4プラホール」を併設し、ここが文化の拠点となった。

4丁目プラザで働いていた 飯塚 優子さん:
これは「自由市場 小劇場」といって、4プラホールで芝居をやりたい人がたくさん来たので、「おもしろそうね」って

10年間、4丁目プラザで販売促進を担当していた飯塚優子さん。4プラホールの企画や運営も担っていた。

当時流行していたパンクやニューウエーブの音楽ビデオの上映会や、海外の写真家を招いた作品展など、様々なイベントを企画したが、特に人気を集めたのは「演劇」だったと振り返る。

4丁目プラザで働いていた 飯塚 優子さん:
公演は1年に春と秋の2回。客はびっしり。肩を寄せ合って座って、後ろの方はもちろん立ち見

流行を求めて若者が集うだけでなく、芸術作品を披露する力試しの場、交流の場として幅広い年代から親しまれてきた。

4丁目プラザで働いていた 飯塚 優子さん:
工夫しながら札幌まちの人に寄り添って発展していった店。札幌のいろんな文化に関わる人たちの原点になっているかもしれない。4プラ、自由市場

流行や文化をけん引してきた4丁目プラザ。閉店まで1カ月を切ったが、跡地の利用については検討が続いている。

北海道の「文化の発信基地」は新たに生まれ変わることができるのか。

少なくとも25カ所の再開発計画が進行中

札幌市中心部の再開発は、計画中を含め少なくとも25カ所ある(2021年12月時点)。

札幌駅は新幹線駅の建設が進んでいて、「札幌西武跡地」に2028年に約200メートルの商業ビルが、「札幌エスタ跡地」には2029年に約250メートルの商業施設が開業予定。

大通周辺でも「狸小路3丁目」に水族館、「ススキノラフィラ跡地」には映画館が入るビルが2023年春から秋にかけて開業予定。「4丁目プラザ跡地」は検討中だ。

2030年度に向けて、札幌の中心部が大きく変わろうとしている。

(北海道文化放送)

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