ゴールデンウィークが終わり、なんとなくやる気が出ないなど、「5月病」を自覚している人もいるのではないだろうか?

こうした中、「5月病」の傾向を読み取ることができる調査結果を積水ハウスが公表した。

調査は3月20日~22日、全国の20~60代の男女540人を対象に実施。この「5月病に関する調査」で、昨年(2022年)のゴールデンウィーク明けは、35.0%の人が体調の変化があったことが分かった。

2022年に5月病になったかどうか(提供:積水ハウス)
2022年に5月病になったかどうか(提供:積水ハウス)
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体調の変化があった人のうち最も多かったのは「職場に行きたくない」の50.3%で、2位以下は「気力がない」(45.0%)、「気分が落ち込む」(41.3%)が続き、気分に関わる変化が上位という結果になった。

2022年に5月病になった人の体調の変化(提供:積水ハウス)
2022年に5月病になった人の体調の変化(提供:積水ハウス)

体調に変化があった人に、その原因と感じていることを聞いたところ、コロナ禍前後ともに「出社のストレス」が最多だった。

しかし、「出社のストレス」は、コロナ禍前の2019年以前は47.1%だったのに対し、2022年は42.3%で、コロナ禍を経て、4.8ポイント減少している。2位はコロナ禍前後ともに「人間関係の変化や悩み」、3位はコロナ禍前は「ゴールデンウィーク期間中の生活習慣の変化」、コロナ禍後は「早起きのストレス」という結果になった。

また、コロナ禍前後で最も変化が大きかったのは「役職や仕事内容の変化に対する悩み」で、10.0ポイントの増加となっていた。

体調の変化の原因(提供:積水ハウス)
体調の変化の原因(提供:積水ハウス)

5月病になった人の割合を年齢別にみると、20代が43.3%、30代が45.0%と特に高い一方、50代も約3割が5月病になっている。積水ハウスは「5月病に年齢はあまり関係はないと言えそうです」としている。

勤続年数別にみると、最も多いのが「3年以上5年未満」の61.0%だった。これについては「5月病は若者や新入社員に限らず、誰にでも起こりえるものであると考えられます」としている。

2022年に5月病になった人の割合(提供:積水ハウス)
2022年に5月病になった人の割合(提供:積水ハウス)

生活の変化があった直後は、とくに5月病になりやすいことも分かった。

直近の生活に変化があった人となかった人で5月病になった人の割合をみると、「(生活の)変化はない」人が29.0%に対し、「(生活の)変化があった」人では13.4ポイント高い42.4%という結果に。

生活の変化(提供:積水ハウス)
生活の変化(提供:積水ハウス)

今回の調査では、「働き方、睡眠や入浴の質、家族との関係性などの項目において、満足度が高い人」ほど、5月病になりにくいことも分かっている。

中でも、働き方において「満足」または「概ね満足」と回答した人のうち26.5%が2022年に5月病になったのに対し、「少し不満」または「不満」と回答した人では23.9ポイント高い50.4%が5月病になっており、とくに5月病との関連が大きいことが読み取れるという。

働き方などの満足度が高い人ほど5月病になりにくい(提供:積水ハウス)
働き方などの満足度が高い人ほど5月病になりにくい(提供:積水ハウス)

昨年の状況は分かったが、今年は新型コロナウイルス感染症の「5類」移行という大きな変化があった。5月病になる人は増える可能性が高いのだろうか? また、今年、5月病にならないためには、どのような予防をすればいいのか?

積水ハウスの担当者に“5類”移行と重なる今年の傾向と予防法を聞いた。

「30代」が最も多かった理由

――ゴールデンウィーク前の3月に、このような調査を行った理由は?

積水ハウスの住生活研究所では、暮らしにおける「幸せ」のさらなる追求のために様々な研究を実施し、家族やライフスタイルの多様な変化に対応する幸せのかたちをご提案しています。

今回は、ゴールデンウィーク明けの体調の変化が起こりやすい時期に向けて、リフレッシュできる生活空間や、小さな暮らしの工夫の提案へつなげるため、ゴールデンウィーク前の3月に本調査を実施しました。


――「出社のストレス」は、コロナ禍前の2019年以前は47.1%だったのに対し、2022年は42.3%と減少した。この理由としては、どのようなことが考えられる?

理由の一つとして、コロナ禍で在宅勤務やフレックス勤務が広がったことで、柔軟な働き方が可能になったり、通勤時間の混雑が緩和されたりして、出社の負担が軽減された人がいることが予想されます。

(画像はイメージ)
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――昨年、5月病になった人を年齢別に見ると、最も多かったのは「30代」だった。この理由として、考えられることは?

生活の変化があった人、なかった人を年代別に分析したところ、転職や部署異動、職種の変更をはじめ、何らかの生活の変化があった人の割合が最も高かったのが30代でした。このことが、30代がもっとも多い理由である可能性が考えられます。


――「働き方、睡眠や入浴の質、家族との関係性などの項目において、満足度が高い人ほど5月病になりにくい」。この理由としては、どのようなことが考えられる?

これらの項目において満足度が高い人は、仕事や生活の中でのストレスが少ないことや、日々の生活の中で、しっかりとリフレッシュをして、疲れやストレスを取ることができていると予想されます。それが5月病になりにくい理由の一つになっていることが考えられます。

「5類」移行…今年の5月病に影響は?

――今回の調査結果、どのように受け止めている?

今回の調査では、ゴールデンウィーク明けの気分や体調の変化は誰もが経験する可能性があること、また、生活の変化があった直後はとくに注意が必要であることなどが分かりました。

また、今年は新型コロナウイルス感染症の5類移行で、外出や外食などの機会が増える等、生活が変化する人が多いこともわかりました。

そんな時期だからこそ、おうち時間もより大切にし、自宅での睡眠や入浴の時間などを、一つ一つ丁寧に過ごして、リフレッシュにつなげていただけたらと考えています。当社は、そのような住まいや暮らしの提案に注力したいと思います。

(画像はイメージ)
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――今年は「5類」への移行という大きな変化があった。5月病になる人は増える可能性が高い?

今回の調査では、生活の変化があった直後は、とくに5月病になりやすいことが分かっています。

直近の生活に変化があった人のうち42.4%が2022年に5月病になったと回答しましたが、生活の変化がなかった人ではその割合は29.0%でした。その差は13.4ポイントと、生活の変化は5月病に関連があることが予想されます。

今年は大きな変化があるという点では、外出や自宅でしっかりリフレッシュすることを心がけ、気分や体調の変化を予防していただけるとよいと考えています。


――今年、5月病にならないためには、どのような予防をすればいい?

自宅でしっかりリフレッシュできるよう、5月病との関連が高いことが分かった睡眠や入浴の質を高めたり、家族との時間を大切にしたりすることをおすすめします。

例えば、寝室には体内時計をより整えるために調光・調色の照明を取り入れたり、入浴は体温が下がって寝付きやすくなるよう、就寝の2~3時間前にお湯につかったり、ボディケアなどでゆっくりと自分を労わる時間を設けたりするなどです。

他にも、軽い運動やティータイムなど、日々の生活の中でリフレッシュするための、自分だけのルーティーンをつくってみてもよいでしょう。

(画像はイメージ)
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例年の生活の変化に加え、今年は、新型コロナウイルス感染症の「5類」移行という、普段より大きな変化となっている。例年以上に5月病に注意して、睡眠や入浴の質を高めたり、家族との時間を大切にしたりするなど、予防策を試してみてほしい。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。