ロシアの首都モスクワ中心部のにある「赤の広場」に、プーチン大統領が姿を見せた。日本時間9日午後4時から戦勝記念日の式典が行われた。

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ロシアにとって5月9日は、第2次世界大戦で旧ソ連がナチス・ドイツに勝利した特別な日で、これまで盛大な軍事パレードで軍事力を誇示してきた。しかし今年は、例年と違って“異例ずくめ”だった。

プーチン大統領「ドローン攻撃」に触れず

「赤の広場」から見えるプーチン大統領の執務室があるクレムリン。

式典会場の向こうに見えるクレムリン
式典会場の向こうに見えるクレムリン

5月3日未明にドローン攻撃があった場所だ。

会場周辺の様子
会場周辺の様子

そのため、会場周辺は例年以上の緊張に包まれていた。午前7時には、3時間後の軍事パレードに向け、すでに厳重な警備態勢が敷かれていた。

朝から厳戒態勢が敷かれるなか、開幕セレモニーに続き、プーチン大統領が演説した。クレムリンへのドローン攻撃やウクライナ侵攻の“戦果”についてどう訴えるのか注目が集まった。

プーチン大統領:
現在、節目の時を迎えています。再び真の戦争となってきています。国際テロにいま対抗しています。ドンバスを守り、私たちの安全を守っています。

演説は、ウクライナ侵攻を正当化する内容にとどまった。

ドローン攻撃に触れなかった思惑について専門家はこう分析している。

拓殖大学・名越健郎特任教授:
国民の間でロシアの防空体制が弱体化しているのではないかという疑問や不安を招く可能性がある。戦況が長期化する中で、国民の不満、「早くやめてほしい」という声が確実に高まっている

パレードは規模縮小

さらに異例だったのは、演説後に行われた軍事パレードだ。

兵士に続いて姿を見せたのは、1両の戦車と複数の軍用車両。注目は戦車の数だ。

2022年の軍事パレード
2022年の軍事パレード

2022年のパレードでは、軍事力を誇示するかのように多くの戦車を走らせていたが、今年はわずか1両。

しかも登場したのは、第2次世界大戦で使われた「T-34」と呼ばれる旧式の戦車だった。

去年と今年を比べると、規模の違いがはっきりとわかる。

侵攻の長期化でパレードにかける余力がないのか、あるいは、次の攻撃に向けた準備を進めているのか。異例ずくめのパレードは様々な憶測を呼びそうだ。

(「イット!」5月9日放送より)

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