「子ども食堂」で子どもたちが食べたいものをスーパーのお客さんに買ってもらう　新しい形のフードドライブ【広島発】

広島市のある子ども食堂では地域のスーパーとコラボして、新しい形のフードドライブで、子どもたちが食べたい食材を集めている。どんな仕組みなのかを取材した。

スーパーで買い物客に子ども食堂が希望する食材を買ってもらう

広島市のとある公民館。ここで月に1度開かれているのが「パニパニ食堂」と名付けられた子ども食堂。

運営している木下薫さんは、子育てが一段落したのを機に、2022年10月に食堂をオープンした。

パニパニ食堂・木下薫さん：
地域のみんなと一緒に子育てできて楽しかったので、これからのお母さんたちにそれを伝えたいという気持ちと、西日本豪雨を実家で経験した時に、地域の人たちのつながりがとても大事だなと感じたこと、そういうのがきっかけになりました

この食堂で使われている食材の多くは企業や自治体から提供されたもの。
そのなかでも米やホットケーキミックスといった食材は、少し変わった形で集まったものだ。

3月上旬、広島市のスーパーで開かれていたイベント。
買い物客は商品そのものではなく、バーコードが書かれた紙を手に取っていく。

Ｑ：このフードドライブはどんなもの?
生協ひろしま・大内佳子理事：
子ども食堂にどんなものが欲しいかを聞いて、必要なものを私たちが購入をして、後日、子ども食堂に届けている

一般的に知られているフードドライブの仕組みは、自宅にたくさんあって食べきれなかったり、賞味期限が近づいている食材を寄付するもの。

しかし今回は、まず子ども食堂が希望する食材をスーパーがリストアップ。次に、買い物客は、そのリストの中から「子ども食堂に届けたい」と思った商品を購入し、後日、スーパーが子ども食堂に届けるという新たな形のフードドライブだ。
買い物のついでに客が子ども食堂のために食材を購入する形になる。

この日は店員からフードドライブの取り組みを聞いた買い物客たちが、次々と商品を手にする姿があった。

Ｑ：取り組みをどう思う?
買い物客：
すごくいいことだと思います。たまたま買い物に来たら、フードドライブをやっていたので”ぜひ協力したい”と思って

生協ひろしま・大内佳子理事：
子ども食堂の運営のために、地域の人たちが頑張っている。そこに小さい力ではあるんですが、子どもたちにも”笑顔で”食べてもらえたらいいなと思っています

新しいフードドライブで欲しい食材が手に入るように

今回集まった食材は今までにはなかった大きな意味が込められている。

Ｑ：欲しいものが手に入りづらかった?
パニパニ食堂・木下薫さん：
そうですね。なかなか手に入らなくて、もらったものだけでメニューを考えていたのが、今回、ホットケーキの粉をお願いさせてもらって本当にありがたい

おいしいものを子どもたちに食べてもらいたい。運営に携わるボランティアにも笑顔が広がる。

ボランティア：
午後5時からみなさんが来てくれるのが楽しみで、子どもたちの元気な声とかで、来たなっていうのが分かる
Ｑ：参加するのは楽しい?
そうですね。こちらの方が楽しみを貰っているというか、子どもたちに力をもらってるという感じ

ボランティアの高校生：
今までこんな経験したことなかったんですけど、このボランティアに参加して、小さな子たちとたくさん関わったり、大人の方と関わったりして、視野がすごく広がりました。この子ども食堂を利用するみんなに楽しく食べてもらって笑顔になってほしいなと思います

欲しかった食材でつくった品々。たけのこご飯や鶏肉の香味焼きなど、腕によりをかけた料理が並ぶ。

午後6時すぎ、家族連れが続々とやってくる。

ボランティア：
上手!!席まで気を付けてね。

子ども：
おいしい！

子ども：
ここに来るのが、やっぱ楽しみ。ここのご飯はおいしい

親：
おいしいです。毎回おいしい。子どもはお友達とご飯が食べられるし、自分もちょっと楽させてもらえるし、もうすごくありがたい場所です

ボランティアの高校生「自分を成長させてくれる場所」

ボランティアとして参加した高校生も、自分が育った地域のことを考えるキッカケになったと言う。
女子高校生：
パニパニ食堂は、自分を元気にしてくれるところでもあり、成長させてくれるところでもあって、来て良かったなと思える場所です

男子高校生：
地域の人とたくさん関われて、いい場所だなと思います

パニパニ食堂・木下薫さん：
企業から支援をもらえると活動に元気が出るというか、これからも継続していけるのかなという希望になりますね
Ｑ：どんな場所にしていきたい?
本当に”暖かい場所”。地域の皆さんに知ってもらって、誰でもいいんだよっていう優しい、暖かい場所にね。これからもして行きたいなと思います