広島県警に、2017年以来、6年ぶり2人目となる女性の「警察署長」が誕生した。24歳で結婚し、2人の子どもを育てながらのキャリアアップ。女性が上に立つことが難しい現状を歩んできた警察官の思いに迫る。

警部以上の女性警察官 わずか20人

「おはようございます!」
さわやかなあいさつをして3月6日、海田警察署に着任したのは沖中玲子署長。

広島県警の海田警察署
広島県警の海田警察署
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沖中署長は、呉市出身の57歳。1986年に広島県警に入り、これまで刑事部、総務部などを中心に歩み、広報課長を経て初めての署長就任に至った。

着任初日、署長の席に立つ沖中署長
着任初日、署長の席に立つ沖中署長

県内の警察署に女性署長が就任するのは、2017年以来、2人目だ。着任初日、海田署員へ向けたあいさつで警察官としての心構えを語った。

海田署・沖中玲子 署長:
地域住民の方は、皆さんのことを頼って警察に申し出たり、相談に来たりしている。どのようにすればその人のためになるのか、しっかりと考えて仕事をしていきたい

2023年1月1日時点で、広島県警に勤務する警察官は約5000人。このうち女性警察官は1割の約500人にとどまっている。その中で民間企業の管理職にあたる「警部以上」の女性警察官はわずか20人。年々増えてはいるものの、圧倒的に少ないのが現状である。

男女問わず、家庭と仕事の両立を

沖中署長は24歳の時に結婚し、2人の子どもを育ててきた。

海田署・沖中玲子 署長:
私が出産・育児をした時代は今のようにきっちりと制度が整っていなかったので、家族・夫・子どもに非常に協力を仰いで何とかやってこれたのが本当のところです

その言葉からは“家庭と仕事の両立”が決して簡単でなかったことがわかる。しかし、いくつものステップを乗り越えてきたからこそ、キャリアアップを目指す後輩の女性警察官にもエールを送る。

海田署・沖中玲子 署長:
それぞれの階級や立場で見え方が違ってくるので、今やっている仕事も頑張ってほしいが、女性警察官にも上の階級や上の仕事を目指してもらいたいと思っています

海田署・沖中玲子 署長
海田署・沖中玲子 署長

沖中署長の就任を受け、一緒に働く署員は…

海田署の署員:
以前、同じ警察署で勤務していた際、警察のトップランナーとして仕事ぶりはとてもすばらしいものでした

海田署の署員:
非常にやさしい印象を受けたので、いろいろ話をしてみたいと思います

海田署・沖中玲子 署長:
男性・女性を問わず、今の時代は家庭と仕事の両立を、難しいというより“やっていかなければならない”と思っています

家族に支えられ、県警史上2人目の女性警察署長となった沖中署長。男性も女性も関係なく署員が働きやすい職場を目指したいという。これからは、署のトップとして署員たちを支えていく。

(テレビ新広島)

テレビ新広島
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