静岡県の高校相撲界の名門・飛龍高校で、初の女子キャプテンが誕生した。兄は角界で活躍する熱海富士関だ。「強いキャプテンでありたい」と兄の背中を追い、高校の先輩・翠富士関の取組を学びながら悲願の日本一に向け稽古に励んでいる。

部員も納得の初の女子主将

鋭い踏み込みを見せる武井さん(右)
鋭い踏み込みを見せる武井さん(右)
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体重差40㎏の男子部員を相手に、立ち合いで鋭く踏み込み、休む暇なく攻め続ける。

名門・飛龍高初の女子主将
名門・飛龍高初の女子主将

静岡県沼津市の強豪・飛龍高校およそ50年の歴史で、初めてキャプテンを務める女子部員が、武井陽奈さん(17)だ。

武井さん「プレッシャーはなくうれしかった」
武井さん「プレッシャーはなくうれしかった」

飛龍高校 相撲部主将・武井陽奈さん:
自分はキャプテンのプレッシャーとかあまりなくて、まあポジティブな考え方の方が多かったのでうれしかったです

率先して練習前後の準備に
率先して練習前後の準備に

同級生も「とても自分に厳しく、周りもしっかりやらせるようにして、確かになっていう気持ちもありました」と、キャプテンの指名には納得の様子だった。

兄・熱海富士関の背中を追い

幼少期の熱海富士関と武井さん
幼少期の熱海富士関と武井さん

男子顔負けの強さを誇る武井さんの兄は、2022年に新十両から新入幕へと番付を駆け上がった熱海富士関だ。

兄の背中を追いかけ相撲を
兄の背中を追いかけ相撲を

兄の背中を追いかけ、武井さんも小学生で相撲を始めると、高校2年生では、大学生や社会人も参加する全国大会で3位に入った。「センスは兄をも凌ぐ」と呼ばれる実力が、全国の舞台でも花開こうとしていた。

しかし、そこからの1年は、我慢の連続だった。

ケガに苦しみ結果を出せず
ケガに苦しみ結果を出せず

小学生の頃から抱えていた股関節のケガに加え、首も痛め、しこを踏むことすらままならない時期もあったという。その後、2度の全国大会では思うような成績が残せなかった。

稽古前に続ける体幹トレーニング
稽古前に続ける体幹トレーニング

それでも「ケガを言い訳にしたくない」と週6日の稽古の前に、毎朝1人で体幹トレーニングを黙々と続け、再び全力で日本一を目指せる、その時に備えていた。

高校の先輩・翠富士関のように

母校に十両昇進を報告する翠富士関(2020年)
母校に十両昇進を報告する翠富士関(2020年)

そんな彼女にとって最高の追い風となったのが、高校の先輩でもある翠富士関だ。

飛龍高校 相撲部主将・武井陽奈さん:
刺激にもなるし、尊敬というか、もうすごいという言葉しか出てこなくて、翠富士関のように頑張りたいって思いました

171cm、117kgの幕内最小兵ならではのスピード感あふれる取り口に、飛龍高校の後輩たちも、勇気付けられた。

武井さん「兄の取組より翠富士関を細かく見る」
武井さん「兄の取組より翠富士関を細かく見る」

飛龍高校 相撲部主将・武井陽奈さん:
一個一個の技がすごく参考になります。(兄の)熱海富士の取組より翠富士関の方が細かく見ています

2023年4月から最上級生として、高校最後の1年を戦う武井さん。悲願の日本一「横綱」になることが目標だ。

栗原監督「今までやってきたことを堂々と」
栗原監督「今までやってきたことを堂々と」

飛龍高校相撲部・栗原 大介 監督:
武井は子供の頃から相撲やってても、日本一の経験は無いんですよ。高校3年生のこの1年で取りたいという思いは、とても強くなったと思うんですね。自分の相撲を最後まで貫き通してほしい。結果は後からついてくると思うので、今までやってきたことを、正々堂々やってほしいと思います

強い主将、悲願の日本一を

武井さん「強い主将でありたい」
武井さん「強い主将でありたい」

飛龍高校 相撲部主将・武井陽奈さん:
キャプテンって他の部活でも強いイメージがあるので、結果を残して強いキャプテンでありたいっていうのはあります

稽古に励む武井さん
稽古に励む武井さん

4月9日に行われた2023年度 最初の全国大会「国際女子相撲選抜堺大会」では、主戦場の軽量級で優勝した静岡県出身(焼津市)の社会人選手に惜しくも敗れてしまった。結果としては3回戦敗退だが、2回の水入りとなる大相撲だった。

負けたことを糧に、悲願の日本一を目指し日々稽古に励んでいる。

(テレビ静岡)

テレビ静岡
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