「天下第一の桜」と言われる長野県伊那市の高遠城址公園。約1500本のタカトオコヒガンザクラが植えられている。4年ぶりに飲食もできる「祭り」も始まり、コロナの影響を受けてきた名物のまんじゅうを売る店は、戻りつつあるにぎわいに期待を寄せている。

花見客に人気! 名物「高遠まん頭」

高遠城址公園(長野県伊那市高遠)
高遠城址公園(長野県伊那市高遠)
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「天下第一の桜」と言われる高遠城址公園。約1500本のタカトオコヒガンザクラが植えられている。

記録が残る過去40年で「最速」の3月25日に開花が宣言された。

「さくら祭り」もスタート。園内での飲食が解禁され、4年ぶりに通常の開催に戻った。

和菓子店・あかはねの出張店舗
和菓子店・あかはねの出張店舗

「さくら祭り」もスタート。園内での飲食が解禁され、4年ぶりに通常の開催に戻った。

「出店」には行列。客が買い求めていたのは、名物の「高遠まん頭」だ。

高遠まん頭
高遠まん頭

(記者リポート)
薄皮にあんこが、ぎっしりつまっています。素朴でやさしい甘さで、桜の下で食べると心が落ち着きます

花見シーズンは普段の5倍から10倍を製造

高遠菓子商組合に加盟している3店舗の「高遠まん頭」
高遠菓子商組合に加盟している3店舗の「高遠まん頭」

伊那市高遠で現在、「高遠まん頭」を作っているのは、高遠菓子商組合に加盟している和菓子店3軒。

そのうちの一軒は明治30(1987)年創業の「あかはね」。祭りの時期は園内に出張店舗を構えている。

4代目の赤羽敏社長(59)は、「お盆、正月も忙しいけど、花見にはとても及ばない」と話す。

あかはね・赤羽敏社長
あかはね・赤羽敏社長

普段は2日おきに2000個ほどの「高遠まん頭」を作るが、花見シーズンはその5倍から10倍を作る。

生地は、小麦粉に黒糖蜜などを混ぜて作り、一晩寝かせる。

北海道十勝産の小豆を煮たあんこと生地を機械にセット。

この機械で1時間におよそ2400個ものまんじゅうを作ることができる。

出来上がったまんじゅうは専用の蒸し器へ。一度に600個を蒸し上げる。

約15分後、まんじゅうが、ふっくらと仕上がった。

桜の焼き印 「息吹を」

そして、最後に…

焼き印をおす
焼き印をおす

桜の焼き印。これが「高遠まん頭」の証だ。

あかはね・赤羽敏社長:
焼き印を押すことによって「桜の名所の高遠の名物です」と、息吹を吹き込む気持ちで各店作っている

あかはねの高遠まん頭
あかはねの高遠まん頭

「あかはね」に「大西屋」と「千登勢」の「高遠まん頭」。焼き印の「桜の花」、「高遠城趾」の文言は3軒共通だが、あんこや生地は店ごとにこだわりがある。

赤羽さんによると「高遠まん頭」の歴史は古くおよそ450年前、高遠城主の御用菓子として誕生したと伝えられている。

「土産品」として各店舗が力を入れるようになったのは、高遠城址の花見客が増えた1970年代。

組合加盟の店舗は一斉に機械化して量産体制を構築。土産の「定番」となった。

コロナ禍からの挽回に期待

しかし、後継者不足や近年の花見客減少を受けて、全盛期には地域に14軒あった組合加盟店は、2017年には3軒にまで減少。残った店舗はここ3年、コロナ禍で苦しい状況が続いた。

あかはね・赤羽敏社長
あかはね・赤羽敏社長

あかはね・赤羽敏社長:
高遠城址公園も閉鎖したり、私たち高遠で商売する人は桜に頼る部分が大きいので、影響は大きすぎた

「あかはね」では、さくら祭りが中止になった2020年度の売り上げは前年の7割ほどに落ち込み、その後も、団体客が戻らなかったため回復には至らなかった。

待ち望んでいた祭りの通常開催。今年こそはと意気込んでいたがー。

あかはね・赤羽敏社長:
4年ぶりに昔の雰囲気に戻れると喜んでいたが、桜があまりにも急ぎすぎて…

開花に合わせて出す予定だった園内の出張店舗。オープンできたのは開花宣言の3日後で、あまりにも早い開花に準備が間に合わなかった。

大きい、おいしい、安い

高遠まん頭
高遠まん頭

勝負は4月1日、2日の週末。まんじゅうをできる限り作って花見客を迎えることにしている。

あかはね・赤羽敏社長:
花も咲いたし、天気もいいというこで、本腰入れて量産できる態勢をとっていきたい。昔から高遠まん頭は「大きい、おいしい、安い」と三拍子のまんじゅうと自負している。ぜひ高遠に来たら、まんじゅうをお買い求めいただいたら、光栄に思う

花見をしながら名物・「高遠まん頭」の味比べをしてみてはいかがだろうか。

(長野放送)

長野放送
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