宮崎県内では2022年1年間の特殊詐欺による被害額が、6年ぶりに1億円を超えた。身に覚えのない未納金を請求されるものや高齢者施設の名義貸しによる架空賠償請求など手口が巧妙化し、被害が急増している。
県警では、「実際の電話音声」を公開するなど注意を呼びかけている。

増加する特殊詐欺被害

警察によると、2022年の1年間に県内で発生した特殊詐欺の被害は52件。前の年の2倍以上となり、被害総額も1億3,628万円と6年ぶりに1億円を超えた。

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被害者は65歳以上の高齢者が55.8%と半数以上を占める一方、50歳未満も20%を超えていて、若い世代にも被害が広がっている。

宮崎県警生活安全部・竹之内慶郎統括官:
電子メールとかSNS等を利用した手口の拡大、高齢者に限らず幅広い世代が被害の対象となったことが特殊詐欺被害の増加につながり、結果として認知件数・被害額ともに増加しているのではないかと思われます

実際の電話音声が公開

県警では、急増する特殊詐欺被害を未然に防ごうと、「2022年11月宮崎市に住む60代の男性に実際にかかってきたうそ電話詐欺」の電話音声を1月に公開した。

電話をかけた男:
NTTファイナンス大谷がお電話対応いたします。総合ポータルサイトSNOWのご登録というのをいただいておりまして、こちらのご利用料金が1年間長期未納ということでご連絡差し上げております

電話を受けた60代男性:
全然記憶にないんですけれども…利用料金は月額いくらになっているんですか?

電話をかけた男:
こちらは950円となっていたんですけど強制解約の手続きが取られておりますので、解約の違約金、遅延損害金、事務手数料などが含まれまして29万9,600円が未納となっています。ご本人様の携帯端末からご登録されたことが電子記録上確認できておりますので、法的にも支払いの義務が生じております

このあと男は、契約書を郵送で送ってほしいという男性の話を無視し、「あすから民事裁判の手続きに入る」と脅してきた。この電話を受けた男性に話を聞いてみると、ある不審な点から詐欺と気付き被害を免れたという。

電話を受けた60代男性:
2、3、話をするうちに、やたら向こうがせかすような話し方をしてくる、いわゆる電話の会話における礼儀がなっていない。料金未納になっているのに向こうは1年間放置していた。「1年分未納料金がたまっていますよ」と通常の金融機関では考えられないことだから何かおかしいなと思いました

――犯人に対してどう感じますか?

電話を受けた60代男性:
許せないです。自分で汗して働けと言ってやりたいです

「最終的には警察に連絡を」

手口が巧妙化し、被害が急増している特殊詐欺。県内では2023年も1月末時点で6件発生、339万円の被害が出ている。

宮崎県警生活安全部・竹之内慶郎統括官:
電話とかメールでお金の話、身に覚えのない請求があった場合には、まず詐欺を疑ってください。身近な人に相談したり、最終的には警察の方に連絡していただくということでお願いしたいと思います

急増する特殊詐欺の中には他にも、「高齢者施設の入居権名義貸しを頼まれた後、名義貸しは犯罪だと賠償金を請求される」詐欺、また、「パソコンがウイルスに感染したと見せかけ、対策費用を請求する」詐欺などがあるという。

県警では、高齢者を対象に自動通話録音機の貸し出しも行っている。不審な電話やメールが届いたときには、最寄りの警察や警察相談専用電話「#9110」に連絡するように心がけてほしい。

(テレビ宮崎)

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