毎年、12月下旬から4月上旬にかけて沖縄はホエールウォッチングの季節を迎える。
慶良間諸島の海には繁殖のためクジラたちが帰ってきた。クジラたちにとって居心地の良い海を心がける人々の取り組みを取材した。

尾ビレの模様で個体判別

沖縄本島から船で50分。国立公園に指定された慶良間諸島「ケラマブルー」と称される
美しい海が多くの人々を魅了する。この海に、2023年もクジラがやってきた。

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座間味村ホエールウォッチング協会 大城晃会長:
クジラの一番の特徴は地球規模で移動するんですよ。夏の間はもう太平洋でいうと北極海あたりオホーツク海あたりで餌を食べて、そして故郷の海(座間味)に戻ってきて子供を産みます

クジラの生態については今もまだ謎が多く、座間味村ホエールウォッチング協会は研究機関と連携して生態の解明を進めている。

座間味村ホエールウォッチング協会 大城晃会長:
見分け方はクジラの尾ビレの裏側の模様や周りのギザギザの輪郭がそれぞれ全然違うんですね。それらをマッチングさせていって、この個体は新しいものだ、これは何年前に来たというのがデータ上でわかります

独自のルールを取り決め

多くのクジラが慶良間の海に帰ってくるように協会ではクジラとの関わり方にも力を入れている。

座間味村ホエールウォッチング協会 大城晃会長:
私達はホエールウォッチング設立当初からクジラにやさしいウォッチングっていうのをテーマに彼らがその繁殖に帰ってくる、いわゆる故郷の海だということを意識して(船の方から)100m以内には近づかないようにしています。
一番大きい取り組みは水面からはクジラを見ない、海中遊泳はしないっていうものをずっと守っていまして、これまで30年以上やってきてるので、クジラにとって住み心地が良い場所になっていると思います

その他にも親子クジラのウォッチング時間を制限するなど独自のルールを取り決めている。このような取り組みもあり、今では多くのクジラが毎年、慶良間の海に姿を現すが、過去にはクジラが全くやってこない時期があった。

座間味村ホエールウォッチング協会 大城晃会長:
いわゆる捕鯨の漁場だったんですよ。1986年に国際捕鯨委員会がザトウクジラの捕鯨を禁止したんです。その後、徐々にクジラの数が増えてきました

船を操縦しクジラを探す宮村幸文船長。1985年に2頭のザトウクジラを発見。そのクジラが再び座間味にやってきたことを確認するなど座間味のホエールウォッチングに大きく貢献した。

宮村幸文船長:
海上タクシーの船長をしていた時に、いきなり横にクジラが出て来たんですよ。それまではクジラがいるなんてわからなかったからすごいビックリしました。
それからは、このシーズンになるともう取り憑かれたように、クジラを追っかけていましたね

クジラに会えるワケ

クジラとの遭遇率が9割以上を誇る座間味のホエールウォッチングは、どのようにクジラを探しているのか。

探鯨スタッフ:
クジラを見つけてウォッチング船に案内しているところです。双眼鏡で覗いてクジラが出す息継ぎのブロウを元に位置を特定していきます。
今、ブロウ出てる!

別の高台にいる探鯨スタッフとクジラの位置情報を確認し、クジラの出現場所を船へ伝える。

ホエールウォッチング参加した夫婦:
今日は思っていたよりも近くでクジラが見られたし、繁殖行動も見られた。座間味ならではの風景が見られたかなと思います

クジラが泳いでいるのを見るだけだと思っていたけど、上にば~っと出てきてくれたりして凄い楽しかったです

友人と参加した女性:
今回で3回目の参加だけど、オスの大きいクジラがあそこまで近くでジャンプするのを初めて見ました。楽しかったし、アドベンチャーでした

宮村幸文船長:
2023年のシーズンで一番良かった。ペアのクジラがいて、遠くの方から別のオス1頭が近づいてきたんです。そうしたら、メスが怒っていろんなアクションするのが見れました。今日は久々に良かったです。お客さんも喜んでくれたので

毎年、繁殖の為に慶良間の海に帰ってくるクジラ。慶良間で生まれ育まれた命は2023年もまた世界中の海を駆け巡る。

(沖縄テレビ)

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