自由気ままな子どもたちに、いつも親はハラハラドキドキ、時にもやもや。
「笑った!困った!」…でもウチの子はどうしてこんなことするんだろう。その行動の裏には、知られざる“子どものココロ”が隠されているはず。

今回、元気なココロちゃんとマナブくんきょうだいの育児に追われる小木(こぎ)さん一家が注目したのは、こんなお話。

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トイレに行くのも一苦労…そんなときは記事の続きをチェック!
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「トイレに行くと必ず子どもたちがついてくる…一度扉を閉めてしまうと『ママ!』と何度も呼ばれて落ち着けない!」

普段はそこまで“ベッタリ”じゃないのに、なぜかトイレに行こうとすると「ママどこ行くの!?」と急いでついてくる子どもたち。トイレに入ってしまうと、出るまでドアをノックして呼ばれたり、ドアの前で泣かれたり。ネットでは「仕方ないからトイレの中に子どもと一緒に入る」「ドアを全開にしたままトイレに入る」など、手を焼いているパパママの書き込みがたくさん見つかる。

そもそも、どうして子どもはトイレにまでついて来ようとしちゃうの?子どもたちの“後追い”をうまく回避する方法はある?育児に役立つ“子育て心理学”を発信している公認心理師・佐藤めぐみさんにお話を聞いた。

後追いはパパママを「心の中で思い浮かべられる」ようになるまで

――トイレまでついてきちゃう“後追い”、これって何歳くらいまで続くの?

一般的に“後追い”というと、赤ちゃんがハイハイができるようになって、ママの後をどこまでも追いかけていく、そんなイメージを持っていると思います。それもあって0歳後半によく見られる行動という印象があるではないでしょうか。しかし実際には後追いはその後もしばらく続くものです。数ヶ月から数年と幅はありますが、思っている以上に長いというのが実情です。


――子どもが“後追い”しちゃう理由って?

記憶力がまだ成長過程にある時期は、ママやパパのことを頭でイメージすることができません。そのため、どうしても視覚に頼ることになります。実際に見えていれば安心、見えなくなると不安ということですね。

0歳の前半は自ら移動することができないので泣いて親を呼ぼうとしますが、後半になってハイハイなどで動き回れるようになると、自分で動いて親の存在を視覚で捉えようとするのです。それが後追いです。

その後3歳くらいになると「情緒的対象恒常性」というものが確立されるのですが、これは簡単に言うと「心の中に思い浮かべる大切な人の存在」のこと。ママやパパを心の中で思い浮かべることができるようになり、それが安心感をもたらすお守りのように作用するようになってきます。それに伴い、だんだんと親から離れて遊ぶなど自立した行動が増え、後追いもフェイドアウトしていきます。


――トイレの中までついて来ようとする…“後追い”をストップさせる良い方法はある?

後追いは子育てをしているとだれもが通る道ですし、トイレのドアを開けたままにするというのもきっとみなさん経験ありだと思われますが、一番の解決法は月日の経過です。期待できる回答になっていなくてすみません! でも上に書いたように、小さい赤ちゃんにとっては「見えること」がとても大事な分、成長に伴う変化というのは重要な要素です。

一方で記憶力が発達すれば単純に解決するかと言えばそうでもなく、それまでの親子関係もポイントになります。赤ちゃんにとって「ママはちょっと見えなくなってもまた必ず戻ってくる」という安定したイメージが築けているかがとても大事で、もし「ママはどう反応するか読めない」という印象を持たれてしまうと離れることに抵抗感を持つために後追いがより長引いてしまうことがあります。

基本的に幼少期の後追いはしばらく続くものですが、それを踏まえた上でできる工夫としては、気持ちをそらせるものを見つけることだと思います。

たとえば、
・とっておきのおもちゃを渡す
・好きな音楽をかける
・数が数えられるようになったら、30まで数えて待つ
など。

その子にとって価値が高ければ気持ちをそちらに向けやすいので、お子さんの好みに沿ってあれこれ試してみるのがよいと思います。そして少しでもうまくいったら「ちゃんと待てたね」とほめ、「待てること=良いこと」というインプットを作っていけると望ましいです。

子どもたちにとって、トイレは特別興味深々!という場所なわけではなく、ドアが閉まってパパママが「見えなくなってしまう」のが気になっちゃうポイント。
子どもたちが少し成長すると、パパママが目の前からいなくなってしまっても「心の中で思い出せる」ようになり、少しの間離れてもへっちゃらになるけれど、その段階までの数年間は「見えない=不安」が大きいそうだ。

そんな中でできるのは、待つ間気がまぎれるように工夫してあげることや、「少しの間姿が見えなくなっても、絶対に帰ってくる」という事を日常的にインプットしてあげること。
トイレから出たらすぐに子どもたちの所へ戻って「ただいま!」と声をかけてあげるなど、小さなケアをしてあげることで、パパママとの“プチお別れ”が怖くなくなる日が近付くかもしれない。

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※入力された内容は記事で紹介させて頂くことがございます。
※改めて取材をさせて頂く場合もございます。

(解説:佐藤めぐみ/公認心理師)
英・レスター大学大学院修士号取得・オランダ心理学会認定心理士。欧米で学んだ心理学を日本の育児で取り入れやすい形にしたポジ育メソッドを考案。アメブロの「ちょっと子育て心理学」(http://ameblo.jp/la-camomille/)にて発信中。

(漫画:さいとうひさし)

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。