少子化の中、全国トップクラスの出生率を誇る福岡・粕屋町。少しでも子育て世代の力になればと、町が「赤ちゃんが泣き止む!?プロモーション動画」を制作し、密かな話題になっている。果たして、本当に赤ちゃんは、泣き止むのか?
昔から「赤ちゃんは、泣くのが仕事」とも言われるが、子育てする母親にとっては、悩みの種。

「他の方が、気になります。『ごめんなさい!』って感じです」と話すのは、現在、1歳児を育てる母親。「外で泣くとパニックになるから、他人に迷惑がかからないようにという気持ちで、泣き止ませに専念します」と日々の体験を思い出しながら恐縮する。

泣き止まない我が子に、ハラハラ。そんな悩める親の助けになればと、『赤ちゃんが泣き止む動画』が制作されたのだ。

自治体PR動画で赤ちゃんが…
記者が向かったのは、福岡市に隣接する粕屋町。「おそらく、自治体では初めてとなる“赤ちゃんの泣き止ませ動画”を作りました!」と話すのは、粕屋町協働のまちづくり課・鵜城秀斗さん。早速、その動画を見せてもらうことに。

「粕屋すやすや すやすやでいい子♪ ぐーぐーおやすみ 強くなるるるる♪ ぐんぐん、すくすく 大きくなるるる♪ カスヤノトリコ カスヤスモ~♪」

つい口ずさみたくなるメロディーで始まった動画。町の新キャラクター「かすたまちゃん」が、博多までのアクセスの良さや子育て世帯にオススメのスポットを紹介する内容だ。

赤ちゃんの泣き止ませ動画というよりは、むしろ自治体のPR動画のような…。

実は、一生の間に産む子供の数を表す「合計特殊出生率」は、粕屋町が「1.90」と福岡県内トップ。

福岡市への利便性の良さなどから、子育て世帯から支持を集めてきたが、最近では、地価が上昇し、近隣自治体に人が流出している現状もある。
そこで粕屋町では、改めて子育て世帯に、住みやすさを伝えるため、町のPRを盛り込んだ動画を制作することに…。20~30代の若手職員を中心に目を付けたのが、多くの親が抱える“共通の悩み”だったという。

動画に“赤ちゃん泣き止む”仕掛け
動画を監修したのは、“赤ちゃん研究の第一人者”が運営する団体「赤ちゃんラボ5.0」。子ども達が成長していく上で、必要となる社会基盤について探求すると共に、データ活用の新たな枠組み構築にも取り組んでいて、動画には、「赤ちゃんを泣き止ませるための仕掛けを盛り込んだ」と松中玲子理事は話す。

「赤ちゃんは、変化に敏感だというのは言われているので、今回の音楽でも、歌っている声が男の人から女の人に変わったり、途中でリズムが変わるような箇所もある」と“仕掛け”の内容を説明する。

赤ちゃんで動画を検証 結果は…
本当に泣き止むのか?実際に泣いている赤ちゃんに動画を見せて検証することに…。協力してくれたのは、「かすやこども館」に遊びに来ていた生後半年から1歳の赤ちゃん。

動画を見てもらうと…ちょっと気になる様子。お母さんが「見て、駕与丁公園だって」と話しかけると、「泣き止んだ!」。

更に記者が母親と話をしていると、なんと「もう1度見たい」とリクエスト。動画を気に入った様子だ。

続いては、生後6カ月の女の子。泣いているところに動画を見せると…更に大きな声で泣いてしまい、失敗。

計5人の赤ちゃんに協力してもらっ たところ、3人が泣き止み、2人は泣き止まないという結果に。

早速、町の協働のまちづくり課・鵜城秀斗さんに報告すると、「5人中3人ですか…絶妙に微妙な気がしますが。

でも半分以上ということなので、成功と言っていいんじゃないかと」笑った。子育ての1つのツールとして、動画を活用して欲しいと子育て世代に呼びかけた。
(テレビ西日本)