自由気ままな子どもたちに、いつも親はハラハラドキドキ、時にもやもや。
「笑った!困った!」…でもウチの子はどうしてこんなことするんだろう。その行動の裏には、知られざる“子どものココロ”が隠されているはず。

今回、元気なココロちゃんとマナブくんきょうだいの育児に追われる小木(こぎ)さん一家に寄せられたのは、こんなエピソード。

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「保育園の娘に、塗り絵や知育菓子などを買っても『 ママがやって!』と押し付けられ…結局いつも親が9割完成させちゃう!」

子どもと一緒に選んで買ったかわいい塗り絵。ひとりで上手に遊んでくれるかと思いきや、いつも「やって!」とパスされ、なぜかパパママが塗り絵で遊ぶことに…
塗り絵が嫌いなわけじゃないのに、自分で遊ばない子どもゴコロって、どうして?

育児に役立つ“子育て心理学”を発信している公認心理師・佐藤めぐみさんにお話を聞いた。


――親に「やって!」とお願いしちゃう子どもゴコロの正体は?

塗り絵やクラフト系のおもちゃを、自分では楽しまずに、親に「やってやって!」と完成させてもらう場合についてですが、基本的には「パパやママなら素晴らしい作品に仕上げてくれる」という期待のもと、「パパとママはすごいなぁ」とその出来上がる工程を見て楽しんでいることが多いと思います。

また、パパやママと一緒に遊びたいというのは、愛着行動の1つであり、ごく自然な欲求でもあるので、お子さんからの「一緒にやろう」というお誘いは、「いいアタッチメントが築けている表れ」と理解していいと思います。

しかし中には、それまでの経験で「自分にはできない」とか、「失敗がこわい」という思いがあって、親に委ねてしまう子もいるでしょう。小さい頃から、子どもの笑顔が見たいあまりに「そうじゃなくて」「貸してごらん」「こうやるんだよ」と子どもに頼まれる前に手を出し続けてしまうと、「自分はできない」という思いになりやすいので、遊びの主導権は常に子どもに置くということは大事なポイントと言えます。

子どもの遊び方に関して、悩まれる親御さんは結構いらっしゃいます。お話を聴くと、親がイメージしている「子どもならこういう風に遊ぶだろう」という想定とギャップがあって、それで悩んでしまっているケースも少なくありません。

おもちゃに飽きてしまうというのもそうですね。「子どもは遊ぶのが仕事」とも言われているので、親は子どもなら常に全力投球で遊ぶものだという頭があります。ですが、やはりその子その子の個性がありますので、気持ちが一点集中の子もいれば、色々なことに目移りする子もいるのが現状です。他の子がやっている遊びをただ見ているのが好きな子もいます。


――こういった「お願い」が現れるのは何歳ごろの特徴?

2歳代は、自我が大きく発達する時期なので、「自分でやりたい」という気持ちが強まるため、たとえ上手にできなくて癇癪を起こしたり、泣いたりしても、また別の機会になると、けろっとして取り組んでいることが多いものです。ですので、時期的には、俗にいうイヤイヤ期を過ぎたあたり、保育園、幼稚園くらいの子が多いかもしれません。

あとは、年齢に関わらず、子どもを喜ばせたい一心で親が「すごいもの」を作り上げるのが日常になっていると、委ねる気持ちが起こりやすくなることは考えられます。


親に「やって!」と遊びをパスしてしまう子どもゴコロの正体は、パパママへの期待と「一緒に遊びたい」という愛情の表れ。
パスされたパパママは「せっかくあなたのために買ったおもちゃなのに…」と思ってしまうかもしれないが、そこまで割り切らずに「こういうコミュニケーションもあり」と楽しんでみるのもいいだろう。

「素晴らしい作品にする」ことを目標にしない

一方で、「自分がやると失敗してしまうかも…」という気持ちが潜んでいることも。
「遊びの主導権を子どもに置く」のが大切だということだが、そんな子どもたちにはどんな声掛けをするのがいいのだろうか。


――自信がないから親にパスしてしまう…そんな時はどうする?

今回のような状況の場合、上の子がいて、お兄ちゃんやお姉ちゃんが上手に仕上げているのを見て、うらやましくなって、パパママに頼んで仕上げてもらうということがよくあるのですが、たしかに4歳の子と7歳の子だったら、上の子の方が上手にできるのは当然で、うらやましくなる気持ちもわかります。

ただ、そこで毎回親が完成させてしまうと、その子には「自分はできない」というインプットがまた1つ増えてしまうことになるので、上手にモチベーションをあげていきたいものです。コツとしては、「年齢が上がると段々とうまくなるんだよ」「1回やるたびに上手になるんだよ」ということを伝えていくことです。

育児において、親自らの失敗談が子どもへの寄り添いに役立つことは非常に多いのですが、今回のようなケースでも有効です。たとえば「パパね、まだ覚えてるけど、幼稚園のとき、こういう工作を作ったことがあるんだけど、もうめちゃくちゃだったんだよ。手にのりがついてベタベタで、紙は破れちゃうし、色はにじんじゃうし、ひどかったんだから」「それに比べたら、○○は上手だよ。大人になったら、パパより絶対うまくなるよ」など。

大事なのは、塗り絵にしても工作にしても「素晴らしい作品」にすることだけに目を向けないことだと思います。商品のパッケージにある「完成品」の写真が目に入ると、親はそれをゴールに感じてしまうものですが、本来は、親子でそれを作るプロセスや時間が“一番の宝物”なので、失敗談あり、失敗作ありの許容を子どもに見せていくのは大切かもしれません。

「聞きコミ PRIME online」では皆様からの「育児あるある」エピソード投稿をお待ちしています。

・「もういらない」と言ったから代わりに食べたおやつ。「やっぱり食べる!」と言われて大慌て…同じものを用意しても「さっきのがいい!」と泣かれて大苦戦!
・無くしたと思っていたスマホを冷蔵庫の中から発見!なんでここに入れちゃうの!?

などなど、あなたの「育児あるある」に隠された子どもたちの気持ちを探ってみませんか?

※入力された内容は記事で紹介させて頂くことがございます。
※改めて取材をさせて頂く場合もございます。

(解説:佐藤めぐみ/公認心理師)
英・レスター大学大学院修士号取得・オランダ心理学会認定心理士。欧米で学んだ心理学を日本の育児で取り入れやすい形にしたポジ育メソッドを考案。アメブロの「ちょっと子育て心理学」(http://ameblo.jp/la-camomille/)にて発信中。

(漫画:さいとうひさし)