広島出身の姉妹デュオ「メビウス」が広島各地を応援する企画。
この時期、街中が”ひな祭り”一色となる福山市 鞆の浦（とものうら）で江戸時代から伝わる伝統のおひな様を守るまちの人たちの思いに迫る。
町全体がひな祭り一色に
福山市 鞆の浦は、江戸時代に船が潮の流れが変わるのを待つ、「潮待ちの港」として栄えた町。
昔ながらの風情ある街並みが大切に残されているこの町で訪れたのが…
メビウス・マミ：
すごい歴史のありそうな建物。あれは杉玉。酒屋さんだったんかな。
江戸時代、漢方の生薬を使った、鞆の名産 保命酒の蔵元だった太田家住宅。
1991年に国の重要文化財に指定された鞆の浦を代表する貴重な歴史的建造物だ。
メビウス：
こんにちは！おじゃまします。すごい！おひな様が
鞆・町並ひな祭実行委員長 岡本純夫さん：
古いものから新しいものまで色々とあります。町並ひな祭のために展示している
古い商家や商店などが軒を連ねる鞆の浦で、春を告げる一大イベントとして毎年開催される「鞆・町並ひな祭」。この日はイベント開始前に展示作業を終えたばかりのおひな様を一足先に拝見させていただくことに。
メビウス：
おじゃまします！おーこれは木でできた…
岡本さん：
そうです。組木のお人形さん
メビウス：
珍しい！
岡本さん：
バラすと大変な事になるのでラッピングしてあるんです
メビウス：
一つ一つ組み合わせてあるんですね。初めて見た。
こんなおひな様があるんだ。あー可愛いうさぎちゃん！
岡本さん：
今年2023年は、うさぎ年なので、うさぎのおひな様。元々コレクターの方のもので、色々な種類がある。
メビウス・マミ：
だいたい何セットぐらいある？
岡本さん：
数えられないですね
太田家住宅で展示されるたくさんのおひな様。酒造業で栄えた商家の繁栄ぶりが伺える、この広い屋敷に江戸時代から現代までの人形を所狭しと展示。その準備はとても大変なようだ。
岡本さん：
町並ひな祭に合わせて1か月ぐらい前から順番に一つずつ出しながら、日にちを決めてみんなで集まって
メビウス：
地元の方々と一緒に？
岡本さん：
そうですね
「この顔、誰かに似てる」顔が全部違う幕末の裃（かみしも）雛
地域で大切に受け継がれてきた貴重なおひな様を一体一体丁寧に展示。中でも、ひと際目をひくのが、江戸末期から大正にかけて庶民の間で流行した裃雛。
女の子が生まれたお祝いに、娘がいい人とご縁がありますようにという願いを込めて、親せきなどから贈られたのだという。
岡本さん：
顔が全部違う。似た顔があるんじゃないですか？
メビウス・マミ：
ちょっと似てない私に？
メビウス・ノリエ：
似とる！
マミ：
あ！ノリエじゃない？
ノリエ：
こんな感じかもしれん
マミ：
ノリエの寝起きの時にそっくり。こういう見方も楽しいですね
歴史的な重要文化財の中で個性あふれる貴重なおひな様を観賞できる太田家住宅。
鞆・町並ひな祭では他にも町内の商家や商店など60か所でその展示を楽しむ事ができる。
ご近所から預かったおひな様を展示する店も
メビウス：
おじゃまします。こちらは雑貨屋さん？
つくろい空間 吉川兼子さん：
そうですね。帆布の製品を扱っています
メビウス：
ご自宅で保管されていたものですか？
吉川さん：
これはご近所の方が是非見てもらってくださいということで、お預かりしています
メビウス：
私たちも自分たちのひな人形を出すことがなくなったので、こういう形でまた見てもらえるっていいな
他にも、店主の実家の蔵の中で大切に保管されていた江戸時代の貴重なおひな様も展示。
地域が一体となり盛り上げるこのイベントに毎年参加する店主の思いとは…
吉川さん：
できるだけ子供さんや若い世代に親しんでいただきたいですね。こういうものとは、かけ離れた生活にだんだんなってきつつあるので。日本文化の一つ、しかも庶民が伝えてきた文化、その時代時代を反映したお人形があるので、そのへんも見ていただければいいと思いますね
京都御所がモデル ”御殿”の中のおひな様
地域の歴史を今に伝える鞆・町並ひな祭。
最後に向かったのはイベント実行委員会の事務局 鞆の浦歴史民俗資料館。
イベント開始を2日後に控え館内では…
鞆の浦歴史民俗資料館 通堂博彰館長：
地元の皆様と一緒に、今準備の真っ最中です。
地元の女性陣も加わり、展示物の配置作業が行われていた。資料館に保管されるひな飾りはもちろん、どれも貴重な品ばかり。一点一点慎重に展示していく。
通堂さん：
メインの一つの御殿飾りです。京都御所の紫宸殿をモデルにしたと言われている。
通堂さん：
これを組み立てるのも大変なんです。バラバラな部品を組み立てるのに2日ほどかかります
140の道具類は精巧な江戸時代のミニチュア
通堂さん：
もう一つメインが、江戸時代後半の大型七段飾り
メビウス：
七段は見たことあるんですけど、この幅は見たことない
通堂さん：
この特徴はお道具類ですね。140点あります。道具類の一つ一つが非常に緻密に作られているんです。これだけ一点物を作るのは非常に珍しいと思います
豪商の家に実際に飾られていたという大型七段飾り。
港町として繁栄した鞆の浦の歴史が垣間見られる貴重なおひな様だ。
メビウス・マミ：
組み立てるのも大変ですし並べる順番も
通堂さん：
あ、写真を見ながら
メビウス：
なるほど。照らし合わせながら
通堂さん：
これはこうだったね、ここはああだったねって教えあいながらやっています。
通堂さん：
2021年は資料館ではおひな様を飾ったんですけど、町並ひな祭は中止。2022年は、なんとか頑張りましょうって、頑張ったが、イベントは全て中止にした。今年2023年は少し街中も落ち着いて、観光客も少しずつ戻ってきているように感じています。是非、鞆の町をゆっくり散策しながら、おひな様を愛でていただきたいなと思っています。おひな様も皆さまをお待ちしていますので、是非、鞆の浦にお越しいただければ嬉しいなと思います
ご近所さんから預かったおひな様を展示している吉川さんは…
つくろい空間 吉川兼子さん：
ここ何年はひな祭りもちょっと寂れたというか、コロナで仕方なかったんですけど、こうして賑やかしていただいて、ちょっと元気が出ました。みんなが元気になれる春になればいいなと思いますね
鞆・町並ひな祭実行委員長 岡本純夫さん：
町自体が色んな宝物がある町。その一つが、こういう歴史を知る事のできるおひな様。街並みも大事な財産なので、そこも含めて見てもらえれば嬉しいなと思います
「鞆・街並ひな祭」は3月26日(日)
（テレビ新広島）
