新生活でひとり暮らしを始める人もいるだろう。 

学校生活や社会人生活など生活リズムも変わって、ひとり暮らしに慣れるまでに時間がかかることも。そして、自炊などをムリにこなして、疲労が募ってしまうこともある。 

「ひとり暮らしは“できて当たり前”ではない」と言うのは華井由利奈さん。2度のひとり暮らしを経験し、数々の失敗を重ねたという。 

「これからひとり暮らしをする人に、同じような失敗や後悔をしてほしくない」との思いで、ひとり暮らしの先輩や専門家のアドバイスを詰めた華井さんの著書『一生役に立つしんどくならない「ひとり暮らし」ハンドブック』(光文社)から一部抜粋・再編集して紹介する。 

健康を気にしつつ、楽しく好きなものを食べよう 

生きていく中で「食事」はとても大切です。 

ただ、おいしいごはんを食べるには、時間やお金がかかります。 でも、無理に節約や我慢をするのは、おすすめできません。 後日、体調を崩す可能性があるからです。 

大切なのは、最低限「自分の心と体を大切にしている」と思えるものを食べること。 

適当な食事になっても自分を褒めることから始めよう(画像:イメージ)
適当な食事になっても自分を褒めることから始めよう(画像:イメージ)
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忙しかったり、疲れていたり、お金がなかったりして食事が適当になる日もあるでしょう。 

そんなとき「手抜きをしてしまった」「体に悪いものを食べてしまった」「お金のムダだった」と、自分を責めなくても大丈夫。 

「今日もごはんを食べてえらいね」と自分を褒めることから、始めましょう。 

口にするなら「自分のため」と思えるものを食べることが大事です。 

「自分のため」は3つのポイントがあります。 

(1)自分の健康のため 
(2)自分の楽しみのため 
(3)自分の負担を減らすため 

3つのポイントすべてを意識しなくてもよいのです。状況に合わせていずれか1つを意識するだけで、自分を大事にしていると感じられるようになります。

自炊・惣菜・外食のバランスは、人それぞれ。自分の食事を用意するのに慣れるまでは、ちょっとだけ頑張って。慣れたら、頑張りすぎないスタンスにしましょう。 

自炊が負担になるなら無理しない 

疲れたときに無理に自炊をしても、おいしさや楽しさは感じにくいもの。 

もし、自炊を負担に感じてきたら、以下の2点を思い出してほしいです。 

(1)「最低限の栄養がとれるメニュー」で献立を固定するのも手 
(2)調理、片付け、買いもの、出費。いずれかの負担を減らす方法を考えよう 

自炊が難しいときはスーパーやコンビニの惣菜や弁当などを、適度に取り入れましょう。かといって出費が増えると、それもまた心の負担になります。 

そんなときは、「健康を害さないレベルの最低限の食事」を粛々とつくり、淡々と食べるのもひとつの手。 

『一生役に立つしんどくならない「ひとり暮らし」ハンドブック』(光文社)より(イラスト/OGA)
『一生役に立つしんどくならない「ひとり暮らし」ハンドブック』(光文社)より(イラスト/OGA)

「週に数日はカレーに決めている」という人や、「冬は毎日同じ具材の鍋にして、スープの味付けだけ変える」という人、「毎日、野菜と肉を煮て米を加えただけの雑炊を食べる」という人もいます。 

ある程度献立を固定しておくと買いものの負担も減りますし、効率よくつくれるようになります。具材を変えたり味付けを変えたり、アレンジする楽しさも出てくるかもしれません。 

調理や片付け、食材の買いものなど、苦手なことで心をすり減らさないよう、自分に合った方法で心の負担を軽くしましょう。

ただし、献立を固定するなら「健康を害さないレベル」にするのを忘れないでください。 

そこで、ひとり暮らしの先輩に聞いた「神食材」を主食(炭水化物)、タンパク質、野菜、調味料の順番で紹介していきます。 

利便性が高くアレンジのきく食材がおすすめ 

まずは主食(炭水化物)。 

「皿うどん用のパリパリ麺」は、コスパがよく、ご飯を炊くのが面倒なときに役立つだけでなく、パリパリな食感を楽しむお菓子代わりのもなるとのこと。 

「冷凍うどん」はひとり暮らしの先輩たちの“神食材”(画像:イメージ)
「冷凍うどん」はひとり暮らしの先輩たちの“神食材”(画像:イメージ)

「冷凍うどん」は日持ちもして、味付けのバリエーションが無限にあり、冷凍パスタは困ったら温めてすぐに食べられます。お弁当にも代用できるなど、簡単にかつ利便性の高いものを先輩たちは使っているようです。 

自炊が面倒になると不足しがちなタンパク質は、手軽に食べられて、さまざまな料理にアレンジできる「卵」や「ツナ缶」「さば缶」「魚肉ソーセージ」「納豆」「豆腐」をストック。 

野菜は揚げても蒸しても焼いてもゆでても何でもいける「なす」や「キャベツ」「ホウレンソウ」に加えて、トマトソースを作るときに使ったり、そのまま飲んでもOKな「トマトジュース」を。

最後に調味料は「オイスターソースとお好みソース」「カレー粉」「ごま油」「バージンオリーブオイル」「チューブニンニクとチューブショウガ」「液体白だし」「鶏がらスープのもと」など、使い勝手のいいものを挙げてくれました。 

これからひとり暮らしを始める人は、こうした先輩たちが挙げる「神食材」を頭に入れておくと、いざというときに頼りになるかもしれません。 

最後はひとり暮らしを送る上で、大切な体調不良の場合の備えです。体調は突然悪くなることもあり、そうしたときの備えは重要です。 

弱ったとき用の非常食を備蓄 

寝込んだときに頼れるのは自分だけ。ひとり暮らしをしていると、体調を崩したときも、メンタルが弱っているときも、自分で自分を看病しなければなりません。 

心身が元気なうちに、水分や塩分を補うための飲料や、胃にやさしい食べものを用意しておきましょう。 

常温保存できるものプラス冷凍食品の2パターンをそろえておくと便利です。 

『一生役に立つしんどくならない「ひとり暮らし」ハンドブック』(光文社)より(イラスト/OGA)
『一生役に立つしんどくならない「ひとり暮らし」ハンドブック』(光文社)より(イラスト/OGA)

発熱時に備えて用意しておきたいのは、スポーツドリンクや栄養補給ゼリーです。スポーツドリンクは災害対策も兼ねて、2リットルのペットボトルを2〜3本置いておくと安心です。

パウチ型の栄養補給ゼリーは、起き上がるのがつらいときに少しずつ口に入れることができます。 

レトルト食品や冷凍食品は、病時だけでなく、心が弱ってしまったときや、疲れて自炊をする気力がないときにも役立ちます。おすすめは、具材とスープがついた冷凍うどんなど、主食と具材がセットになった冷凍食品。鍋を使わずにレンジだけで調理できるタイプが特に便利です。 

また、自分の好物や心から「食べたい」と思えるものを常備しておくと、心と体が弱ったときに元気を取り戻すきっかけになります。 

『一生役に立つしんどくならない「ひとり暮らし」ハンドブック』(光文社)
『一生役に立つしんどくならない「ひとり暮らし」ハンドブック』(光文社)

華井由利奈 
ライター。大学卒業後、印刷会社に就職。コピーライターとしてトヨタ系企業など100社以上の取材を行う。2016年に独立。現在は、女性活躍、ビジネス、教育、生活情報など幅広い分野で執筆。大学や教員講座での講演も行う。著書に『一生困らない 女子のための「手に職」図鑑』(光文社) 

華井由利奈
華井由利奈

ライター。大学卒業後、印刷会社に就職。コピーライターとしてトヨタ系企業など100社以上の取材を行う。2016年に独立。現在は、女性活躍、ビジネス、教育、生活情報など幅広い分野で執筆。大学や教員講座での講演も行う。著書に『一生困らない 女子のための「手に職」図鑑』(光文社)