2023年秋に開かれる障害者野球の世界大会に、岡山のチームから5人が出場する。その中に、13年前の苦い思いを乗り越えて代表入りした選手がいる。もうひとつのWBCにかける思いを取材した。

5年ぶりに開催 障害者野球の世界大会

胸には大きく「JAPAN」の文字。障害者野球の世界大会、日本代表の選手たちだ。

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障害者野球の世界大会は、日本をはじめアメリカやプエルトリコ、韓国、台湾という世界5つの国と地域から障害がある選手たちが集い、野球の世界一を競う。それは「もうひとつのWBC」と呼ばれている。

「もうひとつのWBC」と呼ばれる障害者野球の世界大会
「もうひとつのWBC」と呼ばれる障害者野球の世界大会

2006年から4年ごとに開かれているが、コロナ禍で今回は5年ぶり。2023年9月に愛知県での開催が決まっている。岡山県の障害者野球チーム「岡山桃太郎」からは、5人の選手とコーチ1人が選ばれ、愛媛・松山市で行われた結団式に臨んだ。

岡山桃太郎・槙原淳幹主将:
自国の象徴である日の丸を背負っていいプレー見せたいというよりも、小学校の時から一緒で、試合出る出ないに関係なく、どこにいても日本を世界一にしたい。その向こうにどんな景色が見えるか楽しみ

岡山桃太郎のキャプテン・槙原淳幹さん
岡山桃太郎のキャプテン・槙原淳幹さん

初めて日本代表に選ばれた岡山桃太郎のキャプテン槙原淳幹さん(33)は、13年ごしの思いでWBC出場の切符を手に入れた。

代表入り逃した“苦い過去”

13年前、当時大学生だった槙原さんは、岡山桃太郎のエースとして活躍していた。全国制覇は夢のまた夢だったチームを、優勝を狙えるチームにまで成長させるなど貢献してきた。

2010年の世界大会では日本代表の有力候補に挙がっていたが…。

槙原淳幹さん(当時21):
一塁手をしていて、足をビタッと開いたらブチッ

日本代表の選考を兼ねた大会の約1カ月前。槙原さんは左太ももに全治3カ月のけがをしてしまい、代表入りは叶わなかった。

槙原淳幹さん(当時21):
野球の神様が「まだ早いぞ」と。「まだ、お前やるべきことがあるぞ」と伝えてくれたよう。4年後、8年後には選ばれるように、前向いて足元見て頑張りたい

槙原さんは、スタンドから仲間の活躍を見守った。

槙原さんは大学卒業後、津山市の中学校で教師になった。生徒たちに野球を教えながら、岡山桃太郎の一員として秋の全国大会は3連覇を成し遂げた。現在は、キャプテンとして高校生から80代までのメンバーをまとめている。

槙原さんは秋の全国大会3連覇を成し遂げた
槙原さんは秋の全国大会3連覇を成し遂げた

失意の落選から13年。ついに槙原さんは夢舞台への切符をつかみ取った。

岡山桃太郎・槙原淳幹主将:
チームが勝てばそれでいい。僕は何だってやる。それは変わらない

岡山桃太郎・副松正信総監督:
(13年前は)悔しかったと思う。それを払拭して頑張ってほしい

実力派選手たちと世界一へ

結団式に合わせて2泊3日で行われた松山市での合宿には、桃太郎のメンバーも揃った。
御年80歳、岡山桃太郎総監督・副松正信さん。

2度目の世界大会、早嶋健太さん(27)。

キャッチャーとして圧倒的な信頼感、井戸千晴さん(27)。

甲子園出場経験を持つ浅野僚也さん(27)。

強肩が武器。チーム一の器用者、高月秀明さん(24)。

練習試合では2番セカンドでスタメンに選ばれた槙原さん。走攻守全てでチームを支える。

日本代表チーム・山内啓一郎監督:
世界一になるためには、岡山の選手の力が必要。プレーヤーとしてもまだまだ主力でやってもらえると期待を込めた

岡山桃太郎・槙原淳幹主将:
いい意味でメッセージを伝えて、野球の楽しさ、素晴らしさが日本に広がれば幸せ

もうひとつのWBCは、2023年9月に愛知県で開幕する。苦い思い出を胸に初めて世界の舞台に立つ槙原さん。目指すは世界の頂だ。

(岡山放送)

岡山放送
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