三重県伊勢市の洋菓子店が、和の素材と洋菓子を組み合わせたスイーツを作りたいと、すぐ隣りに和菓子の店をオープン。和×洋のハイブリッドなスイーツ店を取材した。

冷やしても硬くならない餅は「開発に3年程」

三重県伊勢市にある洋菓子店「ドゥース・ド・フランス」。店内には、可愛らしいケーキが並んでいる。

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その店のすぐ隣に、2022年11月にオープンしたのが「西洋和菓子和倉(わくら)」。

西洋和菓子和倉の倉世古和弘さん:
和素材と洋菓子をとにかく合わせてみたい。伊勢の和文化を取り入れた何かを作りたい、そんな発想からスタートしました

ショーケースに並ぶスイーツは、一見すると洋菓子のようだが、モンブランかと思いきや「大福」だ。

この店に並んでいるのは、洋菓子の装いをした「和菓子」。

倉世古和弘さん:
お餅だけではやっぱり和菓子屋さんになってしまいますので、チョコレート、チーズ、フルーツや生クリームや、そういった洋菓子材料をお餅と一緒にミックスしたような西洋和菓子を開発しました

和菓子の定番であるお餅と、フルーツや生クリームといった洋菓子のデコレーションを合わせた、これまでになかった新しいジャンルのスイーツを作りたいと挑戦。しかし、すぐにある壁が立ちはだかった。

倉世古和弘さん:
お餅はどうしても生クリームが入りますので、冷やしても硬くならないお餅を悩んで悩んで悩んで、やっと開発しました。3年ほどかかりました

3年かけて、洋菓子に欠かせない生クリームを入れて冷蔵庫で冷やしても硬くならない餅を開発。

口どけ滑らかなお餅に、北海道産の小豆を使った特注のあんこ、そして生クリームを入れた自家製の大福を作ることに成功した。

さらに洋菓子の要素を加えるため、生クリームと地元産のフルーツを乗せ、和洋折衷のフルーツ大福が完成。

倉世古和弘さん:
本当にフレッシュなフルーツをなぜ中へ隠しちゃうんだろう。本当においしそうなフルーツなら表へ出したいな、それがやっぱり洋菓子店のフルーツ大福になるんだろうなと思って

和と洋を掛け合わせたハイブリッドな新スイーツは他にも…。

倉世古和弘さん:
エスプーマという生クリームで、軽いあんみつを食べていただきたい

和菓子の定番・あんみつに、生クリームを泡状にしたエスプーマをかけて提供している。すぐに泡が消えてしまうため、賞味期限はわずか30分だ。

倉世古和弘さん:
おいしさを味わっていただくために、あえて賞味期限30分の商品もあっていいんだろうなと。いつか必ず、春が来たり、夏が来たりしたら冷やした団子とか、冬には冬の温かいお団子を、必ず洋のエッセンスを入れたものを出していきたいと思っています。新しく「これとこれ合わせたらおいしいだろうな」を実験しながら、おいしいものができたらいいな、伊勢らしいものができたらいいなと思ってます

(東海テレビ)

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