福岡県警が、準暴力団、いわゆる「半グレ」の取締を本格化させる。一般人でもなく、暴力団でもない存在とされる不良グループ、半グレ。グレは、ぐれている、愚連隊のグレであり、黒でも白でもない中間的な灰色のグレーでもあり、グレーゾーンのグレーでもある。福岡をとりまく半グレの実態とは?

「準暴力団等集中取締本部」を発足

2023年1月18日、福岡県警のトップ、岡部正勝県警本部長が捜査員を招集した。

福岡県警・岡部正勝本部長:
あらゆる手法を用いて準暴力団等に対する集中的な捜査活動が展開されることを期待して訓示と致します

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招集した理由は「準暴力団等集中取締本部」の発足。すなわち半グレの対策に本腰を上げたのだ。半グレ対策を専門にした取締本部の設置は全国で初めてのこと。背景には一体何があるのか。

福岡県警組織犯罪対策課・佐藤弘規課長:
準暴力団等は特殊詐欺などの犯罪を敢行し、それで得られた資金の一部が暴力団に流れるなど、治安対策上の脅威となっています。恐喝、暴行、傷害など、やってることは暴力団と変わらないと見ております

福岡の「半グレ」は数え切れない?

「工藤会」5代目継承式(2011年7月):
押忍!押忍!押忍!

2011年7月 工藤会五代目継承式
2011年7月 工藤会五代目継承式

特定危険指定暴力団「工藤会」など、これまで警察が取締りを強化していた暴力団は、組長をトップにしたピラミッド型の組織。

杯を交わして親分、子分の疑似家族を形成し、厳しい上下関係で組織が統制されている。こうした事情から、配下の組員が起こした殺人事件で、トップの罪が認められたこともある。

一方、一般人でもなく暴力団組員でもない、不良グループ、半グレは、犯罪の目的や内容によって、その都度メンバーが入れ替わる離合集散の集まりだ。誰の指示で動いているのか明確ではなく、暴力団対策法の適用も受けない。

いま、そんな半グレグループが全国各地で暗躍していると指摘されている。

ジャーナリスト・花田庚彦さん:
半グレの人間は、所属している組織が変わるのはありますね。組織の人は〇〇会の誰々です、って言うんですけど、半グレの場合は誰々の下にいた○○です。という紹介の仕方をするんですね。その人間が、よそへ移ったら、すぐに移りますから。このグループはやばいと思ったら、そのグループ抜けて新しいグループ作っちゃえばいい話ですから。楽して金儲けることを覚えちゃったら、それを忘れることできないんじゃないですか、どんどん増えていくと思います

取材によると2019年における全国の半グレグループは、44グループあったとされている。福岡でも当時4つの組織が確認されていた。

ニュース映像(2019年2月1日OA):
借金を踏み倒そうと知人男性に集団で暴行を加え、けがをさせた疑いで、北九州市の地下格闘技団体の関係者ら5人が逮捕されました

2019年 だるま道場の関係先
2019年 だるま道場の関係先

地下格闘技団体の「だるま道場」や、かつて広島市を拠点に活動していた覚せい剤密売組織「ISS・インターナショナルシークレットサービス」などが名を連ねていたが…。

ジャーナリスト・花田庚彦さん:
福岡の半グレの現状は、平成30年度には4組織と発表されていたんですが、現在は数え切れないくらいあるんじゃないですか。九州・福岡に限って言えば

警察の目を掻い潜って活動しやすいよう、大きな半グレ組織は、次から次へと細分化していき、いまやその実態は把握しきれないほどだといわれている。

工藤会に隠れて…

2022年11月、福岡では…。

取材カメラマン(2022年11月4日OA):
石橋容疑者が出てきました。検察庁に送られます

現金を貸し付け、法定金利の40倍から140倍に当たる利息を繰り返し受け取った出資法違反の疑いで、半グレの男らを検挙。

実に10億円にも上る違法な利益を得ていたとみられ、暴力団との関係も視野に捜査が続いている。

ジャーナリスト・花田庚彦さん:
半グレが、いままで、そこまで目立たなかったのは、工藤会という盤石の組織があったので、半グレはその下に隠れて、やってたような感じなんですが、いま、そのような重しが弱くなってきているので、どんどん横行していくのが現状かなと思って見ています

福岡県警は、工藤会壊滅作戦に力を入れてきたこともあり、組員の数は320人と過去最少になったが、その水面下では半グレを使った資金獲得活動が広がりを見せていると、警戒を強めている。

福岡県警組織犯罪対策課・佐藤弘規課長:
暴力団が資金獲得活動をするため、その実態を警察に分かりにくくするために若い者をあえて組員としなかったり、暴力団員が地元の先輩、準暴力団員が地元の後輩といった場合もあるようです

半グレ対策こそが暴力団を壊滅へ追い込む次なる一手に。福岡県警は、本部長以下230人の体制で取り締まりを強化する。

福岡県警組織犯罪対策課・佐藤弘規課長:
特殊詐欺等の資金獲得活動に関する捜査のスペシャリストを集めた本部となっております。まずは、準暴力団等の活動実態、組織実態をしっかり調べる、見ていく必要があり、また平行して、資金獲得活動のための様々な犯罪を1つ1つ取り締まっていくことが大切と考えています

(テレビ西日本)

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