投資に興味があって始めてみたいと思っているが、いつが“良いタイミング”なのか、と悩んでいる人も多いかもしれない。

ファイナンシャルプランナーの坂本綾子さんは「投資をしたくなったとき」がはじめどきだと語る。

それはなぜなのか。その理由を坂本さんに聞いた。

長期に投資をやる場合、「今」がはじめどき

投資を始めるきっかけは、人によりさまざまでしょう。

預金だけではお金が増えない、なんとかしたいと思ったから。知り合いが投資をしていて、自分もやってみたくなったから。ネットやテレビなどで投資の話を見たから…。

中には、投資を始めるために本を読んだりして準備をしている人もいるかもしれません。株価や為替の動向などのタイミングを見て始めようと思いながら、タイミングを計りかねて、結局はしていない人もいるかも。

いつ投資を始めるかは、「自分がやりたくなったとき」がベストです。ただし、それは長期で投資に取り組む場合に当てはまります。

株式や投資信託の値動きのチャートを見たことがある人もいると思います。チャートの線は、上がったり、下がったりと日々動いています。できれば、下がったところで買いたいと思うのは当然の心理ですが、特に投資初心者の場合はもう少し俯瞰して考えてみてください。

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投資の利益は「値上がり益」と「配当金、分配金による利益」の2種類があります。

まずは「値上がり益」です。買った価格よりも売った価格が高ければ、その差額が利益になります。投資をする人の多くは、値上がり益を狙っているのではないでしょうか。

買った銘柄が5倍、10倍になるという刺激的な結果を夢見る人もいるかもしれません。投資で儲かるといったときのイメージは、こちらの方が強いでしょう。

もう1つは配当金や分配金による利益。株式を持っていると、年に1~2回、配当金を受け取れる場合もあります。配当金は、株式会社が会社の利益から株主に払うものです。

配当金の額は、会社の経営状況に応じて変更され、出ないこともあります。投資信託の中にも、値上がり益から分配金を出すものがあります。

株価も投資信託の価格も、上がったり下がったりしているため、短期的に値上がり益を得たいのであれば、下がっているタイミングで買うことがベストでしょう。

ただし、買った後にもっと下がってしまい、その後、なかなか株価が回復しないことはよくあります。価格変動を予測するのはとても難しいものです。そのため、下がったタイミングで買うことは、とても難易度が高い方法です。

また、自分では下がっているタイミングで買ったつもりでも、長期で見ると、客観的にはそうではなかったということもあります。

こうしたことから、特に初心者は自分でタイミングを選んでもあまり期待できないとも言えるのです。

短期・長期、どんな投資を目指している?

一方、株式の配当金をもらうことを目的に投資をする場合は、株価が何倍にも上がることより、会社の経営が安定していて、配当金も安定的に出る、なおかつ配当利回り(株価に対する配当金の割合)が高いといった、そんな銘柄を探すとよいでしょう。

日本の株式の配当利回りの平均は2%前後で推移しています。配当金が出ない銘柄から、10%近い配当金を出す銘柄まであります。株価の変動があまり大きくなく、毎年2~5%の配当金を得られるなら、投資としては悪くないと考える人もいると思います。

さて、投資を始めたいと思っている人へ、まず考えてほしいことがあります。それは、自分がどのような投資を目指すか、です。

短期で利益を出したいと考えているなら、株価が下がったときが投資のはじめどきです。ただし、そういうときは、社会全体があまり明るい雰囲気ではないため、投資を始める勇気が必要かもしれません。また、長い目で見たときに、「株価が低い」といえるかどうかは、後になってみないとわからないのです。

長期で利益を出したいと考えているなら、いつはじめてもかまいません。ただし、一度に買わずに何度かに分けて買うか、積立で購入した方がよいでしょう。高値づかみを防ぐためです。

買った後に価格が大きく下がったとしても、長期で持てば、いずれは価格が回復する可能性はありますが、元本割れ状態で持ち続けるのは精神的につらいです。また、何度かに分けたり、積立にすれば、平均購入価格よりも上がれば利益がでることもあります。

投資先を分散することも必要です。株式なら複数の銘柄を。株式を選ぶのが面倒なら、複数の株式に分散投資する投資信託を使ってみてください。投資信託は1本で分散投資できるので1本だけでもいいけれど、タイプの違う投資信託を組み合わせるとさらに分散できます。

配当をもらうことを目的とする投資も、いつ始めてもかまいません。当然、経営状態や配当利回りなどをしっかり確認するはずだからです。

予想が難しいからこそ「やりたいとき」にはじめよう

為替は気にしなくてもいいの?と疑問に思う人もいるでしょう。為替相場も、上がったり下がったりしています。こちらもタイミングを選ぶ必要はありません。

為替も「やりたいとき」がはじめどき(画像:イメージ)
為替も「やりたいとき」がはじめどき(画像:イメージ)

株価以上に予想が難しいのが、短期での為替変動です。とはいえ、金利が低かったり、経済力が劣ったりする国の通貨は理論上は安くなるはずで、実際にそのような傾向もあります。そのため強いて言えば、為替変動の対応として考えられるのは投資先を選ぶことです。

長期的に見て将来、円安になると予想するなら、外国の資産を組入れた投資信託を選びます。外国の株式や債券などの資産を持っていると、購入時よりも円安になると利益が出やすくなる傾向があります。円安だと円に換算したときの円の量が増えるからです。

つまり、自分が投資をしたくなったときが投資のはじめどき、なのです。

もうひとつだけ付け加えると、景気後退などあまり嬉しくないニュースが流れるときこそ、ひるまずに投資を始めるタイミングです。なぜなら、そんなときは株価が値下がりしていることが多いからです。

価格変動を予測するのは難しいし、その必要はないけれど、下がっているときに買うことは、値上がり益による利益を大きくする効果があります。また、投資の利益の源泉は、企業の売上であり、それによる株価の上昇と配当金です。景気後退の後は、底を打って、また経済活動が活発になるはず。これまで何度も繰り返してきた現象です。

下がった株価が回復する可能性は高いでしょう。世界には、たくさんの人が生きていて、1円もお金を使わず、何も買わず、何も食べずに生きていくことは難しいです。社会が続く限り、企業は商品やサービスを作り、経済活動も続いていきます。その利益の一部を自分のお財布に取り込もうと思うことが投資なのです。

坂本綾子
雑誌の編集・記者として活動後、ファイナンシャルプランナーの資格を習得。2010年にファイナンシャルプランナー坂本綾子事務所を設立。著書には『節約・貯蓄・投資の前に 今さら聞けないお金の超基本』(朝日新聞出版)『「投資をしたことがないけれど、このままで本当に大丈夫?」と思ったら読む絶対に損をしないお金の増やし方』(CCCメディアハウス)など多数

イラスト=さいとうひさし