SNSには「投資」に関するさまざまな情報が溢れている。

投資に興味を持ち調べている中で「すぐに儲かる」などのフレーズを見つけ、興味をかき立てられることもあるかもしれない。

しかし、昨今はSNSを入口とした投資詐欺トラブルに遭うケースも増えている。

SNSとどのように向き合っていけばいいのか、ファイナンシャルプランナーの坂本綾子さんに聞いた。

情報はあふれているけれど、自分が知りたいことを探すのは案外大変、そんな感覚を持つ人は多いのではないでしょうか。

私は長年、情報を発信する側で仕事をしてきました。雑誌記者として仕事を始め、その後はファイナンシャルプランナーに転身し、雑誌・新聞などの紙媒体、インターネットの情報サイト、書籍などの執筆をしています。

私が仕事を始めた30年以上前に比べて、情報を発信する企業や人の数、そして発信される情報の量は、飛躍的に増えました。SNSの登場で、特に増えているのが、管理者や校閲者がいない情報です。

複数のチェック機能があったかつての紙媒体に比べると、現在、インターネットサイトに掲載される情報は、チェック機能が緩いように感じます。

もちろん、何人もの人が多方面から確認した上で掲載されている情報もあります。しかし、書いた本人以外の第三者の確認が行われていない情報も一定数存在するでしょう。

SNSで発信されている情報は注意が必要

そして、SNSです。最近は企業のアカウントも増えていますが、SNSの個人アカウントはインターネット上で自由に発信し、交流できるツールですから、他者による中身の確認や校閲はありません。

どんな人が発信しているのか?鵜呑みにせず確認しよう(画像:イメージ)
どんな人が発信しているのか?鵜呑みにせず確認しよう(画像:イメージ)
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親しい間柄での、近況報告を兼ねたおしゃべりのような情報なら他人がとやかく言う筋合いはありません。しかし、SNSは知らない人ともつながることができます。そして、特に若い人は、SNSを情報収集のツールとして使っているケースが多いので、その場合は注意が必要です。

企業アカウントなら、その企業の担当部署が管理して発信しています。一方、個人アカウントは、あくまでその個人の意見であり考えです。

SNSの情報を参考にする場合は、どんな人が発信しているのかの確認は必須。そして、その事実を本人以外は確認していない情報だということを頭に入れておくことです。

SNSからの“勧誘”は怪しいと思うこと

外国株やFXで資産が何倍にもなったと、お金を増やした体験を発信する人もいます。それが本当だとして、発信者が過去に行った方法で、これからも増やせる保証はありません。

また、儲け話は、どんな仕組みで、利益がどこから出てくるかを考えることです。

その前に、そもそもSNSで勧誘してくること自体が怪しいと思った方がいいでしょう。

日本では、消費者が利用する金融商品は、金融庁の免許・認可・登録を受けている金融機関で買う仕組みです。「確実に儲かる方法を教える」「月々40万円の儲けがある」などと勧誘して海外の無登録業者に口座を開かせたり、SNSを通して見知らぬ人同士が金銭の貸し借りをする「個人間融資」のトラブルも増えています。

「おかしい」と思ったら断る勇気を(画像:イメージ)
「おかしい」と思ったら断る勇気を(画像:イメージ)

無登録業者や個人間での取引は、万一トラブルになっても、補償はありません。誘ってきたのが友人など親しい人でも、おかしいと思ったらきっぱり断る勇気を持ちましょう。

「貯蓄から投資へ」「資産所得倍増プラン」など、個人が投資をすることを国も後押ししている時代です。自分に合う方法で投資に取り組みたいものですが、投資への興味を利用してSNSで勧誘してくるケースも増えています。

お堅いイメージの官公庁も、最近は、それこそSNSの公式アカウントを開設して情報発信しています。

また、例えば金融庁のサイトには、つみたてNISAの対象商品のラインナップが掲載されているなど、消費者に対する情報発信も行っています。日本銀行が運営するサイト「知るぽると」(金融広報中央委員会)にも、金融経済の情報がたくさん掲載されています。

インターネット時代ですから、ネット上の情報は上手に活用したいと誰もが思うでしょう。それには、確かな発信元のサイトやSNSをまずは参考にすることです。

そして、ネットに加えて、信頼できるリアルの場や人間関係を大事にすることでバランスがとれ、情報の真偽の判断能力も上がるのではないでしょうか。
 

坂本綾子
雑誌の編集・記者として活動後、ファイナンシャルプランナーの資格を習得。2010年にファイナンシャルプランナー坂本綾子事務所を設立。著書には『節約・貯蓄・投資の前に 今さら聞けないお金の超基本』(朝日新聞出版)『「投資をしたことがないけれど、このままで本当に大丈夫?」と思ったら読む絶対に損をしないお金の増やし方』(CCCメディアハウス)など多数

イラスト=さいとうひさし

坂本綾子
坂本綾子

雑誌の編集・記者として活動後、ファイナンシャルプランナーの資格を習得。2010年にファイナンシャルプランナー坂本綾子事務所を設立。著書には『節約・貯蓄・投資の前に 今さら聞けないお金の超基本』(朝日新聞出版)『「投資をしたことがないけれど、このままで本当に大丈夫?」と思ったら読む絶対に損をしないお金の増やし方』(CCCメディアハウス)など多数