12月22日(木)に大阪府門真市の東和薬品RACTABドームで開幕した全日本フィギュアスケート選手権。

2日目となる23日(金)には、ペア・ショートプログラムと男子のショートプログラムが行われる。

羽生結弦のプロ転向など、新たなステージへと歩みを進める日本フィギュア界はまさにシン・フィギュア時代。

日本代表を目指して戦いに挑む選手、最後と決めて全日本のリンクに立つ選手…様々な思いが交差する、日本最高峰の舞台・全日本選手権で選手たちはどんな演技を見せてくれるのだろうか。

男子ショートプログラムの滑走順は以下の通り。

16時20分ごろから第1グループ、第2グループが17時20分、第3グループは18時ごろ、第4グループが19時15分、第5グループは20時00分ごろ開始予定。

第1グループ

(1)中田 璃士(なかた りお)
14歳/MFアカデミー 初出場

中田璃士
中田璃士
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次世代のエース候補が1番滑走で全日本デビュー。父は誠人コーチ、母はウェールズ出身というルーツを持つスケーター。全日本ノービス3連覇を果たし、早くからその才能を輝かせている。

トリプルアクセルを習得した今シーズン、ジュニアデビュー。Jr.GPラトビア大会では2位に入った。身長が昨年から約15センチ伸びたといい、華のある表現力がスケールアップ。

公式練習では4回転トゥループ、4回転サルコウを練習。本番でどんなサプライズを起こすのか楽しみだ。

本田ルーカス剛史
本田ルーカス剛史

(2)本田ルーカス剛史(ほんだ るーかす つよし)
20歳/木下アカデミー 4年連続4回目

2020年全日本ジュニア王者。「エンジンかけようとして、空回りしている」となかなか調子が上がらない今シーズン。

その中でも、GPフィンランド大会に出場し、経験を重ねてきた。”シニアらしい大きなスケートをする”と練習に取り組んで迎える全日本。

1ケタ順位を目標に定め、地元・大阪開催の大会で浮上のきっかけを掴めるか。

櫛田一樹
櫛田一樹

(3)櫛田 一樹(くしだ かずき)
23歳/倉敷FSC 6年連続6回目

去年、大学4年生で迎えた全日本で悔しい演技に終わり、「リベンジしたい」と今シーズンも現役続行。覚悟を持って挑んでいるが、ケガとの戦いが続いている。

「スケートはやっぱり甘くなくて、ここまでくるのにしんどい思いをたくさんしてきた。すべてをぶつけて、自分が求めてたスケートをしたい」

こだわりの4回転を決め、積み上げてきた滑りを出し切り、有終の美を飾りたい。

田内誠悟
田内誠悟

(4)田内 誠悟(たうち せいご)
14歳/名東FSC 初出場

全日本の推薦出場がかかった全日本ジュニアで、ショートでミスが続き17位発進。その絶望的な状況で迎えたフリーで、逆襲の演技。

“人生初ガッツポーズ”が飛び出し、大逆転で初の全日本を掴んだ中学2年生。大技こそまだないが、身長171センチの長い手足を活かした正統派スケートで、リンクに存在感を放つ。

フリー進出を目標に、シニアに挑む。

吉岡希
吉岡希

(5)吉岡 希(よしおか のぞむ)
19歳/法政大学 2年連続3回目

全日本ジュニア王者となった大学1年生。最大の武器は“ジャンプ” 。4回転とトリプルアクセルを複数組み込み、世界のジュニアの中でも屈指の高難度構成で戦う。

Jr.GPチェコ大会で優勝すると、Jr.GPファイナルに進出。初の舞台では、唯一4回転を成功させ、3位に入った。

全日本では、ショートから4回転を予定。「シニアでも戦える演技を」と、フリー後半グループ入りを狙う。

彦阪昇吾
彦阪昇吾

(6)彦阪 昇吾(ひこさか しょうご)
19歳/立命館大学 初出場

静岡県出身。競技開始は中学1年生と、スケーターの中では比較的遅いスタート。その中で、母の送迎で地元と名古屋を往復しながら、練習を積み重ねてきた。

今年、大学進学を機に拠点を京都へ。そこで出会った笹原景一朗コーチの元で意識改革。

チャンスをものにし、初の全日本を掴み取った。初めての大舞台は「とにかく楽しむこと」。

第2グループ

(1)三島 悠生(みしま はるき)
18歳/ひょうご西宮FSC 初出場

三島悠生
三島悠生

島根県出身。高校時代は広島県で過ごし、スケートに力を入れて取り組んできた。今年、進学を機に兵庫県へ。

「スケートを楽しもう」と思え、精神的にも成長みせた今シーズン、全日本の舞台を初めて掴んだ。

「目標はフリー進出。自分らしさの溢れる自分にしか出来ない演技をして、誰かの心を動かせるスケートをしたい」と意気込んでいる。

中村俊介
中村俊介

(2)中村 俊介(なかむら しゅんすけ)
17歳/木下アカデミー 3年連続3回目

演技冒頭から観客を引き込む、強い目力に注目。精度を高めてきた4回転トゥループとトリプルアクセルを武器に挑む今シーズン。

初めてJr.GPシリーズに参戦し、2大会連続で表彰台に登り、ファイナル進出を果たした。

全日本ジュニアでは、4回転トゥループを成功。昨年の全日本はフリーに進出できず、悔しさを噛みしめた。昨年よりも成長した姿で、リベンジの舞台に挑む。

周藤集
周藤集

(3)周藤 集(すとう つどい)
15歳/MFアカデミー 初出場

迫力のあるトリプルアクセルを習得し、今シーズンはJr.GPシリーズ2戦に大抜擢された。高校1年生ながら、シニア顔負けの体を大きく使ったステップも武器。演技構成点も高評価を受ける。

しかし、ここ最近の試合では、ジャンプに精彩を欠き、力を出し切れずにいる。

「夢の扉を開けた先にある舞台」と語る、全日本の舞台。どこまで状態を仕上げ、本来の姿を見せられるか。

山隈太一朗
山隈太一朗

(4)山隈 太一朗(やまくま たいちろう)
22歳/明治大学 5年連続5回目

今シーズン、ラストイヤーの大学4年生。春先にはスイスに渡り、振付とトレーニングを行ってきた。

日本男子屈指の高さを誇るトリプルアクセルは見どころ。演技のカギを握るのは、3回転+3回転の連続ジャンプ。決まれば、勢いに乗っていくだろう。

母の願いを叶えた選曲のフリーで有終の美を飾れるか。「全身で幸せを感じたい。そして、その感情をそのまま演技に乗せたい」。

西山真瑚
西山真瑚

(5)西山 真瑚(にしやま しんご)
20歳/早稲田大学 初出場

昨年はアイスダンサーとして出場した全日本。来シーズンからアイスダンスに専念するため、今年が最初で最後のシングルでの全日本となる。

東日本選手権ではショート10位と、全日本圏外スタートからフリー1位と巻き返し、逆転で掴んだ舞台。

「シングルスケーター西山真瑚という人物が存在したと言うことを全日本中に知ってもらいたい」と強い思いでリンクに立つ。

佐々木晴也
佐々木晴也

(6)佐々木 晴也(ささき はるや)
19歳/京都大学 初出場

昨シーズンは受験に集中するため、全休。京都大学・経済学部に晴れて合格し、競技復帰。今シーズンは、全日本ジュニアでショート・フリーともに会心の演技を見せた。

総合で3位に入り、初の表彰台に登った。

初めて挑む全日本では、フリーで4回転を入れるべく、練習を積んできた。全日本ジュニアのような、豪快なガッツポーズ演技に期待が高まる。

第3グループ

(1)垣内 珀琉(かきうち はる)
16歳/ひょうご西宮FSC 初出場

垣内珀琉
垣内珀琉

今シーズン、大きな成長を見せる高校1年生。田中刑事コーチが加わり、4回転トゥループの精度が向上。近畿選手権・西日本選手権と2大会連続で成功させた。

淀コーチと磨いたスケーティングも評価され、演技構成点もスコアアップを実感。

全日本ジュニアで6位に入り、初の全日本を掴んだ。フリーに進出し、Aviciiで会場を盛り上げたい。

小林隼
小林隼

(2)小林 隼(こばやし しゅん)
19歳/同志社大学 初出場

今シーズン、シニアデビューを迎えた大学1年生。滋賀県出身で、お気に入りの写真に琵琶湖をあげるほど、地元をこよなく愛する。

高さと流れのあるダブルアクセルは見ごたえがあり、夏にはトリプルアクセルにも挑戦していた。

初めて挑む、憧れの舞台では、「楽しんで、自分のありったけの精一杯で滑り切りたい」と語る。目標のフリー進出なるか。

片伊勢 武 アミン
片伊勢 武 アミン

(3)片伊勢 武 アミン(かたいせ たける あみん)
18歳/関西大学 2年連続2回目

伸びやかなスケーティングを武器に、初めて派遣されたJr.GPポーランド大会でいきなり優勝。総合得点234.24点は今シーズンのジュニア世界最高得点。

全日本ジュニアでは、ショートで80点超えを達成するもフリーで失速し、2位。Jr.GPファイナルにも出場するが、6位に終わった。

悔しさを積み重ねた中で挑む全日本。「自分の120%を出し切りたい」と雪辱を誓う。

杉山匠海
杉山匠海

(4)杉山 匠海(すぎやま たくみ)
20歳/岡山大学 3年連続3回目

体の柔らかさを活かした、しなやかで優美な滑りが魅力。ジェイソン・ブラウン(アメリカ)を彷彿とさせる、キャメルスピンは杉山の演技のハイライトだ。

今年は2月に約1カ月間、アメリカに渡り、元世界女王・佐藤有香さんに指導を仰ぎ、スケーティングを磨いた。「滑りが安定してきた」と成長を実感。

全日本では、ショート・フリー合計で200点超えを目指す。

長谷川一輝
長谷川一輝

(5)長谷川 一輝(はせがわ かずき)
21歳/東京理科大学 3年連続3回目

”パソコンの組み立て”が特技、趣味は”家計簿を眺めること”というリケダン。

全日本の独特な雰囲気にのまれ、出場した過去2大会は思うような演技が出来ず、苦い経験を味わった。”ミスをしない堅実な滑り”をさらに磨き上げ、今年ルール変更のあったスピンの精度も高めてきた。

「遠い目標ですが、達成したい」と、フリー後半グループ入りを目指し、今年も全日本に挑む。

須本光希
須本光希

(6)須本 光希(すもと みつき)
21歳/関西大学 4年連続7回目

2017年全日本ジュニア王者に輝いた実力者。しかし、昨年から続く、原因不明の体調不良に苦しむ日々が続いている。それでも、”ラストシーズン”と覚悟を決めて、今シーズンもリンクに立ち続ける。

最後の全日本に向け、「点数、順位は気にせず、18年間のスケート人生をどんな形でもいい経験をできたなと思える試合にしたい」と意気込み。

流れの途切れないスケーティングを堪能して欲しい。

第4グループ

(1)大島 光翔(おおしま こうしょう)
19歳/明治大学 3年連続3回目

大島光翔
大島光翔

リンクインからキス&クライまで見ているものを楽しませる、日本屈指のエンターテイナー。今年は“らしさ”全開のプログラムを用意。

ショートはMIYAVIのロックナンバーをノリノリに、フリーは映画「トップガン」の世界観そのままに演じる。特にコレオシーケンスの振り付けは注目。

今年は東日本選手権を初制覇して挑む全日本。「12位以内で強化選手になる」と目標を掲げる。

木科雄登
木科雄登

(2)木科 雄登(きしな ゆうと)
21歳/関西大学 7年連続7回目

腰のケガで”立つのがやっと”の状態で挑んだ昨年は、フリーに進めず。リベンジに燃える今シーズン、西日本2位で全日本を掴んだ。

ショートはマイケル・ジャクソンの「Bad」をキレのある動きで、一方のフリーは、しっとりと大人な表現で魅せる。

フジテレビ中継内のアイスコープで計測したトリプルアクセルの”飛距離”は、過去4年の平均値が全選手No.1。そのジャンプにも注目だ。

宇野昌磨
宇野昌磨

(3)宇野 昌磨(うの しょうま)
25歳/トヨタ自動車 12年連続12回目

新たな時代の転換期となる今シーズン、9月には「スケート界を引っ張る存在に」と覚悟を語った。今シーズンもフリーでは4回転4種類5本と高難度構成に挑み続ける。

GPシリーズ2連勝、GPファイナルでも本領発揮し、フリーで自己ベストを更新。トータル300点を超えるスコアで貫禄の優勝。

公式練習でも調子の良さを存分に見せつけた。3年ぶりの全日本優勝へ、死角はない。

森口澄士
森口澄士

(4)森口 澄士(もりぐち すみただ)
20歳/木下アカデミー 3年連続3回目

ペアとの二刀流で挑む今シーズン。練習時間が増え、シングルにも良い刺激をもたらしているという。西日本選手権で3位に入り、ショートは2年連続の後半グループでの演技となる。

「アイスコープでいい結果を出したかったので、トリプルアクセルに力を入れた」という大迫力のジャンプは、その数値にも注目して欲しい。

ペアのショートを終えてから約4時間後の演技で、力を出し切れるか。

山本草太
山本草太

(5)山本 草太(やまもと そうた)
22歳/中京大学 6年連続9回目

昨年の全日本でショート4位発進ながら、フリーで12位と大失速。リベンジの思いを胸に、今シーズン、日本男子の中で最も成長を見せている。

「今シーズンこそ何か変わった自分を見せる」と夏の誓いを有言実行。練習から120%を実践し、GPファイナルで2位に入る快進撃。

6年前に右足首を骨折し、3度の手術を経験。不遇の時を経て、初の日本代表へ。”今がその時”。

三宅星南
三宅星南

(6)三宅 星南(みやけ せな)
20歳/関西大学 3年連続6回目

ドラマチックな滑りで魅了し、昨年の全日本では6位に入った。四大陸選手権代表にも初めて選出され、飛躍の1年を送った。

さらなる高みへ、今シーズンは2種類目となる4回転トゥループを実践投入。

GPフランス大会のフリーを体調不良で棄権し、コンディションが心配されるが、全日本に向けて「今、持っているものを出し切り、昨年よりも上位を目指したい」と話す。

第5グループ

(1)三浦 佳生(みうら かお)
17歳/オリエンタルバイオ・目黒日大高 3年連続3回目

三浦佳生
三浦佳生

”ランボルギーニ”と異名がつく、スピードと幅のある豪快なジャンプを武器に今シーズンは、GPシリーズ2戦で表彰台に登り、初のファイナル進出。

勢いのまま乗り込む全日本は、「出遅れたら終わりっていう感じがあって怖いですね。けど、それも含めて面白いっすね」と、熾烈な日本代表争いに向けて、闘志をたぎらせる。

”常に越す気持ちで”シニアとして迎える初の全日本、先輩スケーターに真っ向勝負を挑む。

佐藤駿
佐藤駿

(2)佐藤 駿(さとう しゅん)
18歳/明治大学 6年連続6回目

北京五輪の男子フリーが行われている最中、左肩を手術。ジャンプの練習が制限された中で、基礎練習に地道に取り組み、滑りがスケールアップした。

GPシリーズで2戦とも表彰台に登り、自身初のシニアのGPファイナルに進出。フリーは2戦連続でミスのない演技が続く。

「積み重ねてきたことを練習通りに試合で出し切りたい」ショートで4回転ルッツを成功させ、勢いに乗りたい。

壷井達也
壷井達也

(3)壷井 達也(つぼい たつや)
20歳/シスメックス 2年連続6回目

昨シーズンは世界ジュニアで銅メダルを獲得。シニアデビューの今シーズンは、近畿選手権直前に左肩を脱臼するというアクシデントからのスタート。

その中でも、徐々に状態を上げ、GPシリーズ2戦に出場。ショートから4回転サルコウを組み込み、上位進出を狙う。

「今シーズン1番の演技を全日本で披露できるように頑張りたい」と、意気込みを語る。目標は総合6位以内。

友野一希
友野一希

(4)友野 一希(ともの かずき)
24歳/上野芝スケートクラブ 10年連続10回目

補欠から代表への繰り上げを過去5度経験。その1つ、2022年3月の世界選手権では、ショートで100点超えを果たし、総合で6位入賞。

今シーズンは、「脱・代打の神様」を掲げ、GPシリーズでも表彰台に登った。「自分のスケートがいろんな人に受け入れられてる」と、確かな手応えを掴んで挑む全日本。

“自分の強さ”を信じ、今年こそ自らの手で日本代表を掴み取りたい。

島田高志郎
島田高志郎

(5)島田 高志郎(しまだ こうしろう)
21歳/木下グループ 5年連続7回目

スケート愛が溢れるスケーター。“いい演技がしたい” その思いを胸に挑む、今シーズン。東京選手権のショートで、4回転2本をすべて着氷。

GPシリーズには2戦出場し、イギリス大会ではフリーで自己ベストをマーク。手ごたえのある中で迎える、全日本。

「自分が出来ることを『やる』」を1番の目標に掲げ、トータル250点超えを目指して、リンクに立つ。

鍵山優真
鍵山優真

(6)鍵山 優真(かぎやま ゆうま)
19歳/オリエンタルバイオ・中京大学 5年連続5回目

左足首のケガの影響で、ここまで全試合を欠場。仲間の活躍に刺激を受け、トレーニングを積み、表現力を磨いてきた。

「新しい挑戦がしたい」と、父・正和コーチの反対を押し切り、全日本出場を決断。ショートは、自身初のロックナンバー。「新しい鍵山優真を見て欲しい」と意気込む。

フリーでは新たに4回転フリップに挑戦。最終滑走で迎える、今シーズン初演技。五輪銀メダリストの挑戦を心して見守りたい。

30名中24名が進出するフリーは、12月25日(日)に行われる。

全日本フィギュアスケート選手権2022
フジテレビ系列で12月22日(木)から4夜連続生中継(一部地域を除く)

https://www.fujitv.co.jp/sports/skate/japan/

全日本までの道の詳しい概要はフジスケで!
https://www.fujitv.co.jp/sports/skate/figure/toJPN.html


 

フィギュアスケート取材班
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