厳しい“ゼロコロナ政策”を続ける中国で、感染拡大が続いている。11月24日、全土で過去最多となる3万1444人の感染を発表。また20日には、北京市ではおよそ半年ぶりとなる死亡者も確認されていて、各地で厳戒態勢が敷かれています。

上海市では24日午前0時から、市内の入境者が、入境から5日間、ショッピングモールやレストランなど公共の場へ立ち入ることを禁止した。

現在の上海は

厳しい規制が続く上海から、関西テレビの特派員が今の様子をリポートします。

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森雅章 上海支局長:
私は今、上海の街角にいます。後ろにはスーパーがありますが、ここも規制が行われています。入り口には防護服のスタッフが立って、違反がないかチェックしています。このエリアには飲食店も多数ありますが、もちろん規制の対象です。ランチに来た人をチェックしている光景も見られました

森雅章 上海支局長:
臨時のPCR検査スポットも設けられています。24時間検査を受けることができて、人波が途切れることはありません。上海も感染者が増加傾向にありますが、なんとかそれを数十人単位で持ちこたえているといった現状です

森雅章 上海支局長:
一方、中国南部の広州市では千人単位で日々の感染者が増えていて、当局は「個人の対策意識が低く、人の動きが増えた」こと、「オミクロン株の影響」を感染拡大の理由に挙げています。最近は中国政府から、「むやみに大規模なPCR検査を実施しないよう」といった通知も出されていて、検査数自体は多くないはずなのですが、なぜ急激に感染者数が増えているのか、市民からは疑問の声も聞かれます

森雅章 上海支局長:
政府や地元当局には、再度のロックダウンの動きはありませんが、急な方針転換はあり得るので、皆が心配しています。今日も新たな規制が設けられましたが、これに関して上海市民からは、春先の60日間の封鎖生活が気になるせいか、「仕方がない」と理解を示す声が多数聞かれています。一方、中国で随一の国際経済都市を自負する上海なので、市民からは「他都市との往来が厳しくなると、また経済に影響が出るのでは」といった懸念の声も上がっています

中国の感染状況は

11月23日、過去最多の3万1444人の新規感染者を確認した中国ですが、その9割近くが無症状だということだ。また、北京で3人の死亡が確認されましたが、これは中国全土で、およそ半年ぶりだということだ。

 日本に比べると少ない感染者数・死者数ですが、それでも中国が“ゼロコロナ政策”を続ける理由は、「やめたくてもやめられないから」だと関西テレビの神崎デスクは指摘する

関西テレビ 神崎デスク:
日本は高齢者のワクチン接種が進んでいますが、中国は都会からワクチン接種が進むんです。高齢者は地方に住んでいる人が多いので、高齢者のワクチン接種が進んでいないということがあります。またワクチン自体も、ファイザーやモデルナとは違う中国製のワクチンを使っているので、有効性が低いと言われている。あとは医療体制ですね。都会は病院がたくさんありますが、地方は医療従事者が少ない。いったん爆発的に感染が広がると医療がついていけなくなるので、なかなかゼロコロナ政策をやめられないという状況です

中国の“ゼロコロナ政策”では48の都市で移動制限が行われていますが、これはGDP(国内総生産)のおよそ20%を占める地域だということだ。

野村ホールディングスの分析では、「感染者急増・社会の混乱でロックダウンの方針に戻す可能性」があり、「経済の再開は“いばらの道”」だということだ。

(関西テレビ「報道ランナー」2022年11月24日放送)

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