強豪・ドイツを倒すジャイアントキリングを果たした森保ジャパン。試合開始早々、チャンスをつかんだのも日本だった。

実況:
伊東純也、右を走る、さぁ前田、そして久保も中央にいます。
前田のシュート!決まった~!……おっと、オフサイドです。

前半8分、前田大然選手(25)の先制ゴールかと思いきや、惜しくもオフサイド。ところが、その後はドイツの猛攻に防戦一方に。​耐えた日本が後半の逆襲へ。列島が沸いた。

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先制点許すも、歴史的“逆転劇”へ…

迎えたワールドカップの初戦。

試合序盤、優勝候補・ドイツの猛攻に耐え続けた日本だったが、ついに前半31分、GK権田修一選手(33)のファウルでドイツにPKを与えた。そしてPKで日本は先制点を許してしまった。

その後も前半はドイツの猛攻に防戦一方の日本だったが、そのまま0-1で前半を終えた。

そして始まった運命の後半、ここから歴史的な逆転劇が始まった。

森保一監督は後半12分、三苫薫選手(25)と浅野拓磨選手(28)を投入。攻撃的な布陣で逆転を狙う日本だったが、ドイツも攻撃の手を緩めず、ゴールポストに救われる場面もあった。

後半19分には、果敢にボールを追いかける浅野選手と競り合う相手DFのリュディガー選手が独特の“もも上げ走り”を披露。コミカルな動きを見せ、笑みを浮かべる余裕をのぞかせた。この“もも上げ走り”はSNSで話題となり、「なんて走り方をしてるんだ」「余裕を見せているのかな」などのコメントが投稿された。

その後も猛攻を続けたドイツの波状攻撃をGK・権田選手のスーパーセーブで防ぎ、追加点を許さなかった日本。

すると反撃のチャンスが到来。堂安律選手(24)や南野拓実選手(27)を投入し、攻撃のリズムが生まれ始めた後半30分。途中出場の3人が輝きを放った。

実況:
さぁ、スピードがあります三苫。
南野!こぼれ球!押し込んだ~!日本同点!堂安律だ!日本が追いつきました!

三苫選手が得意のドリブルでゴール前に切り込み、南野選手へ。南野選手の放ったシュートのこぼれたところを堂安選手が押し込み、ゴールを決めた。

試合終了後のインタビューで、同点ゴールを決めた堂安選手は「俺しかいないって思ってたので、そういう強い気持ちでピッチに入りました」と語った。

途中出場3人が生んだ、同点ゴールに湧いた日本列島。

同点ゴールの瞬間(渋谷センター街)
同点ゴールの瞬間(渋谷センター街)

各地のパブリックビューイング会場では、大歓声があがった。

同点ゴールの瞬間
同点ゴールの瞬間

サポーターたちは手を取り合い喜び合った。

浅野選手の“神トラップ”からの“ぶち抜き”シュートで逆転

そして、さらなるドラマはわずか8分後に生まれた。主役となったのは、やはり途中出場の浅野選手だった。

実況:
裏をとって、浅野、浅野前を向く!浅野のシュート!決めた~!日本逆転!
後半38分、日本がやりました!

ロングボールに走り込んだ浅野選手がボールをピタリと止める“神トラップ”で抜け出すと、角度のないポジションからシュート。日本の逆転ゴールとなった。

このシュートを様々な角度で見てみると、シュートする瞬間、ゴール前にドイツの守護神、ノイアー選手が立ちはだかり、ボールが抜ける隙間がないようにも見える。しかし、次の瞬間、ボールは鮮やかにゴールネットを揺らし、ノイアー選手も触れられない見事な逆転の一撃になっていた。

ゴール背後からのカメラで見てみると、シュートを放つ瞬間、キーパーとゴールの間には体一つ分ほどの隙間が確認できる。このわずか60センチほどの隙間をピンポイントに打ち抜くシュートだったのだ。

ピッチの中心付近から約50メートルの距離を走り込み、角度のないところから正確なシュートを放った浅野選手。「後ろ向きのボール めっちゃトラップするじゃん」「浅野のぶち抜きシュートがエグい」などと、SNSでも話題になった。

浅野選手の地元、三重・四日市市では、兄の将輝さん(31)が、自身の経営するバーで試合を見守っていた。将輝さんは「前回もいろいろあって出られなかったので、子どもの頃からの夢が叶って良かったなと思います」とコメントした。

前回のロシア大会では予選で活躍しながらも最終メンバーに選ばれず、悔しい思いをした浅野選手。試合後の会見で浅野選手は、「このために4年前から準備していましたし、1日も今日のために妥協したことはなかったので、それがしっかり結果に出て良かったかなと思います」と語った。

「日本勝利」でお祭り騒ぎ

そして、ついに歓喜の瞬間がやってきた。

実況:
試合終了~!日本やりました!ドイツを撃破しました、日本!
大逆転勝利です!

優勝候補のドイツを2対1で破る、歴史的な逆転勝利で「勝ち点3」をもぎ取った。

スタジアム周辺もお祭り騒ぎとなった。

現地では、いたるところから「JAPAN!」「Congratulations!(おめでとう)」と声が聞こえてきた。

試合が終わったのは日本時間午前0時頃。

渋谷・スクランブル交差点
渋谷・スクランブル交差点

終電間際だったが、東京・渋谷では、多くの人が喜びを爆発させていた。

ドイツ戦の勝利を受け、キリンビールでは週末のコスタリカ戦に向けてビール類などの発注が最大5割も増加するなど、“ドーハの歓喜”現象が広がっている。

森保監督のただならぬ決意 実現した“ドーハの歓喜”

交代出場した選手が得点に絡み、森保采配が見事に的中。このカタール・ドーハの会場となったワールドカップには、森保監督のただならぬ決意が込められていた。

「“ドーハの悲劇”ということで、アメリカワールドカップの最終予選で悲しい思いをしました。今度は監督としてこのドーハで“ドーハの歓喜”に変えたいと思っています」と語っていた森保監督は、29年前、初のワールドカップ出場を目前で逃した“ドーハの悲劇”を選手として味わった。さらに4年前のワールドカップでは、コーチとしてベルギー戦での“悪夢の大逆転負け”を経験した。

果たせなかったベスト8を目指して挑んだドイツ戦で、“ドーハの歓喜”を実現した。

森保監督は試合後、「日本でも本当に多くの方々が我々の応援をしてくれて、その後押しで最後まで戦えて勝つことができました」と語った。

初戦で大きな「勝ち点3」を手にした日本は、2戦目のコスタリカ戦に勝利した場合、ドイツがスペインに引き分け、もしくは敗れると決勝トーナメント進出が決まる。

(「イット!」11月24日放送)