大切な家族であるペットが死んでしまったら、悲しさで気分が落ち込んでしまう。しかしそれは、なにも人間だけではないようだ。

「#ドクターに言われた衝撃的な言葉」のハッシュタグと共に、飼い主のふみさん(@nikoniko_fumi)が投稿したのは、今年4月に一緒に暮らしているスコティッシュフォールドのまるちゃん(8歳・女の子)を病院に連れて行った時の出来事。

猫が急にハゲたので、慌てて病院へ。

先生「最近何か環境の変化とかありました?」
私・母「そういえば飼っていたハムスターが亡くなって…」
先生「多分それですね。ペットロスです」
 私・母「ペットがペットロス……」

夜に、まるちゃんの頭に親指の爪ほどの大きさのハゲができていることに気付き、慌てて病院へ向かったところ、診察結果は“ペットロス”。その2日ほど前に一緒に暮らしていたハムスターが死んでしまったことの悲しみで、はげてしまったというのだ。

この出来事とともに投稿した画像には、まるちゃんがハムスターを見つめるかのようにケージのそばに座っている。ハムスターもおびえる様子もなく、鼻先をケージから少し出している。どこか和やかな雰囲気を感じる1枚だ。

生前のハムスターとまるちゃんの様子
生前のハムスターとまるちゃんの様子
この記事の画像(19枚)

種属を超えた2匹の仲にTwitterでも「優しい猫さんですね」「大事な大事な家族だったんですね」などと感動コメントが寄せられ、中には「うちの猫もそうでした」という、同じような体験談も多くあった。そして、投稿は29万9000のいいねが付く話題となっているのだ(12月1日時点)。

「まるは繊細な子なんだ…」

猫もペットロスになることに驚きだが、多くの人がまるちゃんの様子に胸を打たれたことだろう。実際、ハムスターとはどのように過ごしていたのだろうか?またその後、元気になったのだろうか?

まずは、ふみさんに話を聞いてみた。


ーーまるちゃんはどのような子?

物音にとても敏感でビビりな性格をしているため、家族が急に動いた時はとてもびっくりしていますし、テレビから猫がケンカしている時の鳴き声が聞こえたときも、びっくりして隠れてしまいます。あとは、ちょっとどんくさい部分もあります。キッチンのカウンターからリビングの机に飛び乗るときはいつまでも様子をうかがっていますし、それで飛び乗ろうとして失敗することも多々あります。

抱っこは嫌いですが、家族に甘えることは大好き。田舎なので出かけるときは必ず車を使用しますが、家族が帰ってくると車のエンジン音にも反応するほど、家族が帰ってきたら嬉しそうにしています。

まるちゃん
まるちゃん

ーーはげていることに気付いた時の心境は?

その日私は朝から出かけていたのですが、夜帰るとハゲができていたので大変驚きました。今まではげたことがなかったこともあり、何があったのか本当に心配でした。

ハムスターの調子が悪いとケージの前で心配そうに見守っていたという
ハムスターの調子が悪いとケージの前で心配そうに見守っていたという

ーーでは、診断結果「ペットロス」を聞いた時どう思った?

食欲はあったことと皮膚の赤みなどが無かったことから、なんとなく環境の変化(ハムスターが亡くなったこと)について予想はしていましたが、「まさか本当にそうだったとは…」と思ったのと同時に「やっぱりうちのまるは繊細な子なんだ」と再認識しました。

最初は警戒も、徐々に距離が縮まった

ーーハムスターとの仲はどうだったの?

はじめはまるの方が警戒していました。臆病な性格に加え、まるがきゅーちゃん(ハムスター)のケージに近づいたらきゅーちゃんに噛まれかけたこともあり、まるから手を出すことはありませんでした。

ハムスターのきゅーちゃん
ハムスターのきゅーちゃん

少しずつ慣れていき、まるがきゅーちゃんのケージの上でくつろぐ一方、きゅーちゃんもまるを気にせずケージの中でくつろぐ姿も見られるようになりました。まるもきゅーちゃんも普段はリビングで家族と一緒に過ごしていたこと、私がきゅーちゃんを大事そうに扱っていたことから、まるにとってもきゅーちゃんは大事な存在だったかもしれませんね。

ケージの上でくつろぐまるちゃん 気にしないきゅーちゃん
ケージの上でくつろぐまるちゃん 気にしないきゅーちゃん

ーーその後のまるちゃんの様子は?

病院で処方された精神安定剤を服用後、はげていた部分はすぐに元通りになりました。ペットロスを引きずる様子もありません。

その後、引きずる様子もなく回復したという
その後、引きずる様子もなく回復したという

まるちゃんは、はげる以外のペットロスとしての症状はなかったそう。ふみさんは薬の服用の他、なるべくそっとして構い過ぎないようにしたり、ハムスターのケージを片付けたりした。そうして、まるちゃんのハゲは1週間かからないくらいで完治したという。

行動などには出なかったが、一緒に暮らした大事なハムスターが死んでしまった大きな悲しみが体に現れてしまっていたということなのか。

相手の急な喪失で心身のバランスが崩れる

そもそもペットがペットロスになるとはどういうことなのだろうか? 赤坂動物病院の柴内晶子院長に教えてもらった。


ーーペットがペットロスになるとはどういうことなの?

人間にとって共に暮らす動物は伴侶です。「人生を共に歩む相手」と伴侶という言葉を辞書で引くと出てきますね。動物にとって相手が亡くなった、もう2度と会えないという認識はないと思います。

ただ、それまでの環境と何かが変わったということで、自分自身のそれまでのバランスが崩れたり、いつもと異なるということを感じた結果、何らかの症状として現れるということはあるかもしれません。


ーー過去、ペットロスで来院した患者のペットはいる?

前述した通り、動物がペットロスになったという診断をしたことはありませんし、獣医学の中でもそれが確認されているわけではありませんが、同居していて毎日の生活の中で濃密な関係性を持っていた相手の動物が急逝してしまったり、何らかの理由で同居できなくなった直後に何らかの症状が出て来院された方はいらっしゃいます。

ハムスターを見つめるまるちゃん
ハムスターを見つめるまるちゃん

ーーどのような動物や性格の子がなりやすいといった傾向はあるの?

傾向を言葉にできるほど多くはないと思います。あえて言えば、その子の性格というより、それまでの生活スタイルなどによるのかもしれません。


ーー症状はどのような形で出ることがある?

(今回のように)脱毛も見られることはあるかもしれません。嘔吐や下痢などの患者さんを拝見したことはあります。
 

ケージ越しに挨拶している?
ケージ越しに挨拶している?

ーーもしペットロスになってしまった場合は?

その時の家族と動物の状況をよく細かくお聞きして、状態に合わせて、場合によっては行動学のカウンセリング受けることなどもおすすめです。


ーーペットのペットロスについて思うことはある?

動物のペットロスがあるかどうか何とも言えませんが、少なくとも、それまで共に暮らしてきた相手の急な喪失により、心身のバランスが崩れることはあるかもしれません。また、人間の家族の側のストレスや喪失感、感情の動きなどを敏感に察知して幾つかの症状が出るということもあり得るのではないでしょうか?

今回取材した医師は、動物のペットロスと診断したことはないが、今回のようなケースで何らかの症状が出てしまうことはあると語っていた。
今は「ペットは家族」というのが当たり前になってきているが、ペット同士もまた家族なのだろう。

記事 4714 プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。