岸田内閣の支持率下落が止まらない。FNNの世論調査で、内閣支持率は38.6%。去年10月の政権発足以来初めての30%台となった。旧統一教会に対する調査の方針を評価する人が71.6%の一方、政府の物価高対応を評価しない人が76.0%。葉梨康弘前法相の辞任をめぐる混乱が支持率に影響したことも考えられる。
内閣支持率初の30%台に…不支持理由は「実行力に期待できない」51%
FNNは、11月12・13日の両日、全国の18歳以上の男女を対象に、電話世論調査(固定電話+携帯電話・RDD方式)を実施し、1016人から回答を得た。
岸田内閣を「支持する」は、10月より2.3ポイント減って38.6%。「支持しない」は、5.3ポイント増えて57.2%だった。 自民党議員は「30%台はまずい。今上がる要因がない」と述べた。
この記事の画像(7枚)支持すると答えた人にその理由を尋ねると、「他によい人がいない」(45.2%)が最も多かった。「自民党中心の内閣だから」(23.5%)、「人柄が信頼できる」(17.8%)と続き、「実行力に期待できる」は9.8%、「政策がよい」は3.1%にとどまった。
一方、支持しない人の理由は、「実行力に期待できない」(51.0%)が最も多くて5割を超え、「自民党中心の内閣だから」(22.7%)、「政策がよくない」(16.4%)と続いた。
総合経済対策決定も…物価高対応「評価しない」76%
物価高騰などに対処するため、岸田政権は、総合経済対策を閣議決定した。
しかし、調査では、政府の物価高への対応を「評価しない」が76.0%だった。「評価する」は15.9%にとどまり、総合経済対策が政権への評価につながっていないように見える。
総合経済対策を決定する際、岸田首相は、来年、電気・ガス料金やガソリン代について、平均世帯で総額4万5千円の支援を行うと説明した。
この政府の支援を「期待する」は、「とても」(6.2%)と「ある程度」(42.3%)をあわせて48.5%。「期待しない」は、「あまり」(37.4%)と「まったく」(13.3%)をあわせて50.7%と、評価が分かれた。
旧統一教会への調査方針「評価」71.6%
旧統一教会(世界平和統一家庭連合)について、岸田首相は、解散命令を裁判所に請求することを視野に入れて、法律に基づく「質問権」を行使して調査する方針を表明した。
この方針を「評価する」は71.6%、「評価しない」は21.9%。有権者の評価は高い。
また、岸田首相は、旧統一教会の被害者救済に向けた新しい法案を、今の臨時国会を視野に、国会に提出する考えを表明した。
調査では、被害者救済のための新たな法案について、今の国会で成立させるべきだと「思う」は70.1%、「思わない」は24.0%。救済法案の今国会での成立を求める声は強く、今後、法案の行方が、岸田政権の評価を左右しそうだ。
【「死刑のハンコ」発言の葉梨前法相「辞任は当然」71.5%】
葉梨康弘前法相は9日、自民党議員のパーティーで「法務大臣は、朝、死刑(執行)のハンコを押して、昼のニュースのトップになるのは、そういう時だけという地味な役職だ」と発言し、11日、法相を辞任した。 「辞任は当然だ」が71.5%にのぼり、「辞任しなくてもよかった」は24.3%だった。
葉梨氏の発言の直後、自民党内でも「一発アウトだ」などと辞任は避けられないとの見方が広がったが、岸田首相は、続投させる考えを示していた。更迭の判断が遅れたことについて、自民党内からも「ずれている」と厳しい声が出ている。今回の支持率続落について、自民党関係者は「山際(前経済再生相)、葉梨の辞任が響いた」と語った。
自民党幹部は、支持率を上げる策は「ない」、「目の前のことを対処していくだけだ」と話す。
今回、政府の新型コロナウイルス対策を「評価する」は51.5%、「評価しない」は38.9%。
ただ、この幹部は「これからの岸田政権で一番怖いのは、感染が拡大して、行動制限をかけるとなった時。ここで支持率はガクッと落ちる」と懸念を示している。
(フジテレビ 報道局政治部 編集委員 三嶋 唯久)