FNNの7月の世論調査で、岸田内閣の支持率は、6月よりさらに下がり41.3%だった。
マイナンバーカードの相次ぐトラブルが、政府の総点検で「解決しない」と思う人は78.3%。政府が来年秋に予定する今の健康保険証の廃止について、延期や撤回を求める人は76.9%にのぼった。
内閣支持率41.3% 3か月連続下落
FNNは、7月15日・16日の両日、全国の18歳以上の男女を対象に、電話世論調査(固定電話+携帯電話・RDD方式)を実施し、1036人から回答を得た。
岸田内閣を支持する人は、6月調査から4.8ポイント減って41.3%。支持しない人は5.2ポイント増えて54.4%だった。内閣支持率は3か月連続で下がっている。
この記事の画像(11枚)岸田内閣を支持する人にその理由を聞くと、「他によい人がいない」が最も多く、46.3%だった。次いで「自民党中心の内閣だから」(22.2%)、「岸田首相の人柄が信頼できる」(12.9%)、「実行力に期待できる」(12.0%)と続いた。
一方、支持しない人に理由を聞くと、「政策がよくない」が最も多く、37.0%だった。次いで「実行力に期待できない」(28.0%)、「自民党中心の内閣だから」(21.5%)、「岸田首相の人柄が信頼できない」(10.7%)と続いた。
総点検でマイナトラブル「解決しない」78.3% 保険証「廃止・延期」76・9%
マイナンバーカードをめぐる相次ぐトラブルが岸田政権を直撃している。岸田首相は、マイナンバー情報を総点検する方針を表明し、8月上旬に中間報告をするとしている。
政府が進める総点検で問題が「解決する」と思う人は18.4%、「解決しない」と思う人は78.3%だった。
さらに、岸田内閣を支持する人でも、総点検で「解決する」と思う人は29.7%で、「解決しない」が64.7%だった。総点検への国民の期待感は高くない。
政府は、健康保険証とマイナンバーカードの一体化を受け、来年秋に現行の健康保険証を原則廃止するとしている。この政府の方針について聞くと、「予定通り来年秋に廃止すべき」は20.9%。一方、「廃止する時期を延期すべき」が36.2%、「廃止する方針を撤回すべき」が40.7%で、延期や撤回を求める声は、あわせて76.9%にのぼった。
年代別に見ると、延期や撤回を求める人は、18・19歳・20代で54.6%、30代で72.9%、40代で80.2%、50代で82.7%、60代で87.7%、70歳以上で78.8%。高い年齢層の人の保険証廃止への不安感がうかがえる。
野党は廃止の延期を求め、引き続き国会で追及する方針だ。健康保険証の扱いが今後の政権運営を左右しかねない。
一方、河野太郎デジタル相がこれまでマイナンバーカードの利用拡大や普及を進めてきたことへの評価を聞くと、「評価する」が46.5%、「評価しない」が47.9%と、評価が分かれた。
年代別に見ると、河野大臣の対応を評価する人は、18・19歳・20代では60.6%と高いが、30代で52.7%、40代で55.3%、50代で45.9%、60代で40.4%、70歳以上で33.9%。年代が高くなるにつれて、厳しい評価をしていた。
取り組んでほしい政策は「物価高対策」50.9%
岸田内閣に取り組んでほしい政策を2つあげてもらうと、「物価高対策」が最も多く、50.9%。物価高騰の続く中、政府の対策への国民の期待感がうかがえる。
「少子化対策」は39.7%で、2番目に多かった
これらに続いて、「年金・医療・介護」(31.7%)、「景気や雇用」(25.8%)、「防衛力の強化・外交」(15.6%)、「行政改革・財政再建」(12.3%)、「環境・エネルギー政策」(9.1%)となった。憲法改正は5.2%、新型コロナウイルス対策は4.0%だった。
少子化対策への評価を見てみたい。岸田首相が進める「次元の異なる少子化対策」で少子化が改善することに期待するかどうか聞いたところ、「期待する」は31.9%、「期待しない」65.6%だった。少子化対策は岸田内閣の看板政策だけに、今後、国民の期待感を高める努力が必要となる。
岸田首相は「来年9月ごろまで」59.9%
岸田首相に、どのくらい首相を続けてほしいか聞いたところ、「自民党総裁の任期が切れる来年9月ごろまで」が最も多く59.9%だった。「できるだけ長く」は14.4%、「すぐに交代してほしい」は23.9%だった。来年9月の自民党総裁選での動きが注目される。
処理水放出「賛成」56.6%
政府は、福島第一原発にたまる処理水について、国際的な安全基準を下回る濃度に薄めて、今年夏ごろに海に放出するとしている。処理水の海洋放出に「賛成」と答えた人は56.6%、「反対」は37.0%だった。
国内での理解は進みつつあるように見えるが、漁業関係者らの風評被害に対する懸念や反発は根強い。また、海外では、放出に反対する声も出ている。岸田政権の丁寧な対応が望まれる。
(フジテレビ 報道局政治部 編集委員 三嶋 唯久)