岸田首相は、13日、ASEAN(東南アジア諸国連合)関連会議出席のために訪問していたカンボジア ・ プノンペンで、アメリカのバイデン大統領と会談した。この中で岸田首相は、防衛力の抜本的な強化と防衛費の相当な増額に対する決意を伝え、バイデン大統領は支持する考えを示した。

今後、政府与党で議論が進む防衛費の増額。FNN世論調査では、その財源として所得税や法人税を増税することに「反対」が66%にのぼった。

ミサイル基地など攻撃する反撃能力「持つべき」62.1%

FNNは、11月12・13日の両日、全国の18歳以上の男女を対象に、電話世論調査(固定電話+携帯電話・RDD方式)を実施し、1016人から回答を得た。

防衛力の抜本的強化に向け、岸田首相が検討するとしているのが、自衛のために敵のミサイル発射基地などを攻撃する「反撃能力」だ。以前は「敵基地攻撃能力」と呼ばれていた。世論調査では、反撃能力を「持つべきだ」が62.1%、「持つべきでない」が30.1%。

この記事の画像(4枚)

北朝鮮が異例の頻度で弾道ミサイルを発射する中、保有を支持する人が6割を超えた。反撃能力を保有する場合は、先制攻撃にならないよう、発動の条件が議論の焦点となる。

所得税など増税で防衛費増額「反対」66%

一方、防衛費の増額で問題となるのが、その財源だ。政府の有識者会議では、「全てを国債に頼るのではなく、恒久財源を議論すべき」「国民全体で負担することが必要」などの意見が出た。政府与党内では、所得税や法人税の増税が必要になるとの見方が出ている。

世論調査では、防衛費の増額を、所得税や法人税の増税でまかなうことについて、「賛成」は13.2%、「どちらかと言えば賛成」は16.8%で、賛成と答えた人は、あわせて30%だった。「反対」は45.9%、「どちらかと言えば反対」は20.1%で、反対と答えた人は、あわせて66%にのぼった。

円安・物価高や新型コロナで経済状況の厳しい中、当面、「つなぎ国債」を発行する案も出ているが、いずれにせよ、財源の議論は避けられない。防衛費増額の目的や必要性について、岸田首相の明確な説明が求められる。

健康保険証廃止・マイナンバーカードに一体化 賛否割れる

政府は、今使っている健康保険証を2024年秋に原則廃止し、マイナンバーカードに一本化する方針だ。保険証の廃止後は、マイナンバーカードで保険診療を受ける。

世論調査で、この一本化について聞いたところ、「賛成」48.1%、「反対」45.5%と、賛否が割れた。

一本化する背景には、マイナンバーカードの普及を促進したい政府の思惑がある。

岸田首相は会見で、「健康・医療に関する多くのデータに基づいたより良い医療を受けてもらうことができる」、「紛失など何らかの事情で手元にマイナンバーカードがない方が保険診療を受けられる制度を用意する」と述べ、理解を求めた。賛否の割れる中、政府の丁寧な対応が求められる。

(フジテレビ 報道局政治部 編集委員 三嶋 唯久)

政治部
政治部

日本の将来を占う政治の動向。内政問題、外交問題などを幅広く、かつ分かりやすく伝えることをモットーとしております。
総理大臣、官房長官の動向をフォローする官邸クラブ。平河クラブは自民党、公明党を、野党クラブは、立憲民主党、国民民主党、日本維新の会など野党勢を取材。内閣府担当は、少子化問題から、宇宙、化学問題まで、多岐に渡る分野を、細かくフォローする。外務省クラブは、日々刻々と変化する、外交問題を取材、人事院も取材対象となっている。政界から財界、官界まで、政治部の取材分野は広いと言えます。

三嶋唯久
三嶋唯久

フジテレビ報道局政治部編集委員・解説委員。神戸市出身。細川政権から政治取材をスタート。
政治討論番組「新報道2001」のプロデューサーやFNN世論調査なども担当してきた。

FNN
FNN