12月のFNN世論調査で、岸田内閣の支持率は37.0%。昨年10月の政権発足以来の最低を更新した。また、岸田首相が、防衛費増額のための増税を決めたことを「評価しない」は69.5%だった。
岸田内閣支持率37%最低更新
FNNは、12月17・18日の両日、全国の18歳以上の男女を対象に、電話世論調査(固定電話+携帯電話・RDD方式)を実施し、1014人から回答を得た。
岸田内閣を「支持する」は、11月の前回調査より1.6ポイント減って37.0%。「支持しない」は0.3ポイント増えて57.5%。5月には68.9%だった岸田内閣の支持率は、その後下落が続いており、12月も発足以来の最低となった。
この記事の画像(8枚)政府関係者は「落ちる要素があった割には耐えているように見える」と話すが、支持率回復の兆しは見えない。
防衛費増のため増税 7割が「評価しない」
岸田首相は、防衛力の抜本的強化のため、防衛費の大幅増額を掲げ、2023年度から5年間の防衛費の総額を、現在の約1.5倍となる約43兆円にする方針を決めた。防衛費増額については、「評価する」が45.8%、「評価しない」が48.3%と意見が別れた。
一方、岸田首相は、防衛費の大幅増について、歳出の削減などを行った上で不足する分は、増税で賄う方針を決めた。防衛費のための増税を「評価する」は25.6%、「評価しない」は69.5%。7割の人が「防衛増税」に否定的だ。
自民党関係者は「増税は、いくら理屈があっても支持率上がらないだろう」と話す。
自民党は、党内で増税反対論が噴出する中、税制調査会で、法人税やたばこ税の増税、防衛費目的の新税の創設(所得税額に1%上乗せ)を決めた。開始時期を「2024年以降の適切な時期」として、議論を来年に先送りしている。
松野官房長官は、19日の会見で、「世論調査に表れた国民の声を真摯に受け止め、政府としての対応に生かしていくことが重要だ」と述べた。さらに「国民に税制措置の目的、内容を丁寧に説明するよう努めたい」と強調したが、対応次第では、世論の増税反対論が強まる可能性もある。
旧統一教会対応「評価しない」54.3%
一方、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)をめぐる問題では、岸田首相の対応を「評価する」は35.2%、「評価しない」は54.3%。評価しない人が半数を超えた。
国会では、旧統一教会の被害者を救済するための新法が、与党と、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党などの野党の賛成多数で成立した。
救済新法については、「大いに評価する」が12.8%、「ある程度評価する」が57.8%で、あわせて7割が新法を評価している。「あまり評価しない」は18.3%、「まったく評価しない」は6.7%だった。
岸田首相は、新法成立に向けた強い決意を示したが、新法に対する評価が、そのまま岸田首相の評価につながってはいないようだ。
3閣僚の辞任「評価しない」56%
岸田内閣では、10月以降、旧統一教会との接点や「政治とカネ」の問題などで、山際大志郎前経済再生相、葉梨康弘前法相、寺田稔前総務相の3人の閣僚が辞任した。3閣僚の辞任をめぐる岸田首相の対応を「評価する」は35.8%、「評価しない」は56.0%だった。
政府関係者からは「秋葉大臣を交代させないとさらに下がりそうだ」との声も出る。秋葉賢也復興相については、政治資金の問題などで野党が辞任を要求しており、岸田首相の対応が注目される。
岸田首相にいつまで続けてほしい
岸田首相にいつまで首相を続けてほしいかを聞いたところ、「自民党総裁の任期が切れる2024年9月まで」が最も多く41.3%。「来年まで」が23.3%だった。「できるだけ長く」は10.0%、「すぐに交代してほしい」は23.6%だった。
政府関係者は「支持率が低い割には、再来年まで続投を望む人が多いのは、その後に誰もいないからではないか」と話す。 世論調査で岸田内閣を支持すると答えた人にその理由を聞くと、「他によい人がいない」が最も多く41.3%だった。続いて「自民党中心の内閣だから」(23.9%)、「人柄が信頼できる」(23.1%)。「実行力に期待できる」は、7.8%、「政策がよい」は2.8%で、実行力や政策への期待は大きくない。
2023年も内閣支持率が下落を続けるのか。それとも上昇に転じるのか。岸田首相の動向が注目される。
(フジテレビ 報道局政治部 編集委員 三嶋 唯久)