FNNの4月の世論調査で、岸田内閣の支持率は50.7%と、8カ月ぶりに5割台を回復した。一方、岸田首相が掲げる「次元の異なる少子化対策」の財源として社会保険料の負担を増やす案には、64.4%が反対だった。

【内閣支持率50.7% 8カ月ぶり支持が不支持を上回る】

FNNは、4月22日・23日の両日、全国の18歳以上の男女を対象に、電話世論調査(固定電話+携帯電話・RDD方式)を実施し、1055人から回答を得た。

岸田内閣を支持する人は、4月調査から4.8ポイント増えて50.7%。支持しない人は3.0ポイント減って44.7%。昨年8月以来、8カ月ぶりに不支持が支持を上回った。

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岸田内閣を支持すると答えた人にその理由を聞くと、「他によい人がいないから」が最も多く、46.8%だった。

次いで「自民党中心の内閣だから」が19.5%。「岸田首相の人柄が信頼できるから」(16.7%)、「実行力に期待できるから」(10.6%)、「政策がよいから」(5.4%)と続いた。

岸田内閣を支持する人を年代別に見ると、18・19歳・20代が44.2%、30代が41.7%、40代が48.4%、50代が48.5%、60代が57.2%、70歳以上は58.0%。60代以上の支持率が高く5割台後半だった。

4月調査では20代の支持率が3割を切っており、今回、若年層にも支持が広がった形だ。

【異次元の対策で少子化「改善しない」7割】

今後、岸田首相の政策で注目されるのが、異次元の少子化対策だ。

政府は、少子化対策の政策のたたき台を発表した。児童手当の規模拡大、保育所など育児サービスの強化、男女両方の育児休業の取得促進などの政策が盛り込まれている。

世論調査では、異次元の少子化対策を「評価する」は54.1%、「評価しない」は38.4%だった。

さらに、異次元の少子化対策で少子化が改善すると思うかどうかについて聞いた。

「改善する」は、「大いに改善する」(1.2%)、「ある程度改善する」(24.5%)をあわせて25.7%。「改善しない」は、「あまり改善しない」(49.8%)、「まったく改善しない」(20.5%)をあわせて70.3%。約7割が少子化は改善しないと回答した。

ある政府関係者は、今回の結果に、「少子化対策が効かないと思う人が多いのに、過半数が対策を評価しているのは驚きだ」と話した。

【少子化対策で社会保険料負担増「反対」64.4%】

岸田首相は、少子化対策の財源について、6月の「骨太の方針」の取りまとめまでに大枠を示すとしている。政府与党内では、国民や企業が払う社会保険料の負担を増やす案が検討されている。

社会保険料の負担増について聞くと、賛成が30.1%、反対が64.4%。反対が6割を超えた。これを男女別で見ると、女性では、賛成20.8%、反対69.2%と、約7割が反対だった。

また、防衛費を大幅に増やす財源に充てるための増税については、賛成が37.0%、反対が58.3%。約6割が反対だった。

【広島サミットでリーダーシップ「期待」6割超】

5月に開かれるG7広島サミット(主要7カ国首脳会議)では、岸田首相が議長をつとめる。岸田首相がリーダーシップを発揮することに期待する人は、「大いに期待する」(19.4%)、「ある程度期待する」(42.2%)をあわせて、6割を超えた。「あまり期待しない」は25.9%、「まったく期待しない」は10.7%だった。

【「今解散考えていない」 岸田首相の解散戦略は】

FNN世論調査の結果ついて、自民党関係者は「内閣支持率50%は衆院の解散をしたくなる数字だ」と話した。

さらに、岸田政権の中間評価と言われた衆参5つの補欠選挙の投開票が23日行われ、衆院千葉1区、衆院山口2区と4区、参院大分選挙区で自民党候補が勝利し、自民党の4勝1敗となった。与野党対決の構図の補選で、自民が選挙前の3議席から1議席増やした。

岸田政権への追い風が吹く中、与野党から、岸田首相が早期の衆院の解散総選挙に踏み切るのではないかとの見方も出ている。

岸田首相は24日、官邸で記者団に対し、「今、解散総選挙については考えていない」と語ったが、今後の岸田首相の解散戦略が注目される。

【政党支持率 維新が立憲上回る】

一方、各党の支持率は、自民党33.9%、立憲民主党5.7%、日本維新の会7.3%、公明党3.5%国民民主党2.0%、共産党2.4%、れいわ新選組1.3%、社民党0.4%、政治家女子48党1.0%、参政党1.1%。支持政党がないという人は39.5%。

注目されるのは野党で、維新(7.3%)が立憲(5.7%)を上回っていることだ。維新は、衆院和歌山1区の補欠選挙で、公認候補が自民党の候補を破った。また、道府県議選など統一地方選でも議席を伸ばしている。今後、維新の動向も注目される。

(フジテレビ 報道局政治部 編集委員 三嶋 唯久) 

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日本の将来を占う政治の動向。内政問題、外交問題などを幅広く、かつ分かりやすく伝えることをモットーとしております。
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三嶋唯久
三嶋唯久

フジテレビ報道局政治部編集委員・解説委員。神戸市出身。細川政権から政治取材をスタート。
政治討論番組「新報道2001」のプロデューサーやFNN世論調査なども担当してきた。