新型高速船「クイーンビートル」が、福岡から釜山に向けて出航した。新型コロナの水際対策の緩和に伴い、約2年半ぶりに再開した日韓航路。利用客を増やせるのか、注目が集まっている。

従来の3倍以上の大きさの「クイーンビートル」

青い空と海によく映える真っ赤な船体。JR九州高速船の新型船「クイーンビートル」が11月4日、福岡と韓国・釜山を結ぶ国際航路にデビューした。

JR九州高速船の新型船「クイーンビートル」
JR九州高速船の新型船「クイーンビートル」
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第1便の乗客:
ワクワクが止まりません。クイーンビートルに早く乗りたいと思っていたので

第1便の乗客:
船内もすごく豪華だし、すごく楽しみにしている

福岡と釜山を結ぶビートルが運航を開始したのは、31年前の1991年。所要時間2時間55分と、気軽に韓国旅行を楽しめる新たな交通手段として人気を集めたが、格安航空会社の参入などで利用客が低迷し、新たなニーズの取り込みが課題となっていた。

そんな中、2018年に発表されたのが、新型高速船のクイーンビートルだ。従来のビートルの3倍以上の大きさがあり、定員は502人。所要時間は3時間40分と長くなるものの、食事や買い物をしながら、ゆっくりと船旅を楽しむことができるのが特徴だ。

運航開始は、当初2020年7月を予定していたが、新型コロナの影響で日韓航路が休止に。その後、クイーンビートルは国内の臨時航路で運航されていた。

そして、ようやく水際対策の緩和に伴い、約2年半ぶりに日韓航路が再開。乗客128人を乗せ、クイーンビートルが初めて釜山に向けて出航した。

JR九州高速船・水野正幸代表取締役社長:
運航が実現できて、お客様のにぎわいも戻ってきたというところは、感無量のところがあります

日本からの観光客が韓国に出る起点にも

待ちに待った日韓航路の再開。インバウンドの集客を目座す福岡市内のホテルでは、対応が進んでいた。

10月に博多駅そばにオープンしたホテルでは、自動チェックイン機の韓国語ボタンを押すと画面が韓国語に変わり、音声も韓国語で流れる。また、このホテルではフロントを通らず、予約からチェックアウトまでをスマートフォン1台で簡単に行うことができる。

韓国語など多言語での案内も可能なことから、日韓航路の再開で、今後はより多くの客が訪れるのではと期待を寄せている。

プリンススマートイン博多・木之下大介支配人:
水際対策の緩和で、だいぶん海外の方、特に韓国や東アジアの方が増えていると感じている。韓国の方に来ていただけるというのはもちろん、日本の方が、博多を起点に韓国に出て行くという場所になると思いますので、クイーンビートルへの期待感は大きいですね

船内の人影はまばら…厳しい船出に

午後7時前。釜山港を出発したクイーンビートルが博多港に戻って来た。
しかし、釜山から帰港したクイーンビートルの船内を見ると、人影はまばらで、到着ロビーも閑散としていた。

JR九州高速船によると乗客は19人で、そのうち6人は日本人。厳しい船出となった。

韓国人観光客:
釜山からの新しい船ができていると聞いて、一回、乗ってみようと思った。船自体は良かった、広々としていて。時間は少し長いかなと思った

クイーンビートルは、11月は週末のみ運航し、12月以降のダイヤは、利用状況などを見ながらの運航となる。

コロナ禍の不安が拭えない中、苦戦を強いられる観光業界にとっても、日韓航路の再開で利用客を増やせるのか気になるところだ。試行錯誤が続く。

(テレビ西日本)

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