8月の台風で御神木が倒れ、社殿を突き破る被害が出た広島市の神社。災害とコロナ禍を乗り越え、3年ぶりに秋祭りが催された。去年は無観客で行われた神楽も、2022年は一般公開に。賑わいが戻り、活気づく祭りを取材した。
夏の台風で樹齢300年超の御神木が倒れ、社殿を突き破る被害が…
祭りが行われたのは広島市内の井口大歳(いのくちおおとし)神社。

今年8月、台風による雨と風で境内の樹齢300年を超える「ご神木」が倒れた。

倒れた「ご神木」は本殿、拝殿を直撃。本殿はほぼ全壊、拝殿の屋根も大きな被害を受けた。

氏子総代の方の話だと、「ドーンという音だったので、近くの道路で事故があったのかと思った」ということだった。

人前での神楽奉納もコロナ禍の影響で3年ぶり
それから2か月。祭りの季節を迎え、地域は慌ただしくなる。
大歳神社では毎年、秋祭りで神楽が奉納される。

神楽の練習に衣装合わせ。祭りの準備で地域に活気が戻った。
平安時代の1024年創建の井口大歳神社。地域の氏神として厚く信仰されてきた。
神楽は「疫病払い」や「五穀豊穣」を祈願して神社に奉納されたのが始まりと言われている。

この2年間はコロナ禍で、祭りの規模を縮小し、神楽は一般には非公開の形で奉納だけを目的に行われたが、やっともとの形に戻る。

神楽の舞い手A:
去年は無観客でやって、人の前でやることができなかった。久しぶりのお祭りなので楽しみです

ーー 人の前でやる方が気持ちが入る?
神楽の舞い手B:
見られているという感じがありますので、ちゃんとやらないといけないなと思います

いよいよ祭り当日 神楽と花火に盛り上がる 倒木で壊れた社殿には応急修理が…
祭り当日。3年ぶりの祭りにみんなの心も沸きたってくる。

倒木の被害から2か月。本殿の屋根を突き破った木は取り除かれ、被害を受けた社殿には応急の修理が施されていた。

夕方になるにつれて境内に人が集まってくる。

辺りが暗くなる頃、いよいよ祭りの始まりだ。

祭りのもう一つの見せ場は花火。
花火の起源は定かではないが、江戸時代末期に始まったとされ、かつては神楽の合間に花火の技を競い合ったと言われている。

氏子総代・鍛冶山正照さん:
やっぱりこういうイベントをやれば、みんな喜んでもらえるので、いい事だと思う。もっともっと大っぴらにみんなが出来るようになると、本当に元に戻るのですけど、まだ半分のような感じはしますね

祭りを楽しむ地域の人たち。この秋、コロナ禍で失われていたものが、少しずつ私たちの元に戻ってきている。
(テレビ新広島)