河野太郎デジタル相は、2024年の秋をめどに今の健康保険証を“原則廃止”し、マイナンバーカードへの一体化を目指すことを表明した。近い将来、病院で診察を受ける際には、窓口でマイナンバーカードを提示することになる。河野デジタル相はこれについて、「医療のIT化と質の向上のために必要な措置」と説明。
紙の保険証の廃止…その現状と課題を取材した。

マイナカードの取得率82%超! 養父市のウラ技とは…

事実上の、マイナンバーカードの取得義務化ともいえる措置。
しかし、10月11日時点の全国民の申請率は56.2%に留まっている。

そんな中、普及率の高さで注目されている自治体の一つが、兵庫・養父市だ。養父市では、10月2日時点で82.9%の市民がマイナンバーの申請を済ませている。一体、なぜなのか。

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10月13日午前10時、養父市の民家を市の職員が訪れた。養父市では、市の職員がマイナンバーカードの申請を希望する人の自宅を訪問し、その場で手続きを進める「出張申請サービス」を行っているのだ。

この日、サービスを利用したのは生後1カ月の森本魁ちゃん。布団の上で写真を撮ってもらい、お母さんが書類を書き込む間、職員の腕であやされていた。

(Q.赤ちゃんの申請は多い?)
養父市の担当者:
多いです。0~9歳までで82%(申請)していただいているので

「出張申請サービス」であれば、市役所に出向く必要はない。申請・交付の際に欠かせない本人確認もその場でできる上、カードを後日届けてもらうこともできる。さらに、マイナポイントの取得までサポートしてもらえる。

魁ちゃんの母親:
申請も早く終わったので良かったですし、お家に来てもらえるっていうのが一番かなと思いますね。まだ生まれて1カ月ほどでなかなか外には出られないので、市役所に抱っこして連れて行くのは大変なので

養父市は今後のデジタル化を見据え、広く市民にマイナンバーカードを普及させ、市民サービスを平等に受けてもらいたいと考えている。

全国にある市の中で一番普及率が高いのは、宮崎・都城市。養父市は現在全国2位となっている。 

(Q.2位じゃだめなんですか?)
養父市 市民生活部 市民課 高橋純子課長:
知名度も上がるかなと思いますし、養父市を知っていただいたり、「養父市ってどんなところだろう」って来ていただけることにつながればいいかなと思っております

普及半ばのマイナンバーカード 保険証と一体化のメリットは

マイナンバーカードは、2017年3月の8.4%から「マイナポイント」第1弾、第2弾を経て、2022年10月には56.2%まで普及した。

しかし、まだ国民の約半数が取得しておらず、普及率には自治体間でも大きな差がある。
近畿トップの普及率82.9%を誇る兵庫・養父市は、マイナンバーカード希望者への出張申請や、交付されたカードを職員が自宅に届けるといった努力をしている。
一方、近畿ワーストは、普及率30.6%の和歌山・広川町。町の担当者は「啓発や周知活動が不足していた」とし、「12月1日から来年3月末まで、マイナンバーカードを所持している人を対象に1万円分の商品券を配布することを決めた」と、普及率アップを目指している。

マイナンバーカードは、基本的に自宅に郵送されてきている個人番号(マイナンバー)カード交付申請書を使って申請する。郵送、パソコンやスマホによるオンライン、証明写真機、携帯ショップで申請することができる。

申請後は約1カ月で各自治体から交付通知書が届く。交付通知書、運転免許証などの本人確認書類、通知カードなどの必要書類を持参して、役所の窓口で受け取る。

マイナンバーカードに一体化される健康保険証を利用すると、さまざまなメリットが受けられる。

・自分の医療情報(処方薬や検診)を専用サイトで確認
・限度額を超えた高額医療費の一時支払いが不要に
・診察券がなくても顔認証でスムーズに受付
・支払った医療費がすべて記録されるため、確定申告の医療費控除が簡単に

紛失時の個人情報漏えいの懸念から、マイナンバーカードの取得をためらう人も多いようだ。
個人情報保護に詳しい中央大学の石井夏生利教授は「マイナンバーカードを紛失したり、個人番号を知られても、個人情報が漏れる仕組みにはなっていない。ただ、数字4ケタの暗証番号を外に見える形で管理するのはやめてほしい」と話す。

マイナンバーカードを紛失しても、個人情報などは盗まれないということだが、暗証番号の取り扱いには注意が必要だ。

(関西テレビ「報道ランナー」2022年10月13日放送)

関西テレビ
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