10月1日に全線再開したJR只見線。

「愛する故郷の風景を多くの人に伝えたい」。福島・金山町出身の色鉛筆画家・大竹恵子さんは、その思いを胸に、只見線沿線の魅力を作品を通して発信している。大好きな風景が水害の被害を受けた後も、描き続ける思いを語った。

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温かさや懐かしさ…色鉛筆の優しい色合いで描く

色鉛筆画家・大竹恵子さん:
今日はね、狛犬。いつも見てもかわいいなと思っていたので。ここだと、本当に子どものころからすごく遊んだので、全部よくわかっているんですね。全然知らない所のものを描くのとは違う、気持ちの入れ方で描けますよね

いまは神奈川県に住んでいるが、生まれ育った金山町の風景を題材に、色彩豊かな作品を制作している。

色鉛筆画家・大竹恵子さん:
家にあるのは、400~500本あります。少しずつ塗っていって、少しずつ色が変わっていくので、それがやっぱり楽しいですね

大竹さんが、色鉛筆画家として活動を始めたのは約20年前。

色鉛筆画家・大竹恵子さん:
ふるさとを描こうと思った時に、描き始めたら楽しくて。楽しいのもそうですし、やっぱり思いもたくさんあふれてきて、描きたいものも沢山あふれてきて

大竹さんが描くのは、金山町の豊かな自然と、そこに住む温かい人々。そして只見線がある景色。どれも自分の心の支えになっている風景だ。

大竹さんの実家は、線路の近くにあって、列車や線路・駅舎などは子どものころから身近な存在だった。

色鉛筆画家・大竹恵子さん:
ちょうどここが小学校の通学路だったんですね。当時夏休みで、プールに行く途中に只見線が走っていたりすると、手を振った思い出があるので。作品に人が入ってくる事で温かさとか、あと絵の中に物語も生まれてくるので、私はほとんど人を入れて描いてますね

色鉛筆の優しい色合いで描かれた作品は、見る人にほのぼのとした温かさや、懐かしさを感じさせる。

色鉛筆画家・大竹恵子さん:
皆さん絵を見て下さって、自分の懐かしい思い出と重ねて見て下さるんですね。思い出とかって、その人の支えになっている部分も多いと思うので、絵をきっかけにそういう所を思い出してもらえたら、うれしいなと思います

荒れた光景に…11年前の水害で受けた衝撃

作品を通して、奥会津の風景や只見線の魅力を発信してきた大竹さん。それだけに、11年前の水害で受けた衝撃は大きなものだった。

色鉛筆画家・大竹恵子さん:
とてもショックでしたね、どういう風景になったとしても、故郷である事に変わりはないんですけど。とても身近な只見川だっただけに、その辺は複雑な思いがありました

大竹さんは不通となった区間にある駅も、作品に描いてきた。

色鉛筆画家・大竹恵子さん:
線路に草が生えていたりですとか、そういう状況ではありましたね。線路はつながっているけど、止まっているんだよな、こっちには行かないんだよなっていうのは、しみじみ感じました

荒れた光景を目の当たりにして感じた、「早く元の姿に戻ってほしい」という思いを作品に込めた。

色鉛筆で描かれた、列車が停まり、多くの人でにぎわう本名駅。

大竹さんは「不通区間というのは、人がいないという事もあってちょっと、さびしいなと思いながら、やっぱりこういうにぎやかな場面が戻ればいいなと思いながら描いてました」と話す。

色鉛筆画家・大竹恵子さん:
(不通区間を描いて)また新たな魅力があるっていうのも、あらためて知れたというか、感じる部分もあるので、やっぱり今まで行ってなかった不通区間っていうのも、色々描いてみたいなと思っています

(福島テレビ)

福島テレビ
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