コロナ禍で乗客収入が減少し、多くの鉄道会社の経営状況は厳しい。広島の路面電車として知られる広島電鉄も2年連続で赤字だ。そんな逆境を少しでも好転させようと、2022年、宮島線が開業100年となるのを記念し、路面電車を昔懐かしい姿によみがえらせる。

60年活躍 塗装職人も復元に緊張

五十川裕明記者: 
広島電鉄の車庫の中に来ています。後ろに見えるのが古くから宮島線で活躍してきた車両で、とても趣があります。実は元々は違う色をしていたということで、復元する塗装が行われています

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1960年代初めに造られ、約60年に渡って広島電鉄宮島線で活躍する現役最古の車両3100形。傷やへこみを直した車両に手作業でさび止めの下地を塗る。

塗装歴40年の山本光弘さん(66):
初めてなんですよ。この色を塗るのはね。昔のように復元するということで、ちょっと緊張していますけど

広島市内から宮島口まで 直通電車”目印”の色

宮島線はちょうど100年前、現在の西広島~草津駅間で開業した。市内線との直通運転は1958年に始まり、宮島口まで走る目印として導入したのがこの「オリエントピーチ」と呼ばれる「直通色」だった。

市内線との直通運転は1958年に開始
市内線との直通運転は1958年に開始

五十川裕明記者:
塗装がだいぶ進んだということで、緑色の塗装が無くなっていますね。これがオリエントピーチ色ですか。とても柔らかなクリーム色です。レトロな雰囲気をまとっています

オリエントピーチ色の車両は老朽化で廃車になったり、企業広告のラッピング車両として使われたため一度姿を消したが、開業から100年の節目を祝おうと、数年ぶりに復刻されることに。

9月26日午後、仕上げの1つ手前の作業となる中塗りが行われた。広島電鉄にわずかに残る当時の資料を手掛かりに色を忠実に再現した。

広島電鉄 広報ブランド戦略室 石橋美祐さん:
懐かしいなと思っていただいたり、こういった色の電車が走っていたんだということも改めて知ってほしいなという思いがありますね

復刻したオリエントピーチ色の車両は10月4日から登場し、平日朝のラッシュの時間帯を中心に走るということだ。

(テレビ新広島)

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