広島の路面電車として知られる広島電鉄と、千葉県の銚子電鉄は、ともに開業100周年。
しかし広島電鉄は、コロナ禍の乗客減少で2年連続赤字となる一方で、銚子電鉄は2021年度、6年ぶりに黒字決算を達成した。“まずい棒“などの物販や映画製作など、そのユニークな経営戦略を学ぼうと、コラボ・イベントが実現した。

「まずい棒」「ぬれ煎餅」…銚子電鉄の赤字脱却に向けた“自ギャグ”商品

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広島電鉄の西広島駅前。広島電鉄と、千葉県の銚子電鉄がコラボしたイベントが行われていた。そこには銚子電鉄の、一見鉄道とは縁のなさそうな商品や、一風変わったネーミングのグッズが…。

梶谷羽奈アナウンサー:
広場にいくつかブースが並んでいて人だかりができています。覗いてみると「ぬれ煎餅」を売っていますね

実はこの「ぬれ煎餅」、2006年に廃線危機に陥った銚子電鉄が思わず「電車修理代を、稼がないといけないんです」と、ホームページで購入を呼びかけたところ、多くの人が買い求め、廃線危機を救ったという歴史がある。銚子電鉄の危機を救った、まさに“奇跡”の商品。

銚子電鉄社員:
「ぬれ煎餅」に「まずい棒」でございます。ツイッターなどSNSで拡散してくださいね~

――まずい棒は買った?
訪れた女性:
買いました。ネーミングが良いと思いました

訪れた男性:
ちょっとでも役に立つんだったらと思って。経営努力はよくされていて、あちこちとコラボされている。社長さんと少し話をしましたけど、なかなか気合いの入った方なので…

来場者がそう語るのは、自身もイベントに売り子として参加していた、銚子電鉄の竹本社長。

赤字が続き廃線危機に直面する中、”自虐ワード”を入れた商品開発で、何とか経営を維持させてきた。

銚子電鉄・竹本勝紀 社長:
ただ自虐ばかりやっていると、自らを虐げてしまいテンション下がってしまうので、そこにギャグを加えて”自ギャグ”という…そんな手法で商品の開発をしています

そんな竹本社長が「はい、どうぞ。ビールにピッタリです」と持ってきてくれたのは、ぬれ煎餅。

梶谷羽奈アナウンサー:
んん…これはお酒に合いますね。モチモチしていて、中まで醤油がしみ込んでいておいしい

ぬれ煎餅。もちもち食感で味が染み込んでいて、お酒に合う
ぬれ煎餅。もちもち食感で味が染み込んでいて、お酒に合う

コメディー映画「電車を止めるな!」を製作 そのわけは…

さらに銚子電鉄の挑戦はグッズだけではない。

映画「電車を止めるな!」
映画「電車を止めるな!」

オリジナル映画「電車を止めるな!」を製作。この映画は今回、広島でも上映。

映画「電車を止めるな!」
映画「電車を止めるな!」

――なぜ映画を?
銚子電鉄・竹本勝紀 社長:
いろいろな事情があって、当社の変電所の更新工事を控えて、その費用を捻出したいという思いから映画製作を思い立ったのが3年前。何とかして電車を存続させたいという熱い思いが、100%凝縮されたコメディ映画です

しかしなぜ今回、広島電鉄とコラボしたのか。

それには、両者の意外な共通点があった。
広島電鉄宮島線は、2022年で開業100周年を迎えた。かつては人だけでなく、漁港で水揚げした魚を貨車で運んだという歴史がある。一方の銚子電鉄も同じく、古くから「人と食」を運び、2023年に開業100周年を迎える。同様の歴史を経てきた“100周年繋がり”で、コラボ・イベントが実現したというわけだ。

銚子電鉄は6年ぶりの黒字達成 “前向きな姿勢”に感化され…

イベント会場では、広島電鉄の椋田(むくだ)社長が、銚子電鉄のグッズを選んでいた。

広島電鉄・椋田昌夫 社長:
うちも赤字消さないといけないからこれと、これを…

手に取ったのは“赤字が消える!暗記セット”。頑張れば必ずや道は開けるという思いを込めて、発売されたグッズだ。

実はこのおかげもあってか、銚子電鉄は…。

銚子電鉄のツイッターから(6/30投稿)
銚子電鉄のツイッターから(6/30投稿)

【銚子電鉄ツイッター動画(6月30日投稿)】
竹本勝紀
社長:
6年ぶりに黒字決算となりました

なんと、6年ぶりの黒字を達成。

銚子電鉄・竹本勝紀 社長:
数字の上では”ブラック企業”目指しましょう
広島電鉄・椋田昌夫 社長:
そうかあ ”ブラック企業”になったらいけないと思ったが、今回はならないといけないね。ハハハ…

広島電鉄・椋田昌夫 社長:
銚子電鉄の努力をみたら、我々の努力が足りなかったなというのが率直な感想。我々は広島という、たくさんの人口を抱える街でやらせていただくということは、まだまだ工夫の余地があるのかなと、つくづく今日は感じている

銚子電鉄の前向きな姿勢が、コロナ禍で下を向きがちな世の中に大きなヒントを与えている。

取材を終え、梶谷アナウンサーは…

梶谷羽奈アナウンサー:
銚子電鉄の竹本社長が「会社存続のためにやっているのではなく、地域に貢献し続けるためにやっているんだ」とおっしゃていたのが印象に残った。「皆さんのために」というモチベーションが、私達を楽しませてくれるユニークな商品の開発や、アイデアのひらめきにつながっていると今回の取材で感じた

イベントで売られていた商品

イベントで売られていた商品の中でも、梶谷アナウンサーのお気に入りは…

梶谷羽奈アナウンサー:
その中でも私のオススメが「まずい棒」。
名前の由来は置いといて、まずは食べてみてください。こちらチキンカレー味

衣笠梨代、加藤雅也アナウンサー:
カレー風味、スパイシー おいしい!

梶谷羽奈アナウンサー:
おいしいのに、どうして「まずい棒」と言うのかというと、「銚子電鉄の経営状況がまずい」ということで”まずい”。
チキンカレー味も実は自虐ネタで、チキンカレーは“資金枯れー”。銚子電鉄の資金が枯れている!という状況から生まれた味だそうです

(テレビ新広島)