被告自ら死刑判決を求める…異例の幕開け 

2021年6月に大阪市・天満の飲食店でオーナーの稲田真優子さんが殺害された事件。その裁判員裁判が、9月16日から始まった。
裁判の冒頭で、起訴された男が突然“死刑判決を求める”という、異例の幕開けとなった

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宮本浩志被告:
判決は死刑をお願いします。質問に答える気はありません

殺人の罪に問われている宮本浩志被告(57)は、裁判員に対してこう述べ、認否については黙秘した。宮本被告を初めて見た被害者の母親には、想定外のことだ。

(Q.裁判までの期間はどう過ごしました?)
亡くなった真優子さんの母・稲田由美子さん:
(真優子さんが亡くなって)急に月日が過ぎるのがゆっくりになったような、時間が止まったような…1年もたったんだなって

稲田由美子さん(65)の娘の真優子さん(25)は、2021年6月に経営していたカラオケパブで首や胸を刺されて殺害された。真優子さんは顔など10カ所以上を傷つけられていて、犯人には非常に強い殺意があったとみられている。

殺人の罪で逮捕・起訴された宮本被告は店の常連客。真優子さんのスマートフォンに残されていたのは、宮本被告の異常なほどの執着だった。

2020年11月の宮本被告からのメッセージ:
あー、まゆさんの声、聞きたいな。眠れてないんです。勝手なことですが。1時間おきに目が覚めて

真優子さんは、時々短い返信をする程度にとどめていたが、宮本被告からの執拗な連絡が途絶えることはなかった。

亡くなった真優子さんの母 稲田由美子さん:
夜の仕事やから、酔っ払いとか変なお客さんとか、絡まれたりないかなと心配だったけど。「そんなん全然ないよー」って言ってたけど、「あったんや…」と思って

6月11日の犯行当日には「昼を乗りきって素敵なまゆに会いに行くね」のメッセージが。

犯行推定時刻の直前に撮影された宮本被告との写真が、真優子さんの生前最後の写真となった。

事件発生から1年以上がたった9月16日、ようやく迎えた裁判の日。

(Q.目が覚めてからの気持ちは?)
稲田由美子さん:

やっとこの日が来たなと…。怒りと悔しさが込み上げてきますよね。早く(罪を)認めてほしいと思ってるし、そのために今まで頑張って生きてきたんやけど

9月16日の初公判で、起訴内容について認否を問われた宮本被告は…

宮本浩志被告:
裁判員にお願いします。判決は死刑をお願いします。検察官には被害者家族の意図を汲むように、是非とも死刑を求刑してもらいたい。私については、どなたからの質問にも答える気はありません

このように話し、認否については黙秘した。
被告人の弁護士は「犯人性を争います」と述べ、無罪を主張。
これに対し検察側は、「一方的な好意で満たされないことから、必死に抵抗する被害者を無残に殺害した悪質な犯行」と指摘した。

裁判での宮本被告について、由美子さんは…

稲田由美子さん:
(宮本被告は)変に居直って堂々としてますね。うつむき加減で目も合わさないと思ったけど、そうでもなかった…

(Q.目は合いました?)
稲田由美子さん:

合いましたね、何回か。全然、反省の気持ちはないんだなと思った。許せないですよね

法廷で傍聴した記者が語る初公判

(Q.宮本被告の法廷での様子は?)
赤穂雄大記者:
法廷に入った宮本被告は、裁判官と裁判員に何度もお辞儀をして席に着きました。終始、落ち着いた様子でした。裁判の冒頭で裁判長から名前や住所を聞かれたのですが、何も返事をしませんでした。その後、弁護士と話し返事をするように促されたのか「何か意味ありますか」などと不満そうに話しました。
検察官から起訴状の読み上げが終わると、突然、宮本被告が「裁判員にお願いします」と一方的に話し始め、「死刑判決にしてほしい」という内容の話を数分間にわたって話し続けました。死刑判決について多くを語った一方で、「どなたからの質問にも答えるつもりはない」「しゃべりたい時には手を挙げるなどして意思表示する」などと話し、認否について直接答えることはありませんでした

(Q.死刑を求めながらも、認否については何も言わない、事件の詳細を語らない。宮本被告は何を考えているんでしょうか?)
赤穂雄大記者:
正直よく分かりませんでした。死刑を求める冒頭の発言では堂々とはきはきと話し、強いこだわりと意思が感じられたんですが。被害者家族の心情に触れる場面も少しありましたが、基本的には質問に答えない。弁護人にも「反対尋問をしないでほしい」と要求するなど、“真相究明をさせない”ことにも強いこだわりがあるようでした。
発言が一貫していないようにもとれますが、本人の中では何か理由があって、このような言動に出ているのだろうと思います

(Q.本人は死刑を望んでいて弁護側は無罪を主張しているということですが、宮本被告と弁護側はコミュニケーションを取れていないんですか?)
赤穂雄大記者:
弁護側はあくまで証拠類などをみて、被告の主張とはある意味別で「無罪」を主張しているのだと思う。裁判中には宮本被告と弁護士がやり取りをする場面も見られたので、全くコミュニケーションが取れていないということではないと思います

(Q.宮本被告が自ら「死刑にしてほしい」というのは、真優子さんのご家族にとって許しがたいことだと思うんですが、何か仰っていましたか?)
赤穂雄大記者:
自らの死刑を求める発言、自分の要求は多くを語るのにも関わらず、事件については全く話さない宮本被告の姿勢に、真優子さんの母・由美子さんは「まさかあんなことを言い出すとは…」と驚かれていましたが、同時に「反省の態度がない、許せない」と憤っておられました

(関西テレビ「報道ランナー」2022年9月16日放送)